第2楽節『イドゥンの林檎・前編』の続きです(*’ヮ’)
今は昔。
巨人シアチに『紅葉おろしにすっぞ(゚Д゚)』と脅されたロキは、仲間の女神イドゥンの身柄を引き渡してしまいました。
人質を与えることでロキは紅葉おろしを免れました…が…。
永遠の若さを与えるイドゥンが消え、アースガルドの神々にはすぐ異変が起こったのです。
神A『目・肩・腰が痛い…』
神B『お肌にハリとツヤが無くなったわ!!』
神C『そろそろ林檎ドーピングしないとボクの抜け毛やばい』
神D『イ、イドゥンはどこだ(゚Д゚;≡;゚д゚)』
神E『見当たりません;;』
オーディン『ふむ、神々の染色体末端のテロメア構造が短くなり細胞分裂が…』←知識の神
神F『オーディン様、老化メカニズムの学術考察はいいですから(;´Д`)』
オーディン『そうだった。緊急招集 !!』
老いによって急速に力を失ってゆく非常事態を前に、主神オーディンは全神様をグラストヘイムに呼び集めました。
…イドゥンとロキの姿はありませんでしたが。
集まった面々はイドゥンの林檎効果が切れているので、ヨボヨボに老けまくりです。
つまりこう↓
オーディン『ウワァ…これはひどい…』
主神は自軍の変わり果てた姿に頭を抱えながら問いかけました。
オーディン『諸君らの中でイドゥンの行方に心当たりがある者はいるかね?』
手を挙げたのはアースガルドの門番神ヘイムダルでした。
ヘイムダル『ロキがイドゥンを連れて、ビフレストを渡って行きました』
天上界アースガルドと人間界ミッドガルドを繋ぐのは、ヘイムダルが守衛する虹の橋ビフレストだけ。
彼は24時間365日寝ることも座ることもなく、門番を務める神様です。
まさに不眠不休で働いているので、ロキがイドゥンを誘い出す様もつぶさに目撃していました。
しかし気になるのは、ビフレストの袂から片時も離れることを許されない門番神なのに、どーやってこの神様会議に出席したかです。
テレパシー?
ブラギ『我が妻がロキと駆け落ち!?オワタ\(^o^)/』
ヘイムダル『ロキは行って帰って来て、イドゥンは行ったきりですから駆け落ちは違うかと…』
オーディン『ロキの奴、ただの会議サボリではないようだな』
オーディンはただちにロキ逮捕状を発布。
神々は自分達の若さがかかっているので、血眼になってロキを捜索に向かったのでした。
さて、ロキは一体どこにいたのでしょうか?
答:イドゥンの果樹園でゴロ寝していた。
なんでそんな分かりやすい場所に…。
原典には特に断り書きされていませんが、ロキは果樹園に残っていたイドゥンの林檎を根こそぎ食ったんだと思います。
林檎が無ければ老化してしまうのは彼だって同じですから。
ロキ『ぶはー、食った食った。やっぱイドゥンの林檎はジューシーで旨い!(*’¬’)』
こんなことを言いながら食後の昼寝でもしていたんでしょう。
とにかく真っ先に捜索されそうな場所にいたので、ロキはバッチリ神々に発見されました。
そしてフルボッコの末、オーディンの前に引き出されたのです…。
オーディン『吐けっ、証人はいるんだぞ!(ボカッ!ドスッ!ズコッ!』
ロキ『ゴフッ…戦神の力でパンチするの止めて…。スイマセン、俺がイドゥンを巨人に渡しました…』
オーディン『判決主文。イドゥン略取誘拐の罪で、被告神ロキを血染め鷲の刑に処す』
※血染め鷲の刑:背中を割き、肋骨を折って天使の翼の様に開く超拷問刑
ロキ『ちょwwまwww控訴だ!弁護士を呼べー!!(`д´;)』
オーディン『黙れ、私がアースガルドの法律だ。さー、真っ赤な天使ちゃんを作るぞー』
ロキ『違うんだって!脅されたの!仕方なかったんだーー!』
ロキは主神が殺る時は殺る残虐非道な男だと知っていたので、必死に命乞いをしました。
オーディン『私のウハウハ女神ハーレムを老人ホーム化した罪の重さを知れっ!』
ロキ『待って、わかった!俺がイドゥンを連れ戻して来れば元通りだろ!?』
オーディン『うーむ。ここでお前を拷問しても、ちょっと楽しいだけだしなぁ』
ロキ(楽しいのかよ!戦神こわい!)
オーディン『どの道イドゥンは救出せねばならん。若さを保っているお前が行くのがベストか』
ロキ『みんなジジババになってるもんなwwww』
オーディン『 だ れ の せ い だ ? 』
ロキ『責任を持ってイドゥン奪還任務に当たります!(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル』
こうして我が身可愛さのために攫ったイドゥンを、今度は助けに行くことになったロキ。
彼は急いで巨人国まで向かうため、とある神様から装備を借りることにしました。
それは愛と美と戦を司る女神フレイヤ。
ROのラヘルで信仰されてるあの女神様ですよ!
ロキ『サクッと行って来るから、ちょっとファルコンローブ貸してちょーだい(*’ヮ’)』
フレイヤ『また?;;』
このファルコンローブとは、着るとハヤブサの姿に変化し高速飛行できるというアイテムです。
(※ROではハヤブサ扱いですが、和訳によって鷹だったり鷲だったりします。)
ハヤブサの滑空速度は時速200~300km(鳥類最速)
『服の貸し借り』と言うとピンと来ませんが、現代に置き換えると『お前のクルマ速いから貸せ』の意になるのかな。
きっと昔の人は空を切って飛ぶ猛禽類のスピードに憧れたんでしょう。
このアイテムはROでも肩装備として登場してますね。
説明欄に『ニヨルドの娘、フレイヤがロキによく貸したというマフラー』とありますが、北欧神話を紐解くと本当にしょっちゅうロキに貸してます…というか、フレイヤ自身が使うシーンが全然見当たりません。
(軍神として戦場に出る時に装備してたらしい)
フレイヤ『ちゃんとすぐに返してよね;;』
ロキ『任務が終ったらクリーニングして返すって!』
オーディンの妻フリッグも同じ装備を持っているのですが…。
ロキは遊びでフリッグからファルコンローブを借りた際、巨人に拉致監禁され数ヶ月間借りっぱなしでした。
原典に直接的な表現はありませんでしたが、彼は監禁された箱の中でファルコンローブを着たままウンコやおしっこを垂れ流してたのです。
返却時のフリッグの心境はどんなものだったんでしょうか。
俺がフレイヤやフリッグだったら死んでも貸したくありません。
さて。
ローブを借り、ハヤブサの姿になったロキは出発直前、こう言い残しました。
ロキ『美の女神も林檎食わないとババァだな(ボソッ』
フレイヤ『ガーン!Σ(TДT;)!!』
物を借りる立場で暴言を吐くロキ…。
しかも原因を作ったのはお前じゃないか!
彼は今回の様に大きなトラブルを持ち込んだり、他人の悪口をズバズバ言うので、神様達からめちゃくちゃ嫌われています。
一方その頃。
雪山スリュムヘイムにある、巨人族シアチの家では…。
シアチ『じゃ、ワシらは釣り行って来るから林檎育てとけよ( ´,_ゝ`)』
シアチの娘『やっぱり林檎には白身魚が合うわよね(´∀`)』
イドゥン『いくら林檎の原産地が寒冷地帯でも、こんな万年雪じゃ無理です!!。・゚・(ノД`)・゚・。』
アース神族要人を拉致したにも関わらず、犯人シアチは見張りも付けずにノンビリ父娘で釣りに出かけました。
イドゥンの監視は詩の蜜酒未満ですか…。
当初の作戦は良かったのに、全然策士じゃなかった。
イドゥン『ううっ、林檎が育たなかったらきっと巨人に殺されてしまうわ。・゚・(ノД`)・゚・。』
武勇の力を全く司っていない捕らわれの女神は一人悲嘆に暮れておりましたが、ガードの緩くなった巨人宅。
これ幸いと、ハヤブサに変化したロキがヒーローぶって現れました。
ロキ『イドゥン、助けに来たぜ!!』
イドゥン『元を正せば貴方のせいじゃありませんか!裏切り者っ;;』
ロキ『紅葉おろしが怖くてつい…』
イドゥン『お義父様にボコボコにして頂きますからね!ヽ(`Д´)ノ』
※イドゥンの夫ブラギはオーディンの息子
ロキ『既にさっきボコされたから(‘A`;)』
何はともあれ。
さっさと逃げるため、ロキは魔法でイドゥンを一粒のクルミに変えました。
クルミなら猛禽類の足でもカンタンに持ち運びできますね。
ロキ『|Д゚)ジー…』
イドゥン『何です?早くここから逃げましょう』
ロキ『俺、クルミパン好きなんだよね(*’¬’)ジュルリ』
イドゥン『Σ何で今そんなこと言うんですか!?ヨダレ垂らさないで下さい!』
ロキ『ははは。大丈夫、女の子は違う食べ方のが美味しいし(・∀・)』
イドゥン(戻ったらオーディン様にあることないことチクろう…)
食い意地の張った神ロキが、よくクルミ姿のイドゥンを食わなかったなと俺は思うんです…。
イドゥンを連れ、ロキは猛スピードでアースガルド目指し飛んで行きました。
しかし釣りを終えて帰宅した巨人シアチは、女神が消えていることに気づき大激怒。
ロキを引きずり回した時の様に、鳥に化けて追撃を開始しました。
壮絶なる鳥レースの模様。
シアチ『貴様ァアァ、紅葉おろしにしてくれるわーーー!!』
ロキ『うるせー!紅葉おろしより、身内の神の方が怖いんじゃーー!!』
どう考えても
アース最高神の血染め鷲の刑+神全員からフルボッコ>>>巨人1人の紅葉おろし
ですよね。
ロキは全力で飛び続けましたが、シアチも負けてはいません。
決して距離を開けさせず、ぴったりとロキを追尾飛行します。
シアチ『待たんかゴルァアアアアァアアア!!』
ロキ『もうすぐアースガルドだっつーに、しつこい野郎だぜ(;´Д`)』
イドゥン『捕まったらフライドチキンのクルミ入り林檎ソース添えにされるー。・゚・(ノД`)・゚・。』
ロキ『旨そ…(*’¬’)』
イドゥン『Σ食材は私達ですよ!?』
二羽の鳥は輝く太陽に向かって空を突き進みます。
そして、いよいよ神々の溜まり場グラストヘイム上空に突入しました。
ロキはラストスパートをかけて急降下します。
飛行レースの終着点では、偉大なる戦神オーディンが二人の神の帰還と、巨人の追撃を準備万端で待ち受けていました。
ロキが着地するやいなや、主神は自軍に号令をかけたのです。
オーディン『今だ、やれ!』
神A『ファイアーウォール !!』
神B『ファイアーウォール !!』
オーディンの合図で、神々は一斉に火の手を放ちました!
そして、前述の通りハヤブサの滑空最高速度は時速300km。
このスピードに付いてきたシアチが急に止まれるはずもありません。
巨人シアチは火柱に勢い良く飛び込み、焼け死ぬことになったのでした。
ロキ『よっしゃー、今日の晩飯は鳥の丸焼きだー!!.゚ヽ゜・。+(・∀・)+。・゜ +.』
イドゥン『Σそれ巨人ですけど、食べるんですか!?』
オーディン『いいから早くイドゥンを元に戻せ』
クルミから女神の姿に戻ったイドゥンが目にした光景。
それは…
ヨボォォ~ヨボォォ~~な神々とイドゥン+その他神の図。
ブラギ『フガフガ…みっちゃんみちみちウンコたれて~♪』
イドゥン『ブラギ、ボケないでっ!詩神の美声でそんなの歌っちゃダメっっ!!』
神A『イドゥンさん、林檎はまだですかいのぅ~』
神B『あたしゃ歯が弱くなったから、林檎はすりおろして欲しいですじゃ~』
フレイヤ『もう任務終ったんだから装備返しなさいよ;;;』
ロキ『ハヤブサのスピードに着いて来れるか、ババァ!!ヽ(`∀´)ノ』
オーディン『やれやれ、一件落着だな』
神々の若さの源イドゥンが無事戻り、肩の荷が降りたオーディンでしたが…実はこの話まだまだ続くのです。
ROではどちらかというと二軍扱いの演奏スキル『イドゥンの林檎』ですが、北欧神話ではとっても大事な兵糧だったんですねってゆー言葉で〆ときます。