第2楽節『イドゥンの林檎・前編』

イドゥンの林檎 !!
第2話のテーマはバードスキル『イドゥンの林檎』で謳われている女神イドゥン!


今は昔。
アース神族とヴァン神族の戦いが終った、ずぅっと後。
オーディン、ロキ、ヘーニルの神様三人PTがミッドガルド(人間界)に来ていた日のこと。

神様トリオ
神様トリオ@ミッドガルド(フキダシ内は俺のテキトーなアテレコです)

ミッドガルド訪問の目的はよく分かりません。
きっと『人間界に異変が無いか見回って来る!』と偉そうなことを建前にして、遊びに来たんじゃないかと。
『あー、仕事サボッて人間の女の子と遊びたい』と思ったオーディンが言いだしっぺで、自分と義兄弟の杯を交わした間柄のロキを誘う。
ロキは北欧神話で最も不真面目な神です。
遊びの誘いを断るはずがありません。
義兄弟同士の二人がつるんで、優柔不断な性格で有名なヘーニル(第5話参照)を巻き添えに出立したと想像。
他の説話にもこのトリオで出かける場面があるのですが、ヘーニルは毎回そこにいるだけの人です。
彼は特に何もしません…。

さて。
目的が遂行できたのか分かりませんが、お腹が空いてきた神様PT。
その辺にいた牛をぶっ殺してバーベキューを始めました。

オーディン『そろそろ肉に火が通ったんじゃないかな』
ロキ『おう。いいニオイだぜ(*’¬’)ジュルリ』
ヘーニル(レアでもウェルダンでも、どっちでもいい…)

ロキが肉の焼き加減を見ようとした、その時。
一羽の大きな野鳥が美味しそうな牛肉を掴んで、飛び去って行きました。

ロキ『俺の肉ゥゥゥゥゥウゥゥゥ!!!!!!』

彼は別件で巨人族と勝負した時、『お前の特技を見せてみな!』と挑発されて
ロキ『じゃあ早食い一本勝負で』
こう言い放った食いしん坊な神です。
自分のゴハンが盗られるなんて許せなかったのでしょう。
鳥がカギ爪に握っている肉へと迷わず飛びかかりました。


ロキ『俺の肉を返せーーーーッ!!』

しかし鳥は離すどころか、肉を掴んでいるロキごと平然と飛び続けたのです。
大空高く舞い上がってくれれば良かったのですが、鳥はやたらと低空飛行したものですから、ロキは地面を引きずられる格好となり、石やら茨やらに体中をぶつけて傷だらけになりました。
西部劇でロープに繋がれて馬で引きずり回されるアレの北欧版?

ロキ『痛ェェ!くそっ、肉はあきらめるか…』

ロキはしぶしぶ肉から手を離そうとしました。
しかし、どうしたことでしょう。
肉を握った拳が開きません。

ロキ『なんぞ!?肉を食いたい俺の深層心理の表れ!?いや、何かの魔法だコレ!(゚Д゚;)』

どうもこの鳥には怪しい力がある様子。
地面に擦られ続け、ロキのHPはいよいよ赤ゲージに突入です。

ロキ『ギャーー!もう何でもするから許してーー!。・゚・(ノДT)・゚・。』
鳥『ほーう、本当に何でもするんだな?( ´,_ゝ`)』

ロキが泣きを入れると、なんと鳥が喋りだしたではありませんか。

ロキ(ウワァ、やっぱフツーの鳥じゃなかったよ…(‘A`))
鳥『離して欲しけりゃ女神イドゥンを巨人国に拉致って来な』
ロキ『キサマ、巨人族か!?仲間を売る様な真似はできねぇ!( ・`ω・´)+』
鳥『じゃあ紅葉おろしになって死ね』
ロキ『痛ッ、痛いぃぃ!やります!!やるから助けて!!』

ロキは我が身可愛さにYES回答してしまいました。
取引に応じた途端、彼の手はいとも簡単に肉から離れたのです。

鳥『いいか、約束破ったら紅葉おろしだからな!』
ロキ『は、はい!(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル』

鳥は駄目押しに凄むと、空の彼方へ去って行きました。
盗人の正体は神族の宿敵・巨人族シアチ。
目的は始めから肉ではなく、神を脅してイドゥンの身柄を要求することだったのです。
ハメられた…とロキが後悔するも時すでに遅し。
意地汚いからこういうことになるんですよ。
では、巨人から名指し要求されたイドゥンとはどんな神様でしょう?


女神イドゥンは詩神ブラギの奥さんです(*’ヮ’)

イドゥンの仕事は『若さを保つ黄金の林檎』を管理、神々に配ることです。
バードスキル『イドゥンの林檎』のオブジェのアレっすね。
この黄金の林檎とは世界樹イグドラシルの実を指すって説もあります。
今風の言葉で言うと『アンチエイジング』の神ですが、神々がイドゥンの林檎を食べていたのは美容と健康のため…ではありません。
神様界で流行りのスイーツだった訳でもないよ!
来たるべき最終戦争ラグナロクに向けて、若さと力を温存する必要があったからです。
軍事的な理由だったんですね。

そして、この林檎はイドゥンにしか管理できない特別な植物だったそーです。
つまりイドゥンを拉致すれば、神様軍は若さと力を失い、戦闘力が大幅ダウンするということです。
人間界でグダグダしてた神様トリオには最高神オーディンもいたのに、総大将には直接手を出さず、神様全体の弱体化を狙うとは…。
この巨人、なかなかの策士ですね。

さてさて。
ミッドガルド滞在を終え、天上界アースガルドへ帰還した神様PT。
紅葉おろしになりたくなかったロキは、速攻でイドゥンの元に走りました。


ロキ、女神イドゥンを誘うの図。

ロキ『なぁなぁイドゥン、こないだトリオで人間界に行って遊んでた時にさー』
イドゥン『あら、ミッドガルドにはお仕事で行かれたのでは…?』
ロキ『あっ、いや、モチロン仕事の後のOFFだよOFF!その時、スゴイ物を見つけたんだ!』
イドゥン『スゴイ物?』
ロキ『新種とおぼしき黄金の林檎を発見したんだ。君に見て貰いたくってさ』
イドゥン『マジですか~!(‘ヮ’*)林檎班長としては捨て置けませんわね!』
ロキ『だろ?ww若返り効果があるかも知れないよ~(・∀・)b』
イドゥン『ではミッドガルドへ向かう前にオーディン様にも御報告を…』
ロキ『アアアアアア!ダメッ!!ほら…ぬか喜びさせても悪ィし、検証してからにしようぜ★ミ』
イドゥン『そうですわね。まずは私の目で確認致しますわ(‘ヮ’*)リンゴッ!リンゴッ!』

こうして林檎に目が無いイドゥンを口八丁手八丁で丸め込んだロキ。
神の国アースガルドからまんまと彼女を連れ出し、巨人シアチの手に引き渡したのでした。


巨人シアチ(が化けた鳥)にテイクアウトされるイドゥン

シアチ『ふははは、御苦労だったな!イドゥンは確かに頂いた!!』
イドゥン『騙しましたね、ロキーー!!。・゚・(ノД`)・゚・。』
ロキ『さよなら、イドゥン!君のことは忘れない!( ・`ω・´)ノシ』

ロキの裏切りによって捕らわれの身となった女神イドゥン。
その運命や如何に!?
第2楽節『イドゥンの林檎・後編』に続く。

コメントする

CAPTCHA