第19楽節『ヴィリとヴェー』

オーディン一派の家系図
今回はオーディンの実弟ヴィリとヴェーについてです(*’ヮ’)

ヴィリとヴェーのどっちが年上なのか不明ですが、毎回『ヴィリ・ヴェー』の順で名前が表記されてるので、おそらくヴィリが次男・ヴェーが三男だと思われます。
なお、三兄弟の名前の意味はそれぞれ『オーディン(激怒する者)』、『ヴィリ(喜び)』、『ヴェー(悲しみ)』。
四兄弟で「楽」がいれば喜怒哀楽ブラザーズだったのに。惜しい。

ユミル討伐
この二人は兄のオーディンと共にユミルを殺害。

その後、超巨大なユミルの肉体を材料にして人間界を創りました。
…ここで二人の出番は、ほぼ完了です…(*’ヮ’)
最高神の実弟なら神様界じゃセレブ中のセレブなハズなのに、とにかく全然出番がない!
オーディンの個性が強烈過ぎて、弟達は目立たなかったんでしょーか。
そんな地味神のヴィリ&ヴェーについて現存する数少ない記述を基にした、捏造99%神話をどうぞ(*’ヮ’)n


オーディンとフリッグ新婚時代
今は昔。
アースガルドの王様になったオーディンは婚姻の女神フリッグを正妻に迎え二男をもうけました。
しかし皆様も御存知の通り、家庭を持ったというのにオーディンはまるで落ち着く気配がありません。
ナンパ、敵の暗殺、知識を得るための苦行などなどのために、年がら年中、玉座を離れていました。
ある日のことです。

旅に出るオーディン
オーディン『しばらく人間界でフィールドワークをするから、留守を任せたぞ』
フリッグ『はい、行ってらっしゃいませ』
ヴィリ&ヴェー『兄上、旅の御無事をお祈りしております』

最高神は、またしても冒険の旅に出かけました。
しかし今回はいつもと勝手が違ったのです。
フリッグやヴィリ&ヴェー兄弟が待っても待っても、オーディンは帰宅しませんでした。
あんまりにも長い間、オーディンが消息不明のままだったので…

フリッグ『おかしいわ。普段ならどんなに長旅でも、とうに帰って来ている頃なのに…』
ヴィリ『義姉上、これは最悪の事態が起こったと見るべきですね』
フリッグ『さ、最悪の事態って…?』
ヴェー『兄上が旅先で死んだということです』
フリッグ『そんな…あの人が死ぬだなんて…;;』

神々はオーディンが死んだものとして諦めてしまいました。
現代日本では配偶者の生死が三年以上明らかでない場合、民法770条の定めるところにより離婚・財産の相続が可能となります。
アースガルドの法律がどーなってんのか不明ですが、神様界のお話だからオーディンは数十~百年くらい失踪してたのかも知れない。
しかも彼は一般人ではなく最高神ですから、問題は家庭内に留まりません。
王がいつまでも不在ではアースガルドの平和に係わるので、早急に次王を立てる必要があります。
神様達は緊急会議を開きました。

神様会議
ヴィリ『バルドゥル王子はまだ御幼少ですから、我ら兄弟がアースガルドを継承します』
フリッグ『そうですか…』
ヴェー『なお兄上の居城ヴァラスキャルヴ、ヴァルハラなどの資産は我ら兄弟で分割相続します』
フリッグ『そうですか…』

フリッグは夫を失って放心状態でした。

ヴィリ『しかし生身の女神である義姉上は物理的に分割できないので…』
フリッグ『そうですね…』
ヴェー『我ら兄弟の共有嫁とすることに決まりました!』
フリッグ『そうですね……って、共有嫁!!?何を言っているの貴方達!!』

生返事で答えていたフリッグも、ヴィリ&ヴェーの珍発言に仰天して我に返りました。

ヴィリ『アースガルド法では”未亡人は夫の兄弟と再婚すること”と決まっています(キリッ』
ヴェー『これは生前、兄上が制定された法律ですから(キリッ』
ヴィリ&ヴェー『そして、これからは我ら二人がアースガルドの法律です!(キリリッ』
フリッグ『な、何て法律を遺してくれたのオーディン;;;』

こうして哀れフリッグは夫の弟ヴィリ&ヴェーと再婚することになってしまいました。
寡婦が夫の兄弟と再婚っていうルールは違う宗教・民族にも見られる習慣ですが、なんでヴィリ&ヴェーのどちらか一人と再婚じゃなかったのか分かりません。
投槍に予想すると…

ヴィリ『ずっと前からお慕いしてました…!』
ヴェー『義姉上、幸せにします!…いや、今日からは我が妻と呼ばなくては!』
ヴィリ&ヴェー『五月蝿い兄上もいなくなったし、フリッグは我らの嫁ッ!ヽ(゚∀゚)人(゚∀゚)ノ ヒャッホー!!』
フリッグ『何なのよ、この義弟達はー!?;;;』

オーディン失踪の遥か以前から、ヴィリ&ヴェーは心密かに兄嫁に憧れていたんじゃないかと。
そんでもって裏でコッソリ…

フリッグについて熱く語るヴィリ&ヴェー
ヴィリ『義姉上って、素敵だよな~』
ヴェー『うんうん、分かる分かる』
ヴィリ&ヴェー『あんなイイ女を放置するなんて、オーディン兄は何と勿体無いことをするのか…!』

二人で酒でも飲みながらフリッグについて語り合ってたんですよ。
オーディンが生きているうちは決して届かぬ高嶺の花でも、死んでしまったら棚ボタゲット!
しかし二人共、フリッグに恋していたのはお互い分かっていたので抜け駆けできない…。
だからヴィリ&ヴェーの共有嫁という結論に至ったんですよ!
…何の根拠も無いけど(*’ヮ’)+
こうして結託したヴィリ&ヴェーはフリッグを共有嫁とするべく、祝言を挙げることにしました。

珍結婚式
神A『新郎No,1、ヴィリよ。汝、病める時も健やかなる時もフリッグを愛することを誓いますか?(;´Д`)』
ヴィリ『誓います(キリッ』
神A『新郎No.2、ヴェーよ。以下同文(;´Д`)』
ヴェー『誓います(キリッ』
神A『新婦フリッグよ。汝、病める時も健やかなる時もヴィリ&ヴェーを愛することを誓いますか?(;´Д`)』
フリッグ(結婚の神として、この問いかけ文に激しく疑問を覚えるわ…!)
ヴィリ&ヴェー『義姉上、どうしました。早く宣誓して下さい』
フリッグ『うぅ…、ものすごく不本意だけれど誓いま……』

その時です。

オーディン、結婚式場に現れる
オーディン『お前ら一体何をやっとるんだ…』
ヴィリ『ギャーーー!兄上の亡霊がニブルヘイムから化けて出たーー!?』
ヴェー『ヒーーーー!悪霊退散!悪霊退散!どーまんせーまん!』
オーディン『たわけ。私はしっかり生きておるわ』

最高神オーディンその人が、珍結婚式会場に現れたのです。
どこか遠い地で客死したとばかり思っていた兄がケロッとした顔で立っているのですから、ヴィリ&ヴェーは腰を抜かしました。
しかし何のことはない、オーディンは単に冒険旅行が長引いていただけだったのです。
身内から死んだと認定される程の長期間、何をやってたんだか謎ですが、俺の見立てでは確実に浮気している。
…何の根拠も無いけど(*’ヮ’)+

夫の帰還を喜ぶフリッグ
フリッグ『あなた~~!御無事で本当に良かった~~~!。・゚・(ノД`)・゚・。』
オーディン(うーむ、久々に見ると嫁は可愛いなぁ)

ともあれオーディンが無事に帰還したため、その後も女神フリッグは最高神の妻であり続けました。
…これ、ヴィリ&ヴェーは凄まじくバツが悪いよね…。
俺だったら兄にも兄嫁にも合わせる顔がないわぁ。
ヴィリ&ヴェーが神話初期に登場するだけで活躍の場に乏しいのは、この結婚未遂事件で立場を損なったせいじゃないかしら。

涙の晩酌
ヴィリ&ヴェー『フリッグは我らの嫁ッ!…のハズだったのに…ウワーン;;;』

弟コンビは毎晩、涙酒を酌み交わしたに違いない。

さて。
この話、まだ終わりじゃなくってよ。
時代は流れまくり、最終戦争ラグナロク直前に発生した『ロキの口論』事件まで飛びます。
アースガルドに反旗を翻さんとするロキが、満座の宴席で神々の悪口を言い立てるシーン。
ここで衝撃の事実が暴露されたのです。

ロキの暴露トーク
ロキ『フリッグお義姉様はヴィリ&ヴェーとセクロスしたよねww結婚生活の神のクセに不倫ワロスwwww』
フリッグ『ガーーン!;;』

何てこった…。
オーディンは間一髪で帰還したのかと思いきや、弟共は既にやっちゃってたらしいぜ!?
流石オーディンの実弟だけあって手が早い。
まぁ、この重大事実は一行でサラッと流してあるので、正確には何を指しているのか不明です。
つー訳で、二説を立てました。

1.フリッグの不貞=今回の話
この説を採る場合、フリッグがヴィリ&ヴェーと寝ることになったのは、オーディンが失踪したせいです。
フリッグ当人には非が無いのに、神々の面前で『アバズレwwwwm9(^Д^)プギャー!』とロキに罵られたのは余りに酷。
そして、この説で一つ浮上する疑惑。
オーディンが姿を眩ましている間に、ちゃっかりフリッグを頂いてしまったヴィリ&ヴェーは…兄の帰還後に消されたんじゃないか…?
何せオーディンは自分の女でもない『イイナ~』と目を付けていただけのフレイヤが小人と援交した際、理不尽な嫉妬と怒りでブリーシンガメンを没収しています(第8話
そんな男が自分の本妻に手を出されて、大人しく黙っているでしょうか…?
ヴィリ&ヴェーが神話中~後期に登場しないのは、兄に粛清されたからじゃないのか…?

2.フリッグの不貞≠今回の話
これは『フリッグがマジな意味で不倫に走った』説です。
神話中、オーディンは頻繁に長期旅行に出かけていました。

フリッグ『また旅に出かけて…もう、あんな勝手な人なんか知らないッ!ちょっと貴方達!』
ヴィリ&ヴェー『はいっ、義姉上!』
フリッグ『昔、ワタクシを好きだと言ったわね。抱きなさい!(ドーン』
ヴィリ&ヴェー『喜んで寝台までお供致します!ヽ(゚∀゚)人(゚∀゚)ノ ヒャッホー!!』

…とキレて、自ら進んでヴィリ&ヴェーと不倫したのかも知れません。
真相は藪の中ですけどね。

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俺は初めて『グリームニルの詩』を読んだ際、『情報操作で夫をハメて、火あぶり拷問させるなんてフリッグは鬼嫁だー!(゚Д゚;)』と恐れおののいたのですが…。
オーディンは色々なタイプの女と付き合っているのに、フリッグの浮気相手は夫の弟です。
浮気するにしても夫の面影が恋しかったのだとすると、いじらしい話じゃありませんか…。
何だかんだ言っても、フリッグはオーディンを愛していたんだと俺は思うんですよね~。

  1. 火穂さん、コメントありがとうございます。
    良かったら参考文献の原典もお読み下さいね(ノンアフィ)

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