第21楽節『神々と賠償金・4』

投槍北欧神話・第21楽節『神々と賠償金・1』
投槍北欧神話・第21楽節『神々と賠償金・2』
投槍北欧神話・第21楽節『神々と賠償金・3』
の続き(*’ヮ’)


人間に拘束された神々
今は昔。
人間の漁師オッタルを死なせてしまった神様トリオは、遺族に莫大な賠償金の支払いを迫られました。
首を縦に振らなければ、代わりに命で償うことになっていまいます。
そこでオーディンに知恵をつけられたロキが黄金の調達役となったのですが…。

ダラダラしているロキ
ロキ『ふんふふんふーん♪夜中の散歩もオツなもんだねー(*’ヮ’)』

オーディンとヘーニルの命がかかっているというのに神様PT代表者は呑気全開でした。
こんなんで果たして身代金を上手いこと用意できるのでしょうか?

ロキは黄金を得るため、単身アースガルドを目指し……はしませんでした。
何故か神の国へ向かわず人間界を歩き続け、フレスエイ島に渡ったのです。
参考文献によると『フレスエイ島とは、現代のカテガッド海峡にあるレーセー島(レス島)』らしいです。
おお…現実世界に実在する場所なのか…。
頑張って世界地図で探してみましたよ。

レーセー島このあたり
堂々のマウス絵クォリティ(*’ヮ’)

カテガッド海峡はデンマーク・スウェーデン間の水域で、レーセー島はその中央に浮かぶ面積115平方km程度の小島(デンマーク領)
神話原典だと『ロキはフレスエイ島へ向かいました』の一節で済ませていますが、手ぶらの彼がどうやって夜の海を渡航したんでしょう。
船賃なんか持って無さそうだよ??
地図を見た限りデンマーク側から20km、スウェーデン側から60kmくらい陸地と離れてるんですけど…。

想像1.ロキは変身能力を使って魚や海鳥に化けて渡った。
想像2.ミッドガルドの海に潜む巨大蛇である、息子ヨルムンガンド(第14話)に運んで貰った。

どちらにせよ足が速いだけのヘーニルには不可能な芸当ですから、オーディンがロキに使いを命じたのも当然でしょうか。
そう、これはロキの個人的な寄り道ではありません。
フレスエイ島行きはオーディン本人の指図によるものでした。
この小島は神の国ではなく人間の領域ミッドガルドに位置していますが、とあるアース神が本城を構えていたのです。

エーギル&ラーン
それは海神エーギル&ラーン夫妻。

この二人は巨人族出身ですが、ロキと同じ様にアースガルドに鞍替えした神様です。
元巨人のせいなのか、お仕事が過激。
同じ海神でも大漁・航海安全を担当するニヨルドと違って、エーギル&ラーンが受け持つのは海の災厄。
夫エーギルが船を難破させ、妻ラーンが『溺死の網』で船乗り達を水底へ引きずり込んで殺すのです。
夫婦二人三脚の神様なんですね。
…嫌だ、こんなブラックな夫婦善哉は…。
日常生活で死んだ人は冥王ヘルが治めるニブルヘイムへ逝きますが、海難事故で死んだ人の魂はエーギルの館へ収容されるシステム。
(そもそもコイツらが殺してる訳だしね…)

この時、二人に黄金を上納するとゴージャスな御殿で安楽な死者ライフを送らせて貰えます。
しかし捧げる黄金を持っていないとブタ箱に押し込まれるのです。
古代北欧の船乗り達は万一、航海事故で死んでも海の冥王エーギル&ラーンに歓待して貰える様に黄金のお守りを持ってたんだって(*’ヮ’)
そしてエーギルの館では、溺死者から徴収した黄金の輝きを照明代わりにしていたそうな。
…どんだけ殺したんですか…。
人間にとっては神様っていうか、もはや悪鬼の様な存在。
方法はともかくエーギル&ラーンは資産家だから、黄金を借用するにはモッテコイ!って寸法でしょうか?
いやいや…。

エーギルの館にて
ロキ『ぼなせーら!(*’ヮ’)n』
エーギル『おう、ロキか。こんな夜中にどうした?』
ロキ『いやー、ちょっくら溺死の網を貸して欲しいんだわ』
ラーン『溺死の網はウチの仕事道具なんだけど…?』

ロキは何故か、船乗りを水死させる禍々しい網の拝借を切り出したのです。
前述の通り、エーギル&ラーンは北欧神の中でも荒ぶる災害担当なので優しい性質ではありません。
商売の要であるアイテム・溺死の網を貸し出すことに良い顔をしませんでした。
そこでロキは…

ロキ『それが俺らのボス直々の命令でさぁ~。俺の顔を立てると思って貸してくれよっ><』
エーギル『オーディン様の依頼じゃ、断る訳にいかねーな。ラーン、網を貸してやんな』
ラーン『仕方無いわねー、大事に扱ってよ?』
ロキ『せんきゅー(*’ヮ’)v』
ラーン『借りパクしたら、自分の小便で溺死させるからね』
エーギル『速攻でブタ箱逝きな』
ロキ『返すって!ホント返すって!同じ元巨人族でも容赦ねーな、お前ら!Σ(゚Д゚;;)』

最高神の名前を出し、何とか溺死の網を借り出すことに成功したのです。
こんな口八丁もヘーニルには100%無理ですね。
そして海神から五月蝿いことを言われる前に、ロキは投網を担いで館を去ってゆきました。

不審がる海神達
ラーン『何に使うつもりなんだろ。。。』
エーギル『災害担当神として自信を持って言える。アレは善行には絶対使えないと
ラーン『ダヨネー』

せっかく金持ちな身内の館に立ち寄ったと言うのに、ロキは黄金のことなどオクビにも出しませんでした。
彼は手癖の悪い神ですが、一つまみの黄金もパクったりしていません。
(ていうか、エーギルの館で盗みを働いたら殺されそうだ…)
ロキが不吉な漁網を借りることと、黄金の手配に一体どんな関わりがあるのでしょうか?
次回、知識の神オーディンが考案した黄金大作戦の全貌が明らかになる!

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1話の長さにムラがあってスマン\(^o^)/
場面転換があるから仕方ないんだってゆーことにして下さい。
あと3話で終わる予定でございます。

  1. コメント早ぇ!
    本編2回+後日談1回かな…。
    後日談は本編最後とまとめちゃうかも(・ω・)

  2. 原典だと全8ページの話なんだけど、解説を入れると長くなっちゃうね(;’ヮ’)
    今回の話なんか元は半ページも無い!

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