投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・1』
投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・2』
今回、フレイヤ様はお休みです(・ω・)
捏造も特盛。
今は昔。
愛と戦争の女神フレイヤは、アースガルドでオーズという神と結婚しました。
幸せな夫婦は二児に恵まれますが、オーズはある日を境に失踪。
世界中を捜しても夫を見つけることは叶わず、フレイヤは悲しみに泣き濡れたのでした…。
舞台と時代は移り変わって、人間界ミッドガルド。
そこにはアースガルドの神々に仕える若い戦士が二人おりました。
一人はオッタル。もう一人はアンガンチュールです。
(※戦士オッタルは『神々の賠償金』に登場した、カワウソ変身漁法のオッタルとは同名の別人です)
彼らは勇猛で信仰心の篤い、立派な戦士でしたが…
オッタル『俺は強い戦士だーー!』
アンガンチュール『私はもっともっと強いーー!』
オッタル『俺は神々を信じてるーー!』
アンガンチュール『私の信仰心は108式まであるぞーー!』
…残念なことに性格のソリが合わない犬猿の仲で、事あるごとに張り合って譲りません。
アンガンチュール(オッタルめぇぇ、奴がいなければ戦果は全て私の物なのに…!!)
アンガンチュールは『いっそオッタルを暗殺したい!』と歯噛みしていました。
しかしライバル認定されるだけあって、両者の実力は伯仲。
まともに斬り合ったら、無傷では済みません。
そこでアンガンチュールは目の上のタンコブであるオッタルを失脚させるべく、一計を案じたのです。
ある日のこと。
二人はいつもの如く、罵り合っていました。
アンガンチュール『やーい、やーい!弱虫オッタルー、お前のカーチャンでーべそ!』
オッタル『俺のカーチャンは出ベソじゃねーー!』
アンガンチュール『どうだかな~wwお前の家は卑しい血筋だから、ヘソも特大サイズじゃあないのか?』
オッタル『何だとぅ!?』
アンガンチュール『どこぞの馬の骨と違って、我が家は先祖代々、由緒正しい家柄だけどな~!』
オッタル『俺の御先祖様を馬鹿にしたな~~~!』
アンガンチュール『お前なんか、爺さん婆さんの名前すら暗誦できない脳筋だし推して知るべしだな。ププッ』
オッタル『ムキ~~~~~ッ!』
北欧神話では神も人間も血の繋がりを大変重んじます。
アンガンチュールの罵倒は最大級の侮辱行為と言えるでしょう。
オッタル『もう…許せん……!表へ出て決闘だ!!』
アンガンチュール(ククク…)
熱しやすい若者のオッタルは、アンガンチュールの企みとも知らず激昂します。
しめしめ…と内心で舌なめずりしつつ、狡猾なアンガンチュールは誘いかけました。
アンガンチュール『お前が血統を証明したいのなら、剣ではなく神々の御前で弁論すべきじゃあないか?』
オッタル『神々の御前で…だと…!?』
アンガンチュール『ヴァルハラで各々の係累を暗誦し、それが正しいか、どちらが高貴か認定を受けよう!』
当時は正確な戸籍や台帳なんか無いし、勿論DNA鑑定なんて概念すらありません。
従って、家系を数百年単位で遡って語る場合は…
スウェーデン古代王朝・ユングリング家『俺らの先祖は軍神フレイ(キリッ』
とか割と言ったモン勝ちでした。
…ハラルド美髪王(嫁ゲットのためにノルウェーを統一した人)の事は世界史で習いますね。
しかしフレイの子孫という設定は知らなかったお…。
そもそもどこの国でも神話って存在自体が、実在の先祖を神格化して正統性を主張&誇張した末の物語なんですけどね。
聖書も第一章の第一節から延々と家系を書き連ねていて、宗教の授業は開始から眠気と格闘するはめに陥ったわ。
まぁ、それは置いといて。
物語チックに解釈すると、アンガンチュールの提案は家系が捏造では無く、真実と証明するために「神の視点」が必要だろ!とゆー事にしましょう。
アンガンチュール『先祖の名前を一文字でも誤ったら負け。まぁ私は尊属の名を間違ったりしないがねw』
オッタル『俺だって間違わねぇよ!』
アンガンチュール『では完璧に暗誦した上で、神々に「より高貴な血筋」と判定された方が勝ち、としよう』
オッタル『臨む所だぜ!』
アンガンチュール『全財産を賭けて勝負するか!?』
オッタル『賭けるッッ!』
オッタルは挑発にまんまと乗せられ、アンガンチュール発案の『家系暗誦+御先祖様の高貴さ対決』を約束してしまいました。
北欧神話では「全財産を失う=破滅」です…。
アンガンチュール『勝負は3日後!戦死者の館ヴァルハラで!』
オッタル『首を洗って待っていやがれ!』
戦士なら素直に拳で語り合えよ…。
まー、古代北欧では戦場での『名乗り、口上』も武人として不可欠な要素だから良いのかな…。
日本でいう『やあやあ、吾こそはドコソコの国の住人、グエ川グエ郎なり。畏くもダレソレの君の勅命により、朝敵を征伐するために参った!』みたいなヤツね。
アンガンチュール(ククク…馬鹿め!!)
しかしオッタルが熱くなったところで、自分に連なる御先祖様は努力や根性で変わりません。
本人の意思とは無関係に、生まれた時から勝手に決まっている…曲げられない運命の最たるもの。
わざわざアンガンチュールが「変えられない家系」で勝負を挑んできたからには、相当の自信があるということです。
ハメられたオッタルに勝機はあるのでしょうか?
つーか、この対決は表題『愛の女神の恋』と何の関係があるんでしょうか?
すっとぼけながら次回『愛の女神の恋・4』へ続くっ!(*’ヮ’)ノ
初めて読む物語なんで楽しみです
続きはだいぶお待ちください・・・
つづきはよ
たぶん…今週末くらいに…
全部読みました(*´∀`*)
すごく面白かったです、続き楽しみにしています!
あと、出来たら今度はロキさんが誘拐されてアスガルドの神になっちゃう所のエピソードも書いていただきたいです!
あんまり更新しないブログなのにありがとうございます。
ロキさんが神になる辺りは…手持ちの資料が少ないのと、『ロキって何考えてんのか謎だよね』っていう根本的な問題があるので…予定は未定です。
スイマセン。
コ、コメントに変身をくださっている・・・!
それは残念です(´・ω・`)
では、このお話の続きと、その他のお話も更新楽しみにしています!
それにしてもあるまん様のロキさんいいキャラしてますよね!大好きです!
何かイイ資料がゲットできればあるいは。。。
ロキは元が面白い神様なので、色々いじれますね。
何考えてんだかは謎ですけど(‘A`)