第33楽節『愛の女神の恋・2』

女神フレイヤ
投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・1』
フレイヤ様のロマンス大河編(?)の続きでござるよ( ^ω^)


ニヨ一家の移住
今は昔。
アース・ヴァン神族戦争が終結した頃のこと。
ヴァン神族のエリート・ニヨルド一家が、親善大使としてアースガルドに移住しました。
双子の兄妹であるフレイ&フレイヤは恋人同士と言って差し支えない仲でしたが、アース族において近親相姦はタブー。
二人が結ばれることはなくなり、フレイは巨人娘ゲルドと夫婦の契りを交わします。

フレイヤ
『愛の女神フレイヤの初恋は失恋であった』と言えるんじゃないでしょうか。
幼少時から好き合っていた男と、政治的な理由で別れざるを得ないってのは残酷ですね。
北欧神は全能の存在ではないので、運命神(ノルン)であっても好き勝手に未来をいじれないし、軍神だって苦戦や戦死します。
最高神オーディンがいずれ戦いに敗れ去って死ぬ定めである様に。
愛を司るフレイヤもまた、自分の恋路が侭ならぬ女神であったのです。

しかし北欧神話随一の美貌を誇るフレイヤです。
フレイとは叶わぬ恋になったものの、アースガルド中の神々からモテまくっただけでなく、仇敵である巨人族から求婚されたり(第6話第21話)、セクハラされたり(第15話)、エッチな小人から援交を持ち掛けられたり(第8話)…。
引く手あまたの選り取り見取り!
「男日照り」なんて言葉はフレイヤ様の辞書にはありません。

そんな彼女のハートを見事、射止めたシンデレラボーイは……!

オーズ 職業:アース神族 担当:不明
新天地アースガルドで出会った神、その名もオーズ!

このブログでは初登場のオーズさん。
それもそのハズ、オーズの詳細スペックは神話に記載されていません。
彼の担当属性はおろか、フレイヤとどーゆー馴れ初めなのかも謎。
セクハラ被害や援交の履歴は残ってるのに、なぜ本命の男の話が現代に伝わっていないのか…。
今も昔も、醜聞ほど大きく喧伝されるってことなんすかね。

とにかくフレイヤがオーズにぞっこんだったのは確かで、片時も彼の側を離れようとしなかったと語られています。
オーズが何の守護神なのかは分からないけど、顔面がハイレベルであったろうことは想像に難くない。

フレイヤとオーズの結婚
オーズ『愛してるよ、フレイヤ』
フレイヤ『私も世界で一番愛してるわ!!』

フレイヤはオーズと愛し合い、めでたく結婚しました(・ω・)
このラブラブ夫婦の間には二人の娘・フノスとゲルセミが誕生。
『フノス』『ゲルセミ』はどちらも『宝物、宝石』という意味です。
美の女神フレイヤの血を引いているし、名前からしても珠の様な美少女だったんでしょうね(*’ヮ’)

神話のヴァージョンによってはフノスの記載しかないので一人娘説もあるんですが、ヴァン神は『二人で1セット』が重要なので、俺的には姉妹だと思っております。

しあわせなフレイヤ一家
フレイヤ『オーズ、あなたに尽くします !!.゚ヽ゜・。+(*´∀`*)+。・゜ +.』
オーズ『フレイヤ、君だけは守るよ !!^^』
フノス&ゲルセミ『ママ、パパ、大好き !!(*´∀`)´∀`*)』

高貴な血筋、愛し合う美男美女の両親と、美少女姉妹。
ウザい位リア充…ゴホッゴホッ…絵に描いた様な幸せいっぱいの家庭です。
しかし一つ問題がありました。
オーズは他のアース神達と同じく冒険旅行が大好きで、自宅を留守がちだったのです。

オーズ『しばらく私は旅に出るよ』
フレイヤ『早く帰って来てね…(´・ω・)』
フノス&ゲルセミ『お父様いってらっしゃい~(*´∀`)´∀`*)ノシ』
オーズ『ははは、お土産を楽しみにしてなさい^^』

未開の大地を旅するのは、好奇心旺盛な神々にとって素晴らしい楽しみだったでしょう。
しかし、これまでに紹介した通りで、神様が旅先でとんでもないトラブルに見舞われることもしばしば…。
待つ身の家族にとって心配の種は尽きません。
そして不安は的中し…。
ある旅を境にオーズは行方知れずになってしまったのです。

オーズが帰還しなくなったフレイヤ家
フノス&ゲルセミ『お父様、ずっと帰って来ないよぅ(;Д;);Д;)』
フレイヤの侍女『もしやオーズ様は旅先でお亡くなりに…』
フレイヤ『そんな訳ないッ!オーズが死ぬハズないわ!(;ω;´)』

待てど暮らせど帰還する気配のないオーズ。
オーズをこよなく愛するフレイヤは軍神の仕事を放ったらかして、夫を探索に出かけました。

ある土地にて。
オーズ捜索の旅
フレイヤ『私の名はマルデル。オーズという男を知りませんか?(;ω;`)』
村人A『拙者、その様な御仁には覚えがござらぬなぁ』

また、違う土地にて。
オーズ捜索の旅
フレイヤ『私の名はスュール。オーズという男を知りませんか?(;ω;`)』
村人B『ここいらじゃ、見かけねぇぜ』

フレイヤは行く先々でマルデル、スュール、ホルン、ゲヴン、ヴァナディースなどなど…の名を名乗り、オーズの行方を泣きながら尋ねました。
何で名前を変えてたのかは…うーん、フレイヤに限らず北欧神は異名を沢山持っているので、特に意味は無いのかも知れない。
とりあえず、ここでは「フレイヤは変装して、様々な種族の情報網から夫の消息を掴もうと試みた」とゆーことにしておきます。

女神の涙
旅の道中、大地のあちこちに零れたフレイヤの涙は、土の中で黄金になったそうな。

軍神の国アースガルド、故郷ヴァナヘイム、妖精国アールヴヘイム、人間界ミッドガルド、巨人国ヨーツンヘイム、小人国ニダヴェリール、黒妖精国スヴァルトアールヴヘイム…。
全世界のあらゆる土地を探しても探しても、オーズは影も形も見つかりません。
世界樹イグドラシルに包まれた神話宇宙で、フレイヤが足を踏み入れていないのは冥界ニブルヘイムだけとなりました。
そうです、冥界。死の国です。
生者の国々のどこにもいないオーズはつまり…

フレイヤの侍女『旦那様はニブルヘイムで眠りにつかれたのでしょう…』
フレイヤ『嘘よ…オーズが死んだなんて嘘よ…うぅっ…。・゚・(ノДヽ)・゚・。』
フノス&ゲルセミ『ウワーン、お父様~。・゚・(ノДT)ノДT)・゚・。』

冥界ニブルヘイムは極寒の吹雪&死の瘴気に満ちており、神々といえど生身で侵入することは不可能。
ごくわずかな例外として、ロキの産んだ神馬スレイプニール(とその乗り手)、同じくロキの娘である半身ゾンビの冥王ヘルだけが、ニブルでも活動できるとされています。
そして北欧神話では「基本的に」神様は死んだら死にっぱなしです。
リザレクションとかザオリク的なスキルはないです、基本的に。
フレイヤがヴァルキリーを束ねる優れた軍神であろうと、オーズの生還を諦める以外にありませんでした。

オーズの墓
フレイヤ『ううっ…私のオーズ……しくしく…(;ω; )』

フレイヤは愛の祝福を与える女神でありながら、最愛の夫を喪った未亡人。
こんなに悲しく皮肉な運命はありませんね…。

初登場にして、いきなり死亡宣告されたオーズ神とは一体何だったのか。
彼についてはシリーズ最終回辺りにでもテキトーに解説します。

フレイヤ様の浪漫譚は投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・3』に続く。
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【投槍豆知識】
Vf砦MAP
夫オーズ探索の旅路でフレイヤが名乗った名前『マルデル、ホルン、ゲヴン、スュール、ヴァナディース』はROにおいてValfreyjaマップの砦名になってます。

”Val”は日本語で『戦争、殺戮の~』という意味なので、”Valfreyja”は『戦女神フレイヤ』ってコト。
GvでVf落城ログが流れたら、戦いの最中にもフレイヤの悲恋をほろりと思い出して下さいね。

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