第50楽節『大地の贈り物』

アースガルドのニューヒロイン参上!
(謝罪コーナーもあるよ)

例の如く、冒頭と結末は捏造が多めです(^ω^)


今は昔。
アースガルドにて。
最高神オーディン様は何やら頭を悩ませておられました。

オーディン『うーむ、土地が欲しいなぁ。土地、土地……どこか無いものか……』

神々の王は新たな拠点造りのため、未開拓の土地を欲していたのです。
戦争系シミュレーションなんかだと、まずは資源豊かな土地の確保が大事ですよね。
そこでオーディンは配下の農耕神達を呼び集めました。

オーディン『誰か新たな土地を見繕って参れ。うんと肥沃な土壌のやつだぞ』

オーディンの声に、進み出た神が一人。
それは……


ゲフィオン『このゲフィオンにお任せあれ!⸜(*’ω’)⸝⋆*』

初登場!豊穣の女神ゲフィオンです(*’ヮ’)
農耕を司り、畝(うね)造りなんかを守護してるんだって。

そして処女神であり、処女のまま死んだ人間の魂を自分の館に集める冥王業も兼任。
なおゲフィオンはフレイヤと同一人物説もあったりします。
これは確実に美人!!
何とも女子力の高そうな女神様ですね~。

※一部書籍では「女巨人」と書かれていますが、投槍神話ではアース女神にカウントしてます。

ゲフィオン様は一体どの様にして土地を確保するのでしょうか?

彼女は神々の国を出立し……


人間界ミッドガルドのスウェーデンに向かいました。

もっというと降臨地点は現代で言うストックホルムより西ら辺です。
今回は場所がだいぶ特定されております。

ちなみに今後、リアル世界地図はGoogleMap先生に丸投げします。
マウスでクソみたいな地図を手描きする必要なんか無かったんや!!

それはともかく。
太古のスウェーデンにて女神は一人の人物に会いに行きました。


それはスウェーデン王国の初代王・ギュルヴィ。
最古の王といっても伝説上の人物で実在してないそーです。

このギュルヴィ王、北欧神話的にはめっちゃ重要人物なんですが……。
投槍北欧神話は神様ワールドを主軸とした物語の都合上、ギュルヴィ王を深堀りすると整合性が取れなくなる点が多々ございます。
面倒くさいので、ここでは単に『人間界の王様』という位置づけにしておきます。
詳しくは北欧神話の本を読んでください。


こんな画像をスウェーデンだと言い張って良いものか???

ゲフィオンはこのギュルヴィ王に語りかけたのです。

ゲフィオン『かくかくしかじかで土地が欲しいの(*’ω’)b』
ギュルヴィ王『はっはっはっ、お安い御用ですぞ^^』

なるほど!
ギュルヴィ王の所有地を譲って貰おうという訳ですね。
王様なら土地をい~っぱい持ってるだろうし。
しかし……。

ギュルヴィ王『あっちに見える原野を一晩で耕せた分だけ差し上げましょう^^』
ゲフィオン『えっ、一晩で開墾を?(*’ω’)』
ギュルヴィ王『ええ、一晩で^^』

書籍には『ギュルヴィ王の寛大な申し出』と表現されてたのですが、俺はウルトラ★ドケチだと思います。
パッと読むと気前が良さそうだけど、重機のない時代、未開の原野を一晩耕したところで、その面積なんてたかが知れてるじゃん。
しかもゲフィオンは女性です。
豊穣神の中でも軍神を兼任するトール・フレイといった奴らならいざ知らず……。

投槍認定:ギュルヴィはケチ

ギュルヴィ王『では頑張ってくだされ!また明朝~!』
ゲフィオン『……』

ギュルヴィ王は女神を監督する訳でもなく、さっさとおうちに帰りました。

そして約束を取り付けた女神様は……というと、さっそく鍬を片手に原野を開墾し始め……たりは全然しませんでした。
何を思ったのか人間界を後にし、巨人国へ向かったのです。
今回のミッションは『一晩で開墾』という時限付きです。
1秒も無駄にできないのに何故??


世界で一番クソ雑なイグドラシルの図。

人間界ミッドガルドと巨人国ヨーツンヘイムはどちらも世界の第二層にあるので、移動にはそんなに時間かからない感じなんすかね?


ゲフィオン『ハァ~イ、そこの巨人ボーイ!(*’ω’)ノ』

わざわざ巨人国にやってきた女神は、一人の巨人男に声をかけました。
※巨人の名前やスペックは不明。

おっ、これは怪力の巨人に開墾を手伝わせる目論見でしょうか。
いいえ……。

 
 


巨人『はふんはふん!はふんはふん!』
ゲフィオン『ああ~ん

何ということでしょう。
ゲフィオンは巨人とおセックスし始めたのです。

やったぜ!!何かよく分からんがエロ展開だ!!!!
いや、おい……。

処女神の設定どこいった。

この時点までは生娘だったんでしょうか?
何となく俺は違う気がしてならない。

しかも彼女は即座に子を孕み、その日のうちに産み落としました。
それも4人。

流石は豊穣の女神様だけあって、尋常でない生殖力です。


ゲフィオンは魔法で4人の子供達を牛の姿に変えました。
(挿絵の都合上、獣人に見えますが、原作では普通に牛です)

超展開すぎる。

えー、とにかく……女神様は4頭の牛を伴い、再び人間界へ向かいました。
これもその日のうちです。
産後の肥立ちがめちゃめちゃ良い!

人間界から巨人国に移動
 ↓
巨人国でおセックス
 ↓
妊娠・出産
 ↓
巨人国から人間界に移動

この時点でまだ一晩経過していません。嘘だろ…?
う~ん、第21話では、ロキも一晩であっちこっち移動してるし、神様って健脚ですね。


ようやくストックホルムの西ら辺に戻ってきたゲフィオン+牛達。

ゲフィオン『さぁ、耕しなさい!マイベイビー達!!』
牛ベイビー『ンモオオオオオ!!!』

女神が号令を発すると、牛達は猛烈な勢いで地面を耕し始めたではありませんか。
耕運機の神話版って事でしょうか。
実際には牛さんに犂(すき)を付けてたはずですが、画像を作るのが大変なので割愛します。

な、なるほど……ゲフィオンは効率的に開墾するためにエッチッチな事に及んだ訳で、決して不真面目な心からではないんですね。
何か釈然としないけど、流石は豊穣神や!!

かくしてゲフィオン一家は一晩、荒れ地を耕して耕して耕しまくったのです。

翌朝。


ストックホルムの西ら辺は、牛さん達の頑張りで見渡す限りが切り開かれていました。

その面積たるや、実に1,140平方km!!
これは東京ドーム24,255個分に相当します。
東京ドームっていうか、もはや東京都の面積半分くらいです。
(開墾面積の根拠は後ほど)

す、すごい……すごすぎる……。
現代の土建技術でも到底かなわない開墾パワー。
豊穣神おそるべし……。
俺はギュルヴィ王がドケチで無茶振りしたと思ってましたが、ゲフィオン様にとってはイージーモードだったんかな。

ゲフィオン『一昼夜で耕したわよ!!(*’ω’)ドヤッ』
牛ベイビー『ンモーー!!!ドヤッ』
ギュルヴィ王『あ、あばばばば……(゚∀゚;)』

ウルトラ★ドケチのギュルヴィ王はきっと愕然としたでしょう。
渡すのは猫の額ほどの土地で済ませようとしたのに、東京都の半分ですよ。
己がどんな大地主でもあげたくないわ。

しかし、この世界において契約は絶対です。
王たる貴人が約束を違える訳にはいきません。

ギュルヴィ王『まぁまぁスタンダード……一晩ならこんなものかな……^^;』
ゲフィオン『じゃ、約束通り頂いていくわね(*’ω’)b』

ギュルヴィ王は不本意で堪らなかったでしょうが、女神に土地を譲らざるを得ないのです。
仮に約束を反故にしたら、スーパー耕耘能力で挽き肉にされる恐れがあるし。

しかし、ここから更に予想外の出来事が!!

ゲフィオン『さ、帰るわよ!マイベイビー達!!(*’ω’)ノシ』
牛ベイビー『ンモオオオオオ!!!』


4頭の牛達は満身の力を込めて、犂を牽きました。
すると犂が食い込んだ大地は隆起し、メリメリと地表は裂け、開墾地が剥がれていくではありませんか!
そして完全に分離した広大な土地を引きずって、ゲフィオンと牛達は颯爽と立ち去ったのでした。

ゲフィオン様、物理的に大地を根こそぎ持って帰った。

 

そんな壮大な挿絵は作れねぇ。

 


ギュルヴィ王『わ、我が国土がーーーーー!!?!!?』

後には1,140平方kmの馬鹿でかい穴だけが残されました。
地面の亀裂にはあちこちの河から水が流れ込み、雨が降り注ぎ、やがて大きな湖となりました。


こうしてできたのがスウェーデンのメーラル湖です。

現実世界のメーラル湖の面積が1,140平方kmとの事で、今回ゲフィオン一家が耕した総面積を同等と考えています。
ゲフィオン降臨の地がストックホルムの西ら辺、と特定できた理由もコレ。

【今回の教訓】
他人と契約する時は、金額・量・納期などを厳密に定義しよう。
『一晩分の出来高、全部あげる』とかテキトーな事をいうと、ヤベー奴に財産を根こそぎ取られるぞ。

そして……。


オーディン『……………』

 


ゲフィオン『うんと肥沃な土地を確保して参りました~!٩(*’ω’*)و』
オーディン『……(プルプル』
神々(……絶句……)

カートゥーンに出てくる穴あきチーズにしか見えないが、これは引っ剥がした土地だ。土地なんだ。

オーディン『た、大義であった……。あー…えーと。では、その土地…?…は人間界のデンマーク辺りに置いてきてくれ……』
ゲフィオン『このゲフィオンにお任せあれ!⸜(*’ω’)⸝⋆*』
牛ベイビー『ンモオオオオオ!!!』

ズドドドドドドドド!

オーディンの新たな命に従い、ゲフィオン一家は勢い良く人間界へUターンして行ったのでした。

次回以降に書きますが、オーディン様はゲフィオンを非常~に高く評価していたフシがあります。
今回の事件からしても凄まじい豊穣パワーは明らかですし、最高神すら一目を置いてたんじゃないでしょうか。

さて。
ゲフィオン達はスウェーデンとデンマークを隔てるバルト海につくと、土地をエイヤッ!と設置しました。


こうして、バルト海に突如としてできたのがシェラン島です。

シェラン島の面積は7,031平方kmなので、メーラル湖の面積からすると結構ガッツリ減っています。
まぁ、海に設置したので、差分は水中に埋もれたんだと想像。
メーラル湖とシェラン島は形が似ているので、昔の人はゲフィオンが土地を牽いてきたんだと信じていたそうな。

 

~ゲフィオンが去った後のアースガルド~


ロキ『オーディン。土地って、不動産だよな?』
オーディン『……』
ロキ『不動産って、その場に定着してて持ち歩けない財産の事だよな?』
オーディン『深く追求してはならん;;』

ゲフィオン編の途中ですが、ここで緊急謝罪会見のお時間です。


俺は第6話の城壁事件で…


ロキ『馬ッ鹿だな~。納品物は城壁だぜ?不動産じゃん!工賃不払いでも、おっさんが担いで持って帰れるモンじゃねぇ』

この様な捏造台詞を書きました。

不動産を持ち運びできる人物がアースガルドに存在するのをすっかり忘れてテキトーに書いたばかりか、気づいてからも10年以上放ったらかしにしておりました。
この場を借りて深くお詫び申し上げます。
ってか、このブログ、10年以上やってるの…?嘘だろ…??

まぁ、ゲフィオン様のスーパー耕耘能力は、神々にも想定外だったんだ……という事にしておいて下さい。
よーし、矛盾を吸収できたな。
謝罪おしまい。

 
 

最後に。

ゲフィオン(Gefion)という名は、『与える』を意味するgefaに由来するそうです。
英語の『ギフト』(Gift)の語源なんだってよ。

うーん。
お話的にはギフトというより、『土地強奪女』とか『超ダイダラボッチ』とか『爆走耕運機』とかのが合ってる気がしますけど。
ともあれ、爆誕したシェラン島の人間達は、素晴らしき大地の贈与者としてゲフィオン様を篤く信仰したんだとさ。

めでたし、めでたし。

このエピソードは1話完結ですが、スーパー豊穣神・ゲフィオン姐さんの爆走伝説は次回に続く!!

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【ゲフィオンの子供達について】

『ゲフィオンは開墾当日に4人の子供をもうけた』という設定ですが、別ヴァージョンのお話では『開墾より前から、もともと巨人国にゲフィオンの4人の子供達がいた』という設定だったりもします。
今回は面白要素を優先して前者を採用しました。

とりあえず俺は言いたい。

それ、どっちにしろ処女神じゃなくね?

この謎については次回以降、投槍考察します。

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