第10楽節『グリームニルの詩・後編』

『グリームニルの詩・前編』の続きです。
人間界に降臨したオーディンの運命や如何に(゚Д゚)


今は昔。
最高神オーディンは『人間の王子加護比べ』で卑怯な手段を使って妻フリッグに勝ったため、彼女を怒らせてしまいました。
キレたフリッグはオーディンに『ゲイルロド王は客人を拷問にかける駄目な王様』と嘘を吹き込み、ゴート国へ旅立たせたのでした。

フリッグ(あなたがチート行為するなら、ワタクシだって容赦しませんからね!)

嘘を真にするため、フリッグはメイドのフッラをゴート国まで先回りさせました。

ゲイルロド王とフッラ
フッラ『フリッグ様の使いの者です~|ω・)ノ コンニチハ』
ゲイルロド『ええっ、最高位女神フリッグ様の使者!?』
フッラ『実は貴方に呪いをかけようとしてる魔法使いがいます~|ω-)』
ゲイルロド『い、一体どんな奴ですか!?』
フッラ『番犬が全く吠えつかない犬耐性100%の男です~|ω・)b』
ゲイルロド『分かりました、気をつけます!』
フッラ(任務完了~|ω・)ゞウフフ)

フッラがゲイルロド王に発した警告、これはフリッグの嘘っぱちです。
オーディンをハメるための…。
ほどなくして条件に当てはまる男がゴート城に訪ねて来ました。

犬耐性100%の謎の旅人あらわる
謎の旅人『よーしよしよしよしよしよしよし』
猛犬A『クゥーンクゥーン(*´Д`*)』
猛犬B『クゥーンクゥーン(*´Д`*)』
ゲイルロド王(さっそく変なのが来た…!)

謎の旅人の正体は当然オーディンです。
狼や犬は最高神の眷属なので、どんな猛犬でも彼には吠えたり噛んだりしないのです。
オーディンは自分のことを『グリームニル(頭巾を被る者)』とだけ名乗りました。
ゲイルロド王はビクつきながら旅人に挨拶したのですが…

ゲイルロド『初めまして旅のお方。どちらからおいでになりましたか?』
グリームニル『さぁな』
ゲイルロド『…ゴート国には何をしにいらっしゃったのですかな?』
グリームニル『うるさい黙れ』

グリームニルことオーディンが『私は偉い最高神』な態度だったので、会話が全く成り立ちませんでした。

ゲイルロド(やばい。コイツが私の命を狙う暗殺者に違いない)

オーディン、拷問される
恐れをなしたゲイルロド王は、自白を迫るためにグリームニルを真っ赤に焼けた鉄で作られた拷問部屋に吊るしたのです。

ゲイルロド『さぁ、お前が何者なのか吐くのだ!』
グリームニル『……』
ゲイルロド『お前が口をきくまで吊るしてやるぞ!』
グリームニル『……』

グリームニルは沈黙したままだったため、それから八日間も炎の部屋に閉じ込められました。

さて。
ゲイルロド王には10歳になる息子がいました。
その子は、死んだ王子(※本当は沖に流された)の名前をとってアグナルと呼ばれています。
アグナル2世は父に似ず優しい心の持ち主で、拷問されるグリームニルを見て、大変心を痛めました。
いたたまれなくなったアグナル2世は、城中の人間が寝静まった頃にコッソリ拷問部屋に忍び込んだのでした。

アグナル2世、オーディンに水を差し入れる
アグナル2世『父上が酷いことをしてごめんなさい』
グリームニル『……』
アグナル2世『僕の力ではココから出してあげられないけど、せめてお水を飲んで下さい』
グリームニル『…ありがとう』
グリームニルが小さな王子様にお礼を言って杯を飲み干した時、炎が彼のマントを焦がし始めました。
グリームニル『炎よ退け!お前は激し過ぎる!』
アグナル2世『!?(゚Д゚;)』

旅人はついに正体を現し、神様パワーで炎を消し去りました。

オーディン『優しい王子よ、今日からお前は最高神である私の加護を受けるのだ』
アグナル2世『ええっ、最高神オーディン様!?(゚Д゚;;)』

正体を現したオーディン
オーディン『ゲイルロドよ、お前は権力に溺れ過ぎた。かつて私に命を救われ、王となれた恩を忘れおって!』
ゲイルロド『ええっ、あの百姓も旅人も正体はオーディン様!?』
オーディン『お前には死の運命を与える。たった今、この瞬間からゴート国王はアグナルだ!』

ちなみに原典でオーディンはこのセリフに丸々5ページかけています。
知識の神は話が長い。

謎の旅人=オーディンと知ったゲイルロド王は慌てて駆け寄ろうとしました。
すると、王の剣が鞘から抜け落ち…王はよろめいて…

ゲイルロド王死亡
自分の剣で串刺しになって死にました。

アグナル2世『ウワーッ、父上ーーー!Σ(TДT;;)』
オーディン『では、さらばだ』

ゲイルロド王が死ぬと、オーディンは忽然と姿を消したのでした。
…10歳児の前で父親を殺すなよ…。
絶対トラウマになって性格が歪むと思います。

こんな経緯で、心の清らかなアグナル2世が新国王となりました。
彼が治めるゴート国は最高神オーディンの加護を受けて、栄華を極めたそうな。

めでたしめでた…し…?

【勝手な考察】
俺は思いました。
『気に入らない客人を火あぶりにする』って、第5話でオーディンが魔女グルヴェイグにやったのと同じじゃね?
そのせいでヴァン神族と大戦争が勃発したのに、自分がやられるとキレるのか。
汚いさすが最高神きたない。
俺はオーディンに言いたい。
『あんたが加護しただけあって、ゲイルロドの性格はそっくりだよ!』と。

そして、もう一つ似ている点があります。
オーディン家も父親はイカれてるけど、息子バルドゥルは心優しい良い子ちゃん。
この話は『似たタイプの人間の家庭』を利用したオーディンVSフリッグ夫婦喧嘩の代理戦争とも言えると思うのです。
メイドのフッラを使って情報操作し、ゲイルロド王にオーディンを拷問させたって、よっっぽど腹に据えかねたんでしょーね。
きっとオーディン拷問中、玉座フリズスキャルヴの千里眼で様子を伺いながら…


フリッグ『その調子よ、ゲイルロド王!バンバン拷問なさい!どうせそんなことじゃ、あの人は死なないし

こんなこと言ってたに違いない。

こっから先は超想像。
オーディンの所業(ゲイルロドに悪事を吹き込んだ、フリッグが結婚させたカップルを嘲笑した)を根に持った彼女は、自分が司る結婚・出産・育児の神通力をフル活用して『ゲイルロド王にアグナルという名前の優しい息子を生まれさせた』のではないでしょうか?
その結果、フリッグが守護したアグナル本人ではなく、甥っ子のアグナル2世に向けてとはいえ『ゴート国王はアグナルだ!』とオーディンに宣言させたのだから、彼女はニヤニヤが止まらなかったはず。

フリッグの勝利
この夫婦喧嘩、巡り巡ってフリッグ奥様の勝利。
しかし神様の夫婦喧嘩に巻き込まれたゴート王家が悲惨過ぎます。

ゴート国王:息子二人が行方不明になって、心痛を抱えたまま死亡。
アグナル1世:沖に流される。
ゲイルロド王:串刺しになって死亡。
アグナル2世:目の前で父親が惨殺。

ひがいはじんだいだ/(^o^)\
フリッグ様、夫に言いたいことは人間を介さず直で言って下さい。

フリッグ『あんたなんか知識の神じゃなくって、チートの神よ!バーカバーカヽ(`Д´)ノ』

こういう感じで。

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