投槍北欧神話の数少ない読者様からお便りを頂きました。
『美形のにーちゃん』の神話…だと…!?
前にも書きましたが、北欧神話には美形な色男が大勢います。
古代北欧人は面喰いだったんすね。
今まで登場した神様だと…
オーディン『ここは女にモテまくりな最高神の私がだな…』
バルドゥル『父上、神話中で最も美形と書かれているのは自分です』
ニヨルド『ドキッ!!男だらけの足チラ大会ではバルドゥルを制してボクが美脚王になったケド』
ロキ『女にも変身できる妖しい魅力の俺を忘れて貰っちゃ困るぜ☆ミ』
ヘイムダル『古エッダでは「ヘイムダルが神の中で最高の美形」とされていますよ?』
※古エッダ…9~14世紀くらいにアイスランドで書かれた北欧神話の本
うーん。
どの神も『美形!』『モテモテ!』と神話で褒め称えられていて甲乙つけがたいのですが、俺が個人的に『コイツこそがNo.1イケメンなんじゃねーの?』と思う神は…
海神ニヨルドの息子にして、美神フレイヤの双子の兄・戦神フレイ!
美の女神と瓜二つの双子なんだから『一番美形のにーちゃん』な神はフレイだと思うんです。
見た目の格好良さだけでなく、フレイは古代北欧で最高神オーディンと同格扱いされる優秀な能力を誇る神様でした。
そんな彼には一体どんなエピソードが語られているのでしょうか。
今は昔。
ヴァン神族から派遣されたニヨルド一家が、アース神族達とすっかり馴染んだ頃のこと。
フレイ『オーディン様~、この書類にサインをお願いします~(・ω・)ノ□』
フレイはオーディンの自宅・ヴァラスキャルヴを訪ねて来たのですが、主の姿が見えません。
フレイ『オーディン様はお留守か…ε=(・ω・`)』
最高神はまた仕事を放っぽらかして遊び歩いているのでしょうか。
しばらく空の玉座を見つめていたフレイは、周囲に誰もいないことを確認すると( ̄ー ̄)ニヤリと笑いました。
そして玉座にそっと腰掛けたのです。
フレイ『千里眼って、どんな感じかな~?(・ω・*)ドキドキ』
玉座フリズスキャルヴは千里眼Lv1が使用可能になる魔法の家具。
そこに座る権限を持つのは最高神オーディンと王妃フリッグだけ。
本来ならフレイは玉座を使える身分ではありません。
しかし千里眼という未知の能力を知りたい余り、鬼(と書いてオーディンと読め)の居ぬ間にちゃっかり座ってしまいました。
フレイ『うわー、すごいやw本当に遠くまで見える(・ω・*)キャッキャッ』
千里眼の力が備わったフレイは一瞬にしてアースガルドの全てを見渡すことができました。
彼はハッスルして懐かしい故郷ヴァナヘイム、自分の領地・妖精国アールヴヘイム、人間界ミッドガルド…あちこちを眺めては楽しんだのです。
そして仇敵である巨人の国・ヨーツンヘイムに視界を移した時。
フレイ『!!Σ(・ω・ )』
フレイは息をのみました。
彼が見ていたのは、ギュミルという金持ちな巨人の家。
その庭先にそれはそれは美しい娘が佇んでいたのです。
フレイ『か…わいい……(・ω・ )』
彼女が笑うと世界の全てが輝いて見えました。
いや、彼女こそが光そのものであるかの様でした。
空も海も大地も、彼女に照らし出されるために存在しているのだと思われてなりません。
…フレイビジョンでは。
ギュミル『おーい、ゲルドやー。父さんの肩揉んでくれー』
ゲルド『はーい、今行きまーす(*’-‘*)』
フレイ(ゲルドちゃんか…素敵な響きだ…(・ω・ ))
ゲルドが館の中に戻ってしまうと、フレイの視界は真っ暗になりました。
太陽の光なんてフレイにはもう何の値打ちもありません。
フレイはゲルドに一目惚れしたのです。
神々の敵である巨人の娘に…。
フレイは玉座から離れると、自分の家にトボトボ帰りました。
フレイ『ゲルド…君をずっと見つめていたい…世界が終る日まで…(・ω・`)』
神々と巨人は世界の始まりから終りまで闘争を繰り広げる運命。
軍神であるフレイも、その手で数多くの巨人を殺しています。
巨人の娘に恋をするなんて、到底許されるものではありません。
『最高神の玉座を無断使用』『巨人族への恋』
彼はいっぺんに二つの重罪を抱えてしまいました。
さーて、どうなるこの恋路。
第12楽節『恋の罪と罰・2』へ続く(・ω・*)