第25楽節『神器と花嫁・3』

投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・1』
投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・2』
の続きでござる(*’ヮ’)


フレイヤとの結婚を望むスリュム
今は昔。
盗まれた神器ミョルニールを追って、ロキは巨人国へと向かいました。
そこで巨人スリュムの手により、ミョルニールが神々にも到達不可能な地下深くへ封印されたと判明します。
言葉を失うロキに、巨人は『ミョルと引き換えに、愛と美の女神フレイヤを花嫁として差し出せ!』と要求したのでした。


ハヤブサに化身したロキは俊敏な飛行でアースガルドへ帰還しました。
しかし、ろくでもない縁結びを託された、その心は重く鬱々としたものでした。

トール『叔父貴ー、ミョルは!?ミョルの在り処は分かったのか!!?』
ロキ『分かるには分かったけどさ…、スリュムの野郎が地下13,000mに封印しやがったってよ(‘A`)』
トール『いちまんさんぜん!?チックショー、巨人めぇぇ』
ロキ『そんでもってな…、ミョルを返す代わりにフレイヤを嫁に寄こせって、ほざいてるぜ』
トール『神器をナンパの小細工に使うとはふざけやがって…。クソッ!仕方ねぇ、フレイヤに協力して貰おう』
ロキ『……ううーむ(‘A`;)』

二人はフレイヤに助力を仰ぐため、セスルムニル神殿へと急いで向かいました。

ロキ『フレイヤたん(笑)、ファルコンローブ返すぜー(;’ヮ’)』
フレイヤ『あら、意外と早かったわね(・ω・)』
ロキ『そ、それからコレを…』

装備が手元に戻った喜びも束の間、フレイヤはローブに添えて差し出された品を見て、表情を変えました。

ローブとウェディングドレスと指輪
目の前にあったのは花嫁衣裳と指輪でした…。

ロキ『何も言わずコレを受け取ってくれ!』
フレイヤ『ちょっ…いきなりプロポーズなんて困るわよっΣ(・ω・*)』

内心ガッツポーズのフレイヤ
内なるフレイヤ(いやーん、またモテちゃったーwwやっぱり私は愛と美の化身よね!(*^∀^)ウフッ♪)

突然のことに、しとやかな女神フレイヤは戸惑いを隠せません(建前)
ロキは性格悪くて、ムダ飯喰らいで、性的に変態ですが、一応は美形の神らしいんで。。。

フレイヤ『そういうのは、ちゃんとお付き合いを重ねてからじゃなきゃ…(*ノωノ)ポッ』
トール『悪ィが、このドレス着て巨人国に行ってくれ』
フレイヤ『は…?巨人国…?』
ロキ『いやー、この馬鹿な甥っ子がフレイヤファンの巨人にミョル盗まれちゃってさー』
トール『ミョルを返す代わりに、お前と結婚したいらしい。協力してくれ!』
フレイヤ『…………』

トールとロキの口から『巨人』という言葉が出た途端、再びフレイヤの表情が変わりました。
しばらく神殿に沈黙の時が流れます。
しかし静寂の中、どこからか低く鈍い音が聞こえてくるではありませんか。

ゴゴゴ…

ロキ『ん?何か変な音しねぇ?』
トール『聞こえるな』

ゴゴゴゴ……

二人の神は、獣の唸り声に似た恐ろしい音が地底から伝わってくるのを感じました。

ロキ『これって地鳴り!?トール、お前なんかした?(゚Д゚;)』
トール『いや、今日は地震の予定ないが?』←気象天候を司る神

ズゴゴゴゴゴ!!

その地響きは次第に大きくなってゆきます。
そして遂に…


フレイヤ『アースクエイク !!(ドカーン』
トール&ロキ『Σ震源地ここだったーーー!?』

二人の発言に心底、怒ったフレイヤが周囲に大地震を呼び起こしたのです!
彼女がマジギレした理由はたった一つでした。

フレイヤ『愛と美の女神である、このフレイヤがブサイクな巨人の嫁ですって……!?』

男女揃って面食いな北欧神の中でもフレイヤは美を司る存在。
モテモテでどんなイケメンも選り取りみどりな彼女が、最底辺のブサメン種族・巨人と結婚しろと言われたのですから、腹立たしく思うのも無理からぬことでございました。

フレイヤ『ふざけんじゃないわよーーーーーーー!!』

底知れぬ怒りの大振動でセスルムニルの天井・壁・梁はヒビが入り、椅子やテーブルは次々と床に倒れてゆきます。
気象庁震度階級によると、建材のヒビ割れ・家具の転倒が起きるのは震度6弱程度の扱いです。
前回に引き続き、地学に詳しくなったぞ(*’ヮ’)

トール『ふ、フレイヤ、落ち着け!!』
ロキ『”フリ”だから!マジな結婚じゃなくて、結婚するフリだから!さ・く・せ・ん!!』

二人の必死の呼びかけもフレイヤの耳には届きません。
彼女は思い起こしていました。

城壁事件で嫁に出されそうになるフレイヤ
城壁事件の折、ロキが余計な知恵を出したばっかりに、あやうく巨人の元へ嫁がされそうになったことを…。

それにも懲りず、この男は自分を再びブサメンへ人身御供に差し出そうというのです。

フレイヤ『許すまじ!愛と美の女神を愚弄した罪!!許すまじ!!!』

『仏の顔も三度まで』という諺がありますが、女神フレイヤの堪忍袋は二度目で限界突破。
フレイヤが爆裂波動を発すると、そのほっそりとした首に巻きつけられていた炎の首飾りブリーシンガメンの鎖がブチブチに千切れて、炎を宿した宝珠が床中に散らばりました。
そして…!!

フレイヤ覇凰拳さくれつ
フレイヤ『フレイヤ覇凰拳 !!』
トール&ロキ『ギャーーーー!!』

トールとロキは女神の鉄拳の前に倒れ伏したのでした。
…ちょっとココは創作が入ってるけど…(*’ヮ’)
フレイヤは愛と美の守護属性ばかり強調されますが、歴とした軍神です。
それも戦死者の館ヴァルハラ(※巨人戦争対策本部)をオーディンと二分統括し、戦乙女ヴァルキリーのリーダーを務める実力の持ち主。
フレイヤはガチで強かった!!

フレイヤ『まだ何か言いたいことある?^-^』
トール『ゴフッ…、あ、ありません…』
ロキ『ゲボァ…、ほ、ほんとスイマセンでした…』
フレイヤ『なら出て行って!!(`Д´#)』

フレイヤは追放Lv1を使って、神殿から二人を叩き出したのです。
重傷を負ったトールとロキはお互いを支え合いながら、よろめく二人三脚で逃げる様にして去りました。

思案にくれるトールとロキ
ロキ『うんまぁ、こうなる予感はしていた\(^o^)/』
トール『イテテテテ…。フレイヤめ、結婚する”フリ”だって言ったじゃねぇか;;』
ロキ『駄目だ、あの女。お前より脳筋かも知れねー』
トール『……』

彼らは途方に暮れました。
融通の利かないフレイヤは力を貸してくれそうもありません。
スリュムに要求された女神本人が非協力的では、悪賢いロキと言えど秘密裏にミョルニール奪還計画を練るのは至難の業です。

ロキ『なぁ…もうさ、オーディンやみんなに相談しようぜ?(‘A`;)』
トール『うー。。。』
ロキ『いつまでも隠し通せねーし、背に腹は替えられねーって!』
トール『そうするか…』

武器を盗まれるなんて軍神の恥。
それを厳格な実父オーディンを始めとした神々に知られたら、一体何と言われるか分かったものではありません。
しかしミョルニールが無ければトールは戦えないのです。
彼は恥を忍んでロキの意見に従い、神々の溜まり場グラストヘイムに向かうことに決めました。

次回、軍神トールを神話最大のピンチが襲う!(多分)

  1. この世には説教5000時間耐久レースより辛いことがあるんだよ…。
    以下、次号に続く(*’ヮ’)

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