第25楽節『神器と花嫁・2』

投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・1』の続き(*’ヮ’)


ロキに泣きつくトール
今は昔。
雷神トールは昼寝中にメイン武器であるミョルニールをなくすという不祥事を起こしてしまいました。
困り果てた彼は、義理の叔父ロキに相談を持ちかけます。
ロキは『トールに手を焼いている巨人族がミョルを盗んだ』と推理し、ハヤブサに化けてヨーツンヘイムまで旅立ったのでした。


ロキ『探すっつっても、巨人のどいつが盗んだのかノーヒントじゃん…^q^;』

巨人国偵察でロキが何を手がかりとしてミョルを捜索したのかは、原典に記述がありません(゚Д゚)
いきなり想像タイムだ!
元々ロキは巨人族出身で、アースガルドに寝返って神の座を得た男です。
ならば、生まれ育ったヨーツンヘイムに土地勘を持っていて、トールに裏工作を仕掛けそうな巨人戦士に何人か心当たりがあったのではないでしょーか?

霜の巨人・スリュム
彼は勝手知ったる巨人国の冷たい空を素早く横切って、とある豪華な邸宅まで辿り着きました。

そこは神々と敵対するブサメンな武人スリュムの住処。
スリュムは庭先に腰掛け、自分の猟犬達に付けてやる首輪とリードを純金の糸でリリヤン編みしています。
…犬の首輪に24金を使うだと…?(;´Д`)モッタイネ
豆知識:オーディンやチュールだけでなく、北欧神話は愛犬家が多い!(第14話第23話参照)

スリュム『フンフンフフーン♪雷神トールも~これで~♪一巻の終わり~さ~フフーン♪』
ロキ(うお、あからさまに怪しいし…(゚Д゚;))

勿論、この鼻歌は創作ですが、スリュムが妙に浮かれていたのは本当です(*’ヮ’)

スリュムに話しかけるロキ
ロキは真相を確かめるべく、巨人の庭へと舞い降りました。

ロキ『いよぅ、スリュムの旦那。やけにゴキゲンじゃねぇ?』
スリュム『フフン♪その声は裏切り者のロキか。ワシは超ハッピーだな!神どものゴキゲンはいかがかな?』
ロキ『ン~、超バッド(雷神トールがピンチ的な意味で』
スリュム『ガハハハ!そうだろうなwwwそうだろうなwwww』

”神々は不調”という返答を聞いて、敵将は腹が捩れる程に爆笑してみせました。
最初から事情はマルッとお見通しだぜm9(^Д^)プギャー!とでも言いたげです。

良くも悪くも賢い神のロキは、この『How are you?』『Can’t be better!』という挨拶だけで、自分の勘が正しいと確信しました。
スリュムこそミョルニール窃盗犯だと!

ロキ『単刀直入に聞くぜ。ミョルをどこにやった?』
スリュム『フフフン♪聞いて驚けよwミョルニールは地下13,000mの結界に封印した!!wwww』
ロキ『いちまんさんぜん!?Σ(゚Д゚;)』
スリュム『我が同胞を殺してきたクッソ忌々しいミョルも、二度と日の目を見ることはなかろうなwww』
ロキ『ま、まじっすか…』

地球上で掘られた最も深い穴はロシア・コラ半島の科学掘削ボーリング調査ホールで、その深度12,261m。
穴の底は300~400℃の高熱を持っていて、現代科学の力でもそれ以上は掘れないらしい。
(地学は詳しくないので間違ってたらごめんなさい)
スリュムの言う地下13,000mという深さは、現代科学の限界すら超えた先!
どれほど絶望的な数字かお分かり頂く一助になるかと。。。

ミョルの所在は明らかとなりましたが、犯人がアッサリ自白するだけあって、奪還など到底ムリな場所でした。
フレイヤのブリーシンガメン(第8話)、アンドヴァリの指輪(第21話)…数々の秘密のお宝をパクってきたロキすらお手上げモード。

ロキ『旦那。。。俺の顔に免じて返してくれない?(;’ヮ’)エヘ』
スリュム『裏切り者に免じるツラなんかねーだろボケがwwwwwww』
ロキ『デスヨネー』
スリュム『まぁ、お前のツラには免じないが…』
ロキ『(゚Д゚)?』

ミョルニールは神様軍にとって無くてはならない超威力兵器。
取り戻すためなら神々はどんな代償でも涙を呑んで支払うしかないと、スリュムはよーく理解していました。
無理難題吹っかけフラグです。

スリュム『美女のツラになら免じてやらないこともないぞい?www』
ロキ『美女って…あの…も、もしかして…(‘A`)』

嫌な予感をキャッチしたロキがおそるおそる聞き返すと、スリュムは満を持して所望しました。

フレイヤとの結婚を望むスリュム
スリュム『女神フレイヤをワシの嫁に!!』
ロキ『 ま た フ レ イ ヤ た ん (笑) か ! \(^o^)/』

第6話で城壁修理の大工に扮した巨人のおっさんと全く同じ要求。
愛と美を司るフレイヤは、神々と敵対関係にある巨人すら魅了するルックスの持ち主で、スリュムも熱狂的なファンだったのです。
でもさぁ、これって米軍から核兵器を奪っておいて『核を返して欲しくば、キャサリン・ゼタ・ジョーンズと結婚させろ!』って言うのと同じだよ?
神VS巨人の勢力図を塗り返す絶好のチャンスなのに美人のねーちゃんを要求…。
神話の中で巨人が神様に敗走していた理由は、この辺にあると思われます。

スリュム『ミョルが欲しけりゃ、フレイヤにワシの熱~い想いラブを伝えて来いよww』
ロキ『……』

巨人の高笑いを背に、むっつりと黙り込んだロキは暗い大空へと羽ばたいて行ったのでした。

次回、愛のキューピッド・ロキがアースガルドへ舞い戻る!
彼はスリュムとフレイヤを縁結びできるのか?

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