投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・1』
投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・2』
投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・3』
投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・4』
投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・5』
今日でシリーズ最終回です。
原典では前回のラスト部分でお話が終わっているのですが…、想像可能な範囲で補足したエピローグとなります。
つまり今回は99.9%捏造神話なので御了承ください。
今は昔。
人間の勇者オッタルは全財産と名誉を賭けて、ライバルと『御先祖様どっちが高貴&記憶力比べ』に挑むこととなりました。
オッタルは神話公式の脳筋キャラであったため、彼を寵愛するフレイヤが一計を案じます。
フレイヤの知己である賢い巨人ヒュンドラから家系を教わったばかりか、彼女の秘蔵する”記憶の蜜酒”を暴力で巻き上げたのでした。
蜜酒ドーピングによってオッタルは脳筋から一転、比類無き記憶力を獲得したのです。
そんなこんなで蜜酒強奪事件のあった日の午後。
戦死者の館ヴァルハラにて、オッタルVSアンガンチュールの『家系暗誦&家柄ランク対決』が幕を開けました。
最高神オーディンを始めとした名だたる軍神勢揃いの御前試合です。
神々+戦死者達『わいわいがやがや(・∀・(・∀・(・∀・*)』
オーディン『両者、出ませい!』
オッタル『いざ尋常に…』
アンガンチュール『勝負ッ!!』
どんなに格好よく力んでみたところで、やることは暗誦大会なんですけどね( ^ω^)
蜜酒の英知を備えたオッタルは臆すること無く、すらすらと家系を唱えます。
オッタル『我が父はインステイン。祖父はアールヴ、曽祖父はウールヴ…(中略)…』
アンガンチュール(クッ!こ…こいつ…いつもの脳筋じゃない!?)
オッタル『…(中略)…そして我が血統は魔竜ファヴニルを退治した英雄ジークフリードに繋がる!(ドーン』
アンガンチュール『な、何ッ、ジークフリードだってーーーー!!?/(^o^)\オワタ!!』
オッタルが勇者ジークフリードの遠縁の遠縁の(略)そのまた遠縁だと判明した瞬間、アンガンチュールは膝をつきました。
戦死者達『スゲー!!あいつジークフリード公の遠縁の遠縁の(略)そのまた遠縁かよ!!』
オーディン『どうやら勝負あったようだな』
神々『勝者、オッタル!(´∀`(´∀`(´∀` )』
ヒュンドラさんに数々の犯罪行為を働いた甲斐あって、オッタルは見事ライバルを打ち負かしたのでした。
アンガンチュール『破滅破産破滅破産破産破滅…(゚∀゚)アヒャヒャアヒャッアヒャッ』
脳筋オッタルを上手くハメたつもりが、策士策に溺れるとはこのことですね。
可哀想にアンガンチュールは全財産を失ってしまったのです。
北欧神話で無一文の男はウンコ扱いです(第21話参照)
アンガン君の末路は原典に記されていませんが…、御前試合で破れさった以上、彼の魂は戦死者の館ヴァルハラに受け入れ拒否された可能性が濃厚。
世界の終わりラグナロク戦争で、神々と共に戦う栄誉は与えられず、一般人として成仏しちゃったんじゃないかなー。
かくして。
陰険なライバルを退けたオッタルは、神々から気高い血筋&優れた知性(笑)の人間戦士!とお墨付きを受けましたとさ。
その夜、フレイヤの神殿にて。
フレイヤ『あぁ~ん、オッタルおめでとう!これで神々に勇者認定されたわねっ(*ゝω・)』
オッタル『フレイヤ様のおかげっす!まじパネェっす!』
フレイヤ『愛してるわ、オッタル(*´∀`*)』
オッタル『フレイヤ様サイコーっす!この命果てるまでお仕えするっす!.゚ヽ゜・。+(゚∀゚*)+。・゜ +.』
はいはい、バカップルバカップル。
上官であり、恋人でもある女神フレイヤから、こよなく寵愛され、オッタルは公私共に順風満帆な人生を送ったそうな。
めでたし、めでた…
いや、もうちょっとだけ続くんじゃ。
このバカップルのイチャつきぶりを、遥か遠くから密かに眺める者がありました。
*『フン、全くくだらん…』
処はヴァラスキャルヴ城、千里眼の玉座フリズスキャルヴ。
そこに腰掛けているのは……。
オーズ『最早、私が戻るまでもないな』
何と言うことでしょう。
誰あろう、行方知れずとなっていたオーズではありませんか。
彼は死んでなどいなかったのです。
生きてフレイヤのありのままの姿を見つめていました。
やがてオーズは神々しい輝きを放ち始めます。
おや?オーズの様子が…?
!!
謎の神オーズの真の姿とは、玉座の正統な主・最高神オーディンでした。
彼は変身術に長けた神(第1話参照)
素性を隠し、オーズという神に変化した上でフレイヤと結婚していたのです。
…この辺の演出は嘘っぱちですが、オーズ=オーディン説は偉い学者の先生が語っているので、俺の捏造ではありません。
リアルな歴史的に見ると、オーズとは古い時代におけるオーディンの名前だったよーです。
オーズ=オーディン!ここテストに出るわよ!
神話成立の真面目な考察はまた今度やるとして、投槍神話のオチをつけましょう。
以降、フル捏造解釈。
オーディンはオーズの人格を誕生させ、フレイヤとの夫婦生活を楽しみました。
しかしオーディンは最高神の仕事があるので365日オーズ化してる訳にゆきません。
『旅に出る!』と称しては、真の姿に戻って本来の生活を送っていたのではないでしょうか。
オーディンもオーズと同じく、身内から死亡認定される位、長期の旅行に出ています(第19話参照)
この不在期間はそれぞれ本宅⇔フレイヤ宅を行き来してたんじゃないかと。
あんまりにも長くフレイヤ宅を留守にしたために死亡認定
↓
フレイヤ、彼氏を作る
↓
オーディンの前で暗誦対決やったんでバレバレ
↓
オーディン『(‘A`)』
というのが俺の妄想説です。
偽りの夫を演じて、二重生活を送ったオーディンが悪いのか。
帰らぬ夫より、目の前の恋人を選んだフレイヤが悪いのか。
ともかくアースガルドに”オーズ”という神が帰ることは二度とありませんでした。
オーズがどんな性質の神だったのか、文献には記されていません。
分かっているのは『女神フレイヤに愛されたが、行方知れずになった』ただそれだけ。
個性的な神がひしめき合う北欧神話の中では埋没してしまう地味~な神。
その視点を逆転させ、『女神フレイヤに愛されるためだけに生まれた存在』と捉えたら、そこには大きな価値が生まれるのではないでしょうか?
フレイヤが慕ったオーズは幻影の如く儚い存在だったかも知れません。
帰らぬ夫への情熱は去り、新しい愛に希望を見つけたのかも知れません。
しかし行方不明の彼を想い、フレイヤが涙を流したのも、また真実。
大地に沁み込んだ涙の珠は、ラグナロク戦争の炎で世界が焼き尽くされた後も輝き続けるでしょう。
永遠に。
=====
次回は女神フレイヤ解説編を予定しています(・ω・)
更新ありがとうございます!
今までの更新ペースでいくと来年かなぁーとおもっていたので、ちょっと得した気分になってしもーた!
とってもゆっくり進行ですが、たまに見て下さったら幸いです(;´Д`)
お久しぶりです。
今回のお話もとても面白かったです!!
次のお話も楽しみにしています!
過疎ブログにコメントをお寄せ下さり、ありがとうございます。
放置全開ですみません。
ちょっとずつ更新します。たぶん。。。
初めまして!最近読み始め、楽しく拝読させて頂いています!
オーズについてなのですが、忘却の力のある花畑にいたのをフレイヤが発見、正気を取り戻させて、二人で帰った…みたいなハッピーエンドがあった気がするのですがどうですかね。(フレイヤってなってるけど、本当はフリッガさんとオーディンの若かりし頃のラブストーリーと思っている)(フレイヤとオーディンだと、そのあとオーディンがフレイヤに気があるけど手を出さない…ってところがちょっと不自然かなぁと感じるので)。長文失礼しました!
だし様
オーズがお花畑にいた話は読んだ事あるのですが、出典や詳細がよく分からず、悩んだ末に無かった事になりました(´ω`;)
若かりし頃のオーディン&フリッガ夫妻のエピソードだというのもすごく良いですね!
ラブラブです。