第34楽節 『戦神フレイヤ』


投槍北欧神話・第34楽節 『美神フレイヤ』

前回に引き続き、フレイヤ様の知識編です(*’ヮ’)n
今回は戦神としての特性に焦点を当てています。



戦神としてのフレイヤの仕事は、巨人との最終戦争ラグナロクに備えて、戦死者の魂を集めること。

早い話が『戦場専門の死神』なんですね。
豊穣神、すなわち『生命を司る女神』が死神も兼任とは…。
これぞギャップ萌え…ゴホンゴホン、生命は一処に還るという思想でしょうか。

ヴァルキリー
フレイヤ直属の部下である美少女戦隊ヴァルキリー(戦乙女)。

ヴァルキリー達によって、人間兵士の霊魂は戦死者の館ヴァルハラまで導かれます。
そして最初にフレイヤが目ぼしい英霊を自軍に引き入れ、残りはオーディンの取り分となるそうな。
最高神オーディンと魂を分け合う設定は、フレイヤとフリッグが本来同一人物であった名残りとも言われています。
…この説だと「夫婦で魂を半分こ」までは納得できても、「なんで一番えらい最高神が残り物なの?」という疑問には答えていません。
多分、お妃がフリッグでもフレイヤでも恐妻って軸ではブレてないってことかな!


より強い魂をたくさん集めるべく、フレイヤは人間界に戦争の火種を蒔き、戦死者を増やします。

ブリーシンガメン編のラストでサラッと書きましたが、文献によると…
各国の王様達の寝室にセクシーな姿で降臨し、

フレイヤ『この地を治める王よ、私のために戦争を起こしてちょうだい!(ゝω・)ウフーン♪』
王様『ははーっ!かしこまりました、フレイヤ様!!(゚∀゚*)』
フレイヤ『勝ったらイイコトしてあげるから頑張ってね!(^∀^*)』
王様『ものども、隣国に宣戦布告じゃああああ!!(゚∀゚*)ムッハー!』
兵士達『おーーーーーーーッ!(゚Д゚(゚Д゚(゚Д゚ )』

…こういう寸法らしいです。
性的な魅力で惑わし戦を起こす、とは実にフレイヤ様っぽいですね。
そして軍神でありながら、神話中においてフレイヤはあまり戦闘シーンがありません。
仇敵である巨人族の撃破数はゼロです。

数少ない戦闘力の描写は…

ファイアーウォール!!
マブダチ(?)である女巨人ヒュンドラさんを火の魔法で恐喝(第33話)


ミョル盗難事件で、自宅とブリーシンガメンが壊れる程の大地震を巻き起こし、トール&ロキを追い返す!
(※フレイヤ覇凰拳は脚色です)

丸腰とはいえ、最強軍神の誉れ高いトールをビビらせるなんて、相当の実力でしょう。
ってか、この例で攻撃されてるの全部身内じゃないですかー!やだー!(´Д`)
フレイヤの性格がよ~~く分かりますね。
また、ここで注目したいのは地震を発動させたことです。
北欧神話では地震を呼び起こすのは、神・巨人の中でも特に強大な存在とされています。
(例:最強軍神トールや、世界を滅ぼすフェンリル狼は地震発動能力がある)
この点はまた別の機会に考察したいですね(*’ヮ’)


フレイヤ様の装備ファルコンローブ。

日本語訳だと『鷹の衣』だったり『鷲の服』だったり。
とにかく猛禽類に変身できるアイテムです。
このブログではROのアイテム表記を基準にしてるので、ハヤブサ扱い(・ω・)
とっても余談ですが、DNA的にハヤブサは鷹・鷲の仲間ではなく、インコに近いんだそーです。
インコの衣…?

フレイヤが戦場で纏うという触れ込みですが、神話ではロキが使うシーンばっかし。
部下であるヴァルキリーは「羽の生えたもしくは鎧や兜に羽がついた美女」「オーロラは彼女達の行軍」という設定ですから、フレイヤ自身も「大空に君臨する美しい軍神」のイメージだったんでしょうね。
同じアイテムをオーディンの正妻フリッグも所有しています。
ここにも同一人物設定の面影が(・ω・)
なお、オーディンは鷲に変身できるよ(第1話参照)

次に彼女の乗り物を紹介します。

オッタルがヒルディスヴィニに変身
地上では黄金の猪ヒルディスヴィニに跨って疾走します。

闇夜を照らす黄金の猪を駆る!…とゆー所までは兄フレイと同じ設定ですが、大きく異なるのは猪の正体がイケメンの人間戦士オッタル君ってコトです。
家来の男に跨るって。。。
ああ、『フレイヤの名は女王の意』ってソッチの方向で女王様?(*’ヮ’)

ちなみに北欧神話が形作られた時代、ゲルマン民族は鞍を発明していませんでした。
世界的に見ると、紀元前7世紀頃にスキタイ人が鞍と鐙(あぶみ)を使ってたらしーけど、ゲルマン人は5世紀フランク王国が騎兵に力を入れてからです。
何が言いたいのか?
フレイヤ様は鞍を使わず!
直で猪(正体は若い愛人)に跨っていた!!!

美神の太腿とか尻とかあと色々な部分が密着状態…ということ…!!
オッタル、うらやましいぞ。くそー。
確実に御褒美ですよね!!!!
おそらくフレイヤ軍の中では、↓この様な会話があったと思われます。

フレイヤ『はいよー!ヒルディスヴィニ!(・ω・´)』
ヒルディスヴィニ『ブヒー!ブヒー!( ^ω^)』
戦士A『くっ…、オッタル隊長ばっかしズルい!(`Д´;)』
戦士B『俺だって、フレイヤ様に乗られたり、鞭でビシバシされたい(‘A`)』
フレイヤ『うふふ、貴方達も頑張りなさい♪そしたら…ネ?(・ω・*)』
戦士C『フレイヤ様のために頑張って戦います!(゚∀゚)』
戦士D『ふれいや!ふれいや!(゚∀゚)o彡゚』

フレイヤ直属の兵士=ドMの図式が成立。
俺が想像するに、オーディン(オーズ)との結婚生活が破綻したのは『オーディンもフレイヤもドSだったから』って理由もあるんじゃないかと。
プライドが高く、支配欲の塊みたいなオーディンにお馬さんプレイは無理でしょう。

深夜の密会@フレイヤ神殿
若く美しく逞しい戦士オッタルは脳筋だけが玉に瑕でしたが、ヒュンドラから強奪した『記憶の蜜酒』で知能もレベルアップ!
非の打ち所の無い、パーフェクトイケメンになりました。
(※『記憶の蜜酒』の効果が永続的であればね…)
ランクアップ前は神話公式の馬鹿だったので、フレイヤは配下に知性を求めていないんでしょう。
初恋の人である兄フレイも知性派ではないしね。

猫戦車
猪オッタル君の他には、二頭立ての猫戦車も所有しています。

この猫ニャンは、フレイヤの居城セスルムニルの前に繋いであるそうな。
…神話には特に言及がありませんけれど、猫の正体もオッタルの様なイケメン人間兵士だと予想しています。
若干の根拠もあります。


ミョル盗難事件で、フレイヤは猪も猫戦車も貸し出しませんでしたから、トールは自前の山羊戦車で巨人国に向かいました。

せっかく花嫁コスプレしても、自分の戦車で敵地に乗りつけたら、そっこー正体がバレる危険がありますよね。
(むしろ、なぜ巨人は山羊を見て気付かなかったんや…)

フレイヤが最高のジュエリー・ブリーシンガメンを貸し出しても、戦車だけは触れさせなかった訳…。
それは『乗り物動物の正体が、愛人のイケメン戦士達だったから』説を提唱します。
女装したオカマ野郎2人(※同性愛や女装は禁忌)が、自分の大事なイケメン部下に触ったら…、

ラグナロク戦争の前にフレイヤが世界を滅ぼす

…と他の神々も分かっていたので、レンタルを無理強いできなかったんでしょう。きっと。

フレイヤ様の眷属のペット
フレイヤの乗り物である猪(豚)と猫は、彼女の眷属です。
どちらも『武勇』と『豊穣』の象徴。

猪(豚):外敵に立ち向かう猪突猛進な獣。多産。食べても美味しい(*’ヮ’)
猫:敏捷な肉食獣。多産。農作物を荒らすネズミや害鳥を捕らえるため、農業の守護者。

こんな感じ。
どっちも怒らせると怖い動物ですね。

さて。
尻軽キャラのため、あまり知性を感じさせませんけれど、フレイヤはヴァン神族独自の魔法大系『セイズ』の使い手とされています。
アースガルド軍は元々、物理攻撃主体だったのですが、フレイヤがこの魔法を伝授したのだそうな。
知識欲旺盛なオーディンも彼女から魔法を習ったのですが…。
セイズは女性専用魔法だったため、男性である彼が会得しちゃった件について、神話末期にロキから非難されています。

結びに…


神話有数の軍神でありながら、幾たびも巨人から狙われるヒロインポジションのフレイヤ様。

前述の様に、ヒュンドラやトール&ロキを暴力で威嚇したのですから、フレイヤ自身で巨人を退けることも可能でしょう。
にも関わらず、周辺の男神達が主軸となって解決していく理由。
それは彼女の本質が『戦う軍神』ではなく『戦争の火種を蒔く軍神』だからです。

人間の王侯を誘惑し戦争を起こす。
巨人の戦士を魅了し戦争を起こす。
時には、神々の中にも…。

これがフレイヤの担う役割なのです。
いやー、罪な女神様だ。

そして、俺は物語的にもう一つ持論を持っています。

城壁事件で、オーディンに泣いてすがるフレイヤ
城壁事件でいよいよ巨人に嫁がされそうになった際、フレイヤはオーディンに泣いてすがりました。

似たような状況のミョルニール事件ではロキ&トールを凹ったのに、ここでは泣き落としです。
その差は、オーディンを前にした論議だったからじゃないかなー。
最高権力者におもねるズルい女性とも取れるし、かつてオーディンと夫婦だった片鱗とも言えそうです。
フレイヤ自身が戦う話こそありませんが、彼女のために男神が奔走する様を見れば、いかに魅力的な女神様か想像できますね。
つー訳で、『美しさは罪』を地で行く軍神フレイヤ様のお話でした( ´∀`)

次回はロキの大冒険が始まるよ!

  1. 初めまして。フェンリルとROが好きで3年ほど前に一度このサイトを拝見していたのですが、
    まさか今も更新されていてびっくりしました!
    これを機に第1楽節から全部拝見しましたが、すごく楽しく分かりやすい考察や紹介で、ますます北米神話が好きになりましたw
    すごく大変な作業だとは思いますが、次回のお話も楽しみに待っています!

  2. > 狼さん
    初めまして。コメントありがとうございます。
    半年に1回ペースの投稿を『今も更新』と名乗って良いか分かりませんが、
    ギリギリ細々と続けております。
    生活サイクルがちょっと変わるので、
    これからはもう少しこまめに投稿する予定です(・ω・)ノ

  3. はじめまして。もっこすと申します。
    北欧神話について調べていたらこちらのサイトに辿り着き、一気に読んでしまいました
    可愛いSSも神話の解釈もとても面白くて楽しかったです
    ぐえんさんの語る神様達は理不尽なのに人間味?があってどこか憎めないところがあって好きです
    次回のロキのお話、まったり楽しみに待っています

  4. もっこす様
    初めまして。
    投槍ブログをお読み下さり、ありがとうございます。
    解釈は結構ウソがあるので要注意です…(*’ヮ’)
    元々、北欧神話はコメディとシリアス展開が入り混じっているので、
    僕もそこが魅力だと思います。
    ゆっくり進行ですが、よろしくお願いします★ミ

  5. 数日前にこのブログを発見し、北欧神話にすっかりハマってしまいました。SSと内容がとても面白く、ここに登場する神たちがとても好きになりました(これを機にROも始めてみたくなりました笑)。
    大分遅れたコメントですが、あまりにも素敵なブログだったので書かせて頂きました。更新楽しみにしております。

  6. 初めまして♪更新お疲れ様です!
    1から全部見ました♪
    ちょー面白いしなんどふいたかw
    北欧神話を知りたくて探してたところ、辿り着き
    わかりやすいし、色々すごく勉強なります♪
    またチラ見してみたら更新されててやっほい!
    日々大変だと思いますが頑張ってください♪
    また更新されるのを楽しみにしてます(っ’ヮ’c)

  7. 北欧神話に興味を持って、調べたらこのブログを見つけました。
    内容は分かりやすく、ユーモアもあってとても面白い!一話から一気に全部読みました(笑)
    次回の更新を楽しみにしてます(・ω・)ノ

  8. >ももか様
    初めまして、コメントありがとうございます(・ω・)
    返信が大変遅くなって、すみません。。
    ROはネットゲーム黎明期の雄だけあって、楽しいゲームですよ!
    このブログでも使わせて貰っているROのドット絵は傑出のデザインだと思います。
    ただ北欧神話要素は薄い…です…。
    神様はほぼ出演しません。

    >ぱみゅ様
    ブログ全部お読み頂き、ありがとうございます。
    つ、疲れる程には更新してないので、非常に気まずいです(‘A`)ゴメンナサイ
    北欧神話はコメディ要素が多いので、いじり甲斐があります。
    今日から始まったシリーズも、ロキのダメさが楽しめる神話です。

    >おでん様
    おでん様も全部お読み下さってありがとうございます。
    北欧神話で検索されている方は結構多いみたいです。
    このブログは投槍な解釈すぎて、詐欺っぽい気がしますが…!
    北欧の神様を好きになって下さる一助になれたら嬉しいことです。
    ちょっとずつ…更新してますので、たまに…ごくたまに見に来て下さい(´Д`;)

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