第44楽節『神々の酒宴・3』

出奔息子チュールのハートフル里帰り。

第44楽節『神々の酒宴・1』
第44楽節『神々の酒宴・2』

今回は捏造度30%くらいの良心回です。


今は昔。
宴会用の酒を求め、雷神トールは海神エーギルを訪ねました。
しかし醸造鍋が無い事を理由にエーギルは酒の用意を断ります。
困ったトールが神々に助力を求めた所、何と軍神チュールの実家に巨大な鍋があると判明。
トール&チュールは巨人国へと急ぎ出立したのでした。


長く険しい巨人国の道も、山羊タングリスニ&タングニョーストなら苦もなく進んでゆけます。

チュール『大分、うちに近づいて来ました。これなら日が暮れる前に着きそうですね』
トール『よっしゃ、かっとばすぜ♪』

醸造鍋を目前にして、戦車の手綱を握るトールはウッキウキ。
それに加え、少しばかりの好奇心もありました。

トール(こいつの家族って、どんなんだろ~な?)

まだ見ぬチュールの血族をあれこれ想像してみます。
トールは家族愛の深い神様。
愛妻家だし、子供達を大事にしてるし、巫女グロアの旦那さんを助ける話もありました。
きっと同僚である神様の家族も気にかかったでしょう。

そうこうしているうちに…


広大な敷地にそびえ立つ、それはそれは立派なお城へ辿り着きました。

チュール『向こうに見えるのが実家です。戦車はここに置いて行きましょう』
トール『おう!(wktk』

とうとう目的地です。
チュールに先導されながら、トールはきょろきょろと辺りを見回しました。
雷神の自宅ビルスキールニルは540もの部屋を持つ豪邸ですが、チュール実家も何ら遜色ない大邸宅。
いえ…、確証こそ持ちませんが、ビルスキールニル城より大きかった可能性すらあります。
その根拠は今回のお話を最後まで読んで下さいm9(・ω・)

トール(ん…、何だありゃ?)

雄大、荘厳な館に見入っていた彼の視界に、飛び込んでくるモノがありました。
デコボコして何だか不思議なシルエットは、二人にずんどこ接近してきます。

その正体は…

 


ババァの化け物『キェ~ッケッケッケッ(`ω´(`ω´)`ω´)』
チュール『あっ!』
トール『Σうげーーっ、キメェ!』

何と頭を900個も生やした老婆でした。

……。
900個…?

ちょっと北欧神話、書いた奴でてこい(^ω^#)

そんな面倒臭い挿絵が作れるかあああああ!!
頭をコピペするにしても限度があります。
こちとら9人の波の乙女とかでも嫌でたまらないんじゃ(`Д´)
せめてヤマタノオロチかジンメン位にしてくれよぉ。
頭の数は簡略版でお許し下さい。

それはともかく…目の前にいるのは見るからにヤバそうな異形の怪物。
巨人キラー・トールはすぐさま臨戦態勢に入ります。

トール『邪悪な巨人め。この俺が一発で仕留めてやらぁ!』

いつものごとく戦槌ミョルニールを振り上げました。
しかし一撃を御見舞する前に、衝撃の事実が判明するのです。

 


チュール『おばあちゃん、お久しぶりです』

この発言には流石のトールもビックリ仰天でした。

トール『ΣΣお、お、お、お、おばあちゃんだとーーー!?!!!?』
チュール『ええ、私の祖母です。おばあちゃん、こちらは僕の友人で…』

チュールは友を紹介しようとするのですが…

チュール祖母『フン、相変わらず頭が1個しか無いんか。貧相な孫じゃの(`ω´(`ω´)`ω´)』
トール『!?』
チュール『……』

不気味な祖母は久々に帰郷した孫に目もくれず、ブツクサ呟きながら立ち去りました。
チュールさん、どうやら可愛がられてなかった模様。

チュール『…まぁ、いつもの事です。行きましょう』
トール『お、おう。。。』
トール(何かギスギスしてんな;;)

このチュール祖母ですが、本によって父方とも母方とも書いてありました。
どっちの祖母なのかによって、チュール実家の見方が変わるんだけど…。
ここでは深く追究しない事にします。


祖母の嫌味も意に介さずチュールは正面扉を叩きます。

チュール『誰かいる~?(ドンドン』
トール(今度はどんな化け物が出てくんだ?(ゴクリ…)

固唾を呑み、呼吸を整え、トールは心の準備万端で、戸が開くのを見守りました。
すると…


???『は~い、どちら様かしら~~?』

おっと、これは肩透かし。
現れたのは神々と同じサイズの女性です。
しかも豪奢な黄金のドレスを纏い、アース女神に引けを取らない美女でした。


チュール『ただいま、母さん』
チュール母『まぁっ、まぁまぁまぁ!私のチュールちゃんじゃないの~~!!』
チュール『しばらくぶりだね』
チュール母『あ~~ん、会いたかったわ~~!!TT』
トール(イイハナシダナー)

何を隠そう、この麗しい女性こそチュールの生母だったのです。
祖母には邪険にされましたが、母は息子の帰還をたいそう喜びました。
敵国に寝返ったとはいえ、やっぱりお腹を痛めて産んだ我が子は可愛いですよね。
涙の再会です(;ω;)

チュール母『チュールちゃんをまた抱っこできるなんて夢みた〜い(スリスリスリ』
チュール『ちょっ、友達の前で止めてよ』
チュール母『あらっ、こちらは〜?』

美ママは息子に諭されて、ようやくトールの存在に気が付きました。

チュール『紹介するね、友人の雷神トールだよ』
チュール母『んまぁ~~、有名なトール様ね~。ウチの子がお世話になってますぅ~(ペコペコペコ』
トール『ど、どうも///

~神々のナイショ話~

トール(なぁなぁwお前のお袋さん、別嬪だな…!ww)←女好き
チュール(同僚の母に鼻の下を伸ばさないで下さいよ)
トール(照れんなよ!良い実家じゃねーかww)
チュール(本当に良い実家かどうか、すぐ分かるさ…)
トール(??)

巨人らしからぬチュール母をいろんな意味でしげしげと眺め、雷神は尋ねてみました。

トール『お袋さん、もしかして神か人間なのか??』
チュール母『私はこう見えても100%巨人族ですの~。でもチュールちゃんの味方だから、神々も応援するわよっ★ミ』

御機嫌な母に、チュールはさっそく用件を切り出します。

チュール『母さん、大きい醸造鍋あったでしょ?あれをアースガルドに持って帰りたいんだけど』
チュール母『うぅ~ん。あれはパパのだから~、難しいわね~。パパってケチんぼだし~』
チュール『頼むよ、どうしても必要なんだ』
トール『俺からもおなしゃす!』
チュール母『そぉねぇ~。可愛いチュールちゃんのためですもの~。何とかウンと言わせてみましょ~』

やはり一筋縄で持ち帰れる品では無い模様。
しかしチュール母から協力の約束を取り付けられました。
一歩前進だね!

…と、その時です。

 
ズシィィィン!
 

轟音と共に、城が大きく振動しました。

チュール母『あら、噂をすれば~。二人共、お鍋の下に隠れててね~』
チュール『OK』
トール『はぁ?なんで?』
チュール『いいから、早く!』


困惑する雷神は友にせっつかれて、渋々ながらも鍋の下に潜り込みました。
久々にひどい挿絵ができてしまった(´Д`;)

 

ズシィィィン!
ズシィィィン!

 

地響きはどんどん激しさを増してゆきます。
チュールの美しい母は玄関へと小走りに駆け寄りました。
扉が開け放たれると、そこに立っていたのは…

 

 


ヒュミル『今、戻ったぞ(フシュルルルルル』
チュール母『あなた~、お帰りなっさ~い

これはまたしてもビックリ。
チュールの実父ヒュミルは天まで届く巨大な男だったのです!
身長というか標高が高過ぎて、おヒゲが凍ってツララ状態だったそうな。
もう動く山だ、コレ。
正確な標高は書いてなかったけど、チョモランマ級を想像しています(・ω・)

……。

ちょっと北欧神話、書いた奴でてこい(^ω^#)
(パート2)

そんな挿絵が作れるかァァァアア!!
えーと、サイズ比を想像通り再現するのは不可能なので、以降の挿絵はヒュミル氏もフツーのドット絵になります。
脳内フィルターで山サイズの大男を思い描いて下さい。
こんな巨漢の住まいですから、ヒュミル宅はデラックスなはず…という訳です。


チュール母『今日はビッグニュースがあるのよ~★ 私達のチュールちゃんがお友達を連れて帰ってきたのぉ~!』
ヒュミル『何、チュールが!?』

超大型巨人の厳めしい顔つきが、一層険しくなりました。

チュール母『今~、二人して柱の後ろに隠れんぼしてるわ~♪』
ヒュミル『ほう…』

ん?
二人が隠れたのは鍋の下じゃなかったっけ?(*’ヮ’)
息子の所在…のニセ情報を聞いた途端、ヒュミルの両眼が鋭く光ります。
そして…!

 


ヒュミル『空裂眼刺驚!!(スペースリパー・スティンギー・アイズ』

ドッゴォッ!!

なんつー事でしょう。
柱が粉々に砕け散ったではありませんか。

原典では『ヒュミルが睨んだら柱が砕けました』という表現に留まるため、目から破壊光線オプティック・ブラストなのかウルトラアイスポットなのか詳しい原理は不明ですが、とりあえず空裂眼刺驚にしときました。
いずれにせよ、ヒュミルの攻撃をまともに喰らったら死んじゃいそう。

嘘情報を提供するママの機転で、神々はビームの直撃を免れました。
しかし爆風と振動で、棚の鍋という鍋が床に落ちてガッシャンガッシャン割れまくり。
無事に残ったのは神々が潜んでいた鍋だけです。
この鍋こそが今回お目当ての醸造鍋でした。

~神々のナイショ話・パート2~

トール(お前の親父、何だよありゃ!化け物ってレベルじゃねーぞ、おい!)
チュール(……)
トール(大体、何で息子の居場所に向かってビーム撃つんだ!?)
チュール(……)
トール(お袋さんが嘘いってなきゃ、ヤバかったじゃねーか!!)
チュール(…そろそろお分かり頂けたかい?)
トール(えっ)
チュール(なぜ私が実家を捨ててアース神になったか…)
トール(す、すげぇーよく分かった;;)

祖母=頭ウジャウジャの化け物
実父ヒュミル=山サイズの化け物&DVビーム

【投槍推理】
チュールは家族と折り合いが最悪過ぎたために、実家を出奔した。

原作でチュール自身が明言するシーンこそありませんが…、断定してOKでしょう。
家屋破壊レベルの必殺技を撃ってくる親父なんて嫌だ!
俺がこの家に生まれてたら100%家出します。


チュール『ただいま戻りました……父さん』
トール『お邪魔してます。。。』
ヒュミル『躱しおったか…』
チュール母『は~い、パパの負け~♪』

ビーム追撃されなかった理由は特筆ないけど、きっとリチャージに時間かかる技なんでしょう。
初撃さえ避ければ当分は安全なので、チュールママはあえて撃たせたんだと想像しております。

ヒュミル『フン、夕餉の支度をせい』
チュール母『ええ、もちろん♪今日は御馳走ですよ~ん

客人をゴージャスにおもてなししないのは、貴人にとって恥らしいです。
家出息子はともかく、今回はトールがいたから、ある程度は穏便に済んだんじゃないでしょーか?


チュール母『さぁさ、た~んと召し上がれ~♪』
トール『おー、めっちゃ豪勢じゃん!』
ヒュミル『ククク、恐れいったか』

ヒュミル氏は広大な牧場を経営しています。
この晩餐で、自家製ビーフを何と3頭分も用意させました。
超巨大な醸造鍋、黄金の衣装…それから後に出てくる諸々の設定からすると、ヒュミル家は確実に大金持ち。
チュールさん、いいとこのお坊ちゃんだったんか…。

トール『いっただっきまーす!』
チュール『……』

御馳走を目の前にしたトール…。
こ、これはやばい!!

トール『ばくばくむしゃむしゃぱくぱくもりもりがつがつもぐもぐばりばりぼりぼりぐびぐびごっくん!!』

すごくいつも通りです。
トールは一人で牛2頭分の料理を完食したのだそうな。

えーと。
食肉牛1頭から採れる可食部位は約200kgって読んだ事があります。
つまり今回トールが食べた肉は約400kgと大まかに推定できます。
一般的なステーキ1枚200gで換算するなら、2000枚相当…。
どーゆー胃袋してんだよ!?(´Д`;)


トール『はー、喰った喰った♪ ごちそーさん!』
ヒュミル『貴様、いくらなんでも喰い過ぎだろう!遠慮を知らんのか!』

雷神の誇るブラックホール胃袋に、ヒュミルは若干キレたそうな。
ステーキ2000枚だもんね。
高級肉だったら百万円単位で大損ぶっこいた事になります。

チュール(トール、君ならやってくれると信じてました。親父ざまぁああああああああ!)

チュールが心の中で舌を出した…かは神のみぞ知る。

さてさて。
ゾルディック家並に過酷な家庭環境だと判明したチュール実家。
ヒュミル氏は家出息子に初手ビームをかます程、敵対的です。
こんなんでお鍋を譲って貰えるのでしょうか?

第44楽節『神々の酒宴・4』に続きます。

 
【おまけ】
~その頃の最高神~

オーディン『フーハハハ、ワインタワーだ!』
フリッグ(本当にどうしようもないわね、この男…)
戦乙女A(ウワァ…)

ビール醸造鍋の取得に向けてトール&チュールが奔走する間、最高神はワインをじゃんじゃん消費していたかも知れない。

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