第20楽節『軍神ヴィダル・1』

以前、RO内でちょびっと質問されたので今回は戦神ヴィダルのお話を書きます(*’ヮ’)
なお、今回は特定箇所において北欧神話を忠実に再現したため、健全な育成が期待される青少年の皆様はあんまし読まない方が良い類の内容を含みます。
つーか、第1話からしてそういう話だったよね、この神話コーナーは!
そして捏造成分も90%くらい含有しております。


オーディン、千里眼中
今は昔。
我らが最高神オーディンは千里眼の玉座に腰掛け、巨人国の状況を覗いていました。
自宅にいながら敵情視察できるって良いなぁ(*’ヮ’)とGvで偵察のたびにフルボッコ食らう俺は思います。
自身に危険が及ぶことは無いオーディンは大胆に敵地を観察しました。
すると…

秘密基地発見?
人里離れた荒野に建つ、洞窟を改造した一軒家に気づいたのです。
そのあばら屋には幾つもの武具が立てかけてありました。

オーディン『むっ、怪しい家だ。小癪な巨人め、さては秘密基地を作りおったな』

最高神の隻眼は鋭い光を放ち、憎き巨人の秘密を暴こうと洞窟を隅々まで見通します。
秘密基地(?)は簡素な作りでしたが、人の住んでいる形跡がありました。
何より注目すべきは装備の数々です。
トールのメギン(神話ではATK2倍の設定)に似た力帯、鉄の籠手、魔力を帯びた杖…神々の持ち物に引けを取らない逸品ばかりでした。

オーディン『なかなかの装備だ。一体、どんな手練れの戦士が潜んで……うっ!?』

謎の巨人戦士
オーディンの千里眼が何者かの姿を捉えました。
秘密基地に潜んでいた謎の巨人戦士!
その正体は!

巨人戦士の正体
一人の若い女巨人でした。

オーディン『う、美しいではないか…!?(ポワーン』

最高神の隻眼がまた妙な意味で輝きます。
彼は当初の目的を完全に失念して…いや、当初より俄然やる気を出して女巨人の身辺を探りまくりました。
観察の結果、どうやら洞窟に住んでいるのは、この女巨人だけ。
しかも重大な事実が判明したのです。

オーディン『なっ…ドアが無施錠だと…!?』

別の神話でロキが『あの女の玄関はいつも鍵がかかってないんだぜ(*’ヮ’)』と証言しているのだ(・ω・)
なんでロキがそんな情報を握っていたのかは謎。
どうせろくな目的じゃない(‘A`)

オーディン『年頃の娘が何と無用心な。これは美味し…いや、心配だ!』

独居女性の防犯観念を親身に憂慮したオーディンは北欧神話最速の馬・スレイプニールに跨り、件の洞窟へと猛スピードで直行しました。

グリッドをナンパ
オーディン『麗しい人よ、貴女の名前を知りたい!(ズドドドドドド!』
女巨人『ハァ?グリッドだけど。。。』

グリッドとは『短気・激情』といった意味です。
跳ねっ返りのお嬢さんってことかな(・ω・)
彼女は他の巨人族と距離を置いて質素な家に暮らす変人さんでした。
オーディンが千里眼で発見した洞窟は巨人軍の秘密基地ではなく、彼女の本宅。
北欧神話の価値観だとマイホームが洞窟なのは、ショボイ・汚い・ダサイという位置づけです。
神様も巨人も偉い人はゴージャスハウスに住むのが定石。
しかしグリッドの装備は立派な品だったので、ド貧乏だった訳じゃないと思います。
投槍解釈ではグリッドの趣味で洞窟に居住してたんじゃないかと。

オーディン『こんな辺鄙な場所で洞窟に一人住まいとは恐れ知らずだね』
グリッド『別にィ?御殿よりコッチのが気楽だし♪敵なんか返り討ちにしてやんよww』

二人きりで言葉を交わすうちに、アースガルド主神は思いました。
オーディン(若く美しく、彼氏も身寄りもいなさそうな娘…頂くしかない!!
いつも通りですね!
そうしてグリッドに目をつけた最高神は…

オーディン『グリッドよ、貴女にを教えよう!(ガバッ!』
グリッド『!?何をする…ちょっ、待っ…あっ…』

しばらくお待ちください
グリッドとラブラブに
グリッド『オーディンだいすき
オーディン『私は巨人の敵・アース神族の王だ。それでも好いてくれるのかね?』
グリッド『そんなの関係ないわ
オーディン(美味しい…!第1話以来、久々の美味しい展開だ…!)

命がけの修行で得たルーン魔法の3/18が『若い娘を引っかける方法』だったオーディン(第4話参照)は、神話級のスーパーテクニックを総動員してグリッドをメロメロにしたのでした。

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『もしわしが恋の戯れに焦がれるなら、わしは純白の腕をした女の気持を向けかえさせ、その心を得ることができる』
『それはすばらしいまじないなので、若い娘もわしを捨てるのをいやがるようになる』

  『北欧神話物語』K・クロスリイ-ホランド 青土社(1983)より引用
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暗転中どんなテクが用いられたかについては、↑の本人の弁を参考に各自で想像して下さい(*’ヮ’)

今回の教訓:一人暮らしの女性は必ずドアに鍵をかけよう。

お話の続きは次回、第20楽節『軍神ヴィダル・2』で(*’ヮ’)

【投槍考察】
今回オーディンは巨人のグリッドを恋人にしました。
最高神はどんな意図を持って彼女を口説いたのか?
第1話登場の巨人娘グンレズと比較してみましょう。
まず、オーディンはグリッドに『自分がアースガルド最高神である』と正体を明かしています。
一方、第1話では省略しましたが、オーディンはグンレズにボルヴェルクという偽名で接近しました。
ボルヴェルグとはすなわち『悪事を働く者』の意。
最初からヤリ捨てる気が丸出しです…!
グンレズとの関係は詩の蜜酒・奪還が主目的だったし、交際期間は僅か三日。
巨人であるグリッドに正体を明かしている、これはオーディンがステディにお付き合いする気持ちがあったっつーことですね。

次に恋人の身辺。
グリッドは身寄りの無い一人暮らしで、他の巨人族から離れて暮らしています。
しかしグンレズは神々に敵対的な父親スッツングと同居。
スッツングは神を忌み嫌う余り+詩の蜜酒を奪われた恨みで、グンレズが産んだオーディンの子・ブラギを川に流しました。
神話だからサラッと書いてあるけど、嬰児を川に遺棄って明確な殺意を持った行動ですよ…。
(いや、神だからマグニの様に新生児でも育った姿だったのか??)
とにかく目の上のタンコブな家族がいないグリッドは、交際のハードルがありません。

最後。
グリッドは歴とした巨人族の戦士です。
しとやかな女神も良いけど、じゃじゃ馬娘を手懐けるのは堪らん…体も鍛えてあって引き締まってるし!…という意味ではありません(゚Д゚)
戦士グリッドがオーディンの彼女になる、それは巨人族からの寝返りを意味します。
事実、時系列で後になる別な神話でグリッドは雷神トールに巨人族の内情を暴露し、自分の装備を貸すなど神々に力添えをしています。
巨人族にとっては『自軍の戦士を1人失った』だけではなく、『神軍に内通者ができた』ということ。
彼氏の息子に情報を漏らす位だから、オーディン本人にはピロートークで内部情報を垂れ流してたに違いありません。
…あれっ、何か遠回りしたけど物語冒頭の目的『敵情把握』には合致してる…?
うーん、オーディンは女遊びに慣れてるだけあって、恋人の選定眼は確かだった様です。

オーディン
オーディン『そうだそうだ。これは単なる不倫ではなく、知識の神として叡智を駆使した高度な政治手法だ!』

…と、もしオーディン本人に真正面から主張されたら『うっせー、テメー明らかに自分の趣味全開で口説いただろ!?』と反論したくなりますが。
大体この神は、第10話で正妻フリッグが加護したアグナルの嫁について

オーディン『フフ、ブサイクな巨人女と結婚…マイホームが小汚い洞穴…ププッ』

…と嘲笑しています。
でも自分の彼女グリッドだって同じ様に小汚い洞穴で暮らしている巨人女じゃん。
そこんとこどーなってんの!?
あれか、ブサイクじゃなきゃ良いのか?それとも妾だからOKなの?
このダブルスタンダード神が!

お仕舞いに、もう一つ読者の皆さんに思い出して欲しいことがあります。
第12話で巨人娘ゲルドに一目惚れした軍神フレイは『敵軍の娘だしナンパなんて無理(‘A`)』と恋煩いをこじらせてヒッキーになりました。
しかしオーディンは相手が巨人だろうが全くお構いなしに口説きに行きます。
別な宗教の最高神だったフレイがオーディン教に組み込まれちゃったのは、男としての度量(というか我を押し通す力?)がオーディンに劣っていたからじゃないでしょーか?
モダンな表現をすると、オーディンは肉食系男子でフレイは草食系男子だったんでしょう。
恋愛とは個人の性格・信条がハッキリ現れるものなので、神様の本質を知る手がかりとして大変重要だと思います(*’ヮ’)

  1. りっくん、若いうちからヒヒジジィみたいなこと言ってると駄目な大人になっちゃうよ(*’ヮ’)
    ぐえんの様に!

  2. りっくんとは誰だ!私は最高神オーディンだ(キリッ

  3. やべぇ、最高神のIP元がソフトバンクモバイル株式会社だなんて…。

  4. りっくんがボケっぱなしだからツッコまれたじゃんヽ(`Д´)ノ

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