第24楽節『旅の理由』

グダグダ神様トリオの人間界OFF
人間界ミッドガルドを旅行するオーディン・ロキ・ヘーニル(第2話第21話

なぜこいつらは人間界に降臨して遊んでいるのか?
神話を読む限り、足の向くまま、気の向くままに散策しているので、『人間界を侵略する巨人を成敗!』だなんて真面目な仕事ではありません。

投槍北欧神話・第22楽節 : 『人間誕生』
投槍北欧神話・第23楽節 : 『ゲレとフレキ』

↑2つの捏造神話更から飛躍を重ねて、謎を解明します。
つまり捏造の上塗りです(`∀´)


オーディンの分の料理を食べるゲレ&フレキ
【前回のおさらい】
オーディンは自分に配膳された食事を全て愛狼ゲレ&フレキに与え、自身は葡萄酒しか口にしません。

上記の設定を知った際、俺の脳裏には『私の身体には血液じゃなくてカベルネソーヴィニヨン(※ボルドー産の赤ワイン)が流れてるの^-^』とか言ってた某ワイン女優が浮かんだという。
どうでもいいですね!
この設定を多角度から検証するために、北欧神の生態を知ることから始めましょう。

イドゥンの林檎
女神イドゥンが管理する『不老長寿の林檎』を摂取しないと、実年齢が数百~千歳である神様達はそっこー老化します(第2話

アース神族の長・オーディンは神々の中でも最年長なので、イドゥンの林檎を食べているのは確実です。
ただ、この林檎は食料というより薬のカテゴリに分類されるかも。
ここで重要なのは、イドゥンの林檎はあくまで不老長寿・若返り効果しかなく『不死身』を約束する物ではないという点。
既存記事だと第5話で首を刎ねられたミーミルは死亡。
第15話で巨人と決闘したトールは脳挫傷であやうく死にかけました。
また未紹介の神話では、数ヶ月間メシを喰えなかったロキがヘロヘロに弱りきるエピソードを確認。
数ヶ月間断食でも生きてるのはスゴイけどね。
そして神々も飲み会でアルコールを摂取すれば、酔っ払って前後不覚に陥ることだってあるんです。

神話全体を見渡すと、神様は強靭な肉体や不可思議な能力を持っていますが、食事・排泄・睡眠・生殖etc.の生命活動の基本ラインは人間と変わりなく思えます。
つまり『最高神オーディンもメシを喰わなかったら最終的に餓死する』と考えるのが自然じゃないかと。

何より俺は神話を読んでいて気づいたのです。
オーディン・ロキ・ヘーニルの神様トリオ人間界旅行における”ある共通点”に…。

肉とロキ
イドゥンの林檎編では牛を捕らえてバーベキューしています。

カワウソを見つけた神様トリオ
神々の賠償金編ではカワウソを狩っています。

こ、こいつら肉を喰おうとしているぞ…!?
(但し、どちらも食前に事件が発生して、実際に口を付けるシーンは無い)

これはロキ・ヘーニル用で、オーディンは食べようとしなかったって訳じゃありません。
紙面の都合上、省略した部分を原典から引用しますので御覧下さい。

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(イドゥンの林檎編・バーベキューの最中に)
オーディン『我々は余程腹を空かしているのに違いないな』
(賠償金編・カワウソを捕らえたことについて)
オーディンとヘーニルは、その夜おいしい食事ができそうだなと思って。

  『北欧神話物語』K・クロスリイ-ホランド 青土社(1983)より引用
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…うん、オーディンは思いっきり食欲をアピッています。
つーか、この描写からすると明らかに旅行中はメシを食ってますよね。
いかに最高神と言えど、食事を取らなければ空腹になる!
オーディンは自分の食事を全部ペットにあげて、普段はワインしか飲まないけど…本当はお腹と背中がくっつきそうだったんですね…。

以上の公式設定と前回記事を基に、俺が考案した捏造神話をお送りします\(^o^)/

オーディンの分の料理を食べるゲレ&フレキ
今は昔。
主神オーディンはゲレ&フレキのエサやりについて妃フリッグと口論になった末、自分の食事を丸っと狼に与えると宣言してしまいました。
それ以来、食卓についても、ただワイングラスを傾けるだけの日々が続いたのです。

偉大なる軍神の彼は、腹を槍で刺したまま逆さ吊りになる超苦行(第4話)を耐えた位ですから、非常に高い基礎体力を備えています。
ちょっとやそっと食事を抜いても、直ちに影響はありません。
しかし葡萄酒とイドゥンの林檎だけでは栄養に大変な偏りがあるのは明らか。
炭水化物はともかく、蛋白質・脂肪が完全に欠乏したメニューです。
生身の肉体を持った神であるオーディンは、少しずつ少しずつ弱っていきました…。

~葡萄酒only生活開始から数ヶ月後~
赤ゲージなオーディン
極度の栄養失調により、彼の体力は赤ゲージに突入しました。
もう1パンチ貰ったら即死する状態です。

オーディン(クッ、やはりこの食生活は肉体に負担が大きい…。このままでは早晩、死亡する恐れが…)
フリッグ『あなた、そろそろ食事をお召し上がりになってはいかがですか。。。』
オーディン『ゲレとフレキの喜ぶ姿こそ、何よりの滋養だ!(キリッ』
フリッグ(自分の命を削ってでも我を通すのね、この人は;;)

妃に意地を張って断食宣言した手前、オーディンは公の場で食事を取る訳にいきません。
そこで彼は、自分と同世代のダチであるロキ&ヘーニル(第22話より推定)を緊急招集したのです。

ダメトリオ深夜の密談
オーディン『お前ら、来週辺りでも人間界に行かんか?』
ロキ『お、俺は天井のシミを数える重作業が忙しくてですね…(;’ヮ’)』
オーディン『心配せんでも仕事じゃない。遊びだ』
ロキ『そういうことなら喜んでお供するぜ!(*’ヮ’)+ キラーン』
ヘーニル『まぁ…どうせ暇だし…』
オーディン『よし、決まりだな!』

第22話で『オーディン・ロキ・ヘーニルが毎回連れ立って人間界を旅するのは、実年齢が近い友達同士だから』という説を披露しました。
そこにもう一つの視点を付け加えます。
オーディンの義弟・ロキは食いしん坊の神(第2話第7話)、そしてヘーニルは狩猟を司る弓手神なのです。
つまり、この二人はオーディンにとって古参の側近というだけでなく、食料(特に肉類)調達に適した神
事実、オーディンは二人に命じて牛やカワウソをハンティングさせています。

神様トリオのミッドガルドOFF会が特に目的地も無い遊びの旅なのは確かです。
しかし、オーディン個人には『生命維持に必要な栄養を人間界でコッソリ摂取する』という重大な裏ミッションがあったと考えるに相応しくはないでしょうか。
きっと彼は空腹度が最低水準に陥る度に、トリオ旅行を企画したんですよ。
第21話でフレイドマル親子に急襲された際、軍神であるオーディンがあっさり捕らえられてしまったのも、『トリオ旅行時=オーディン餓死寸前』と仮定すれば納得がいく!
という結論に至ったので、冒頭のSSを一部修正させて頂きます。

オーディンの心の声(蛋白質と脂肪摂取!)
本当は、大食漢ロキよりもオーディンの方が食に切実だった!?

オーディンはプライドの高さ故に王宮での葡萄酒only生活を改めようとしなかったので、定期的に『ミッドガルドで非公式に肉を食うOFF会』が敢行されました。
その旅をキッカケに女神イドゥンが巨人に拉致されたり、巨人スカジが襲撃してきたり、人間から莫大な賠償金を請求されたりと、ろくでもない事件が頻発するのですが…。
何だかんだで無事解決し、オーディンの胃袋は満たされたので餓死も回避!
アースガルドの繁栄は続いていくのでした。

め、めでたし、めでたし…。

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オーディンは自分に配膳された食事を全て愛狼ゲレ&フレキに与え、自身は葡萄酒しか口にしません。
この設定は、フリッグとの夫婦喧嘩における最高神のハンガーストライキの様な物と俺は解釈していますが、原典神話のイドゥンの林檎編・賠償金編を読む度に『素直に家でメシ食えよ』って言いたくなります。
無駄に出歩いたせいで、事件に巻き込まれてるし。
『危ないから旅は自重して下さい』と繰り返し頼み込むフリッグ様の意図を、何故オーディンは体験から学ばないのでしょう。
いや、頭の良い彼なら嫁の意見が正論だと理解していたに違いない。
ただ、ちょっと…神話級にプライドが高くて素直になれなかっただけっすよね。

次回からは長編ストーリーをお送りする予定でっす(*’ヮ’)n

  1. なるほど、二人が付いて行ったのにはそういう理由があったのか
    オーディンもはらぺこだと力が出ないのね、腹が減っては戦ができぬということか

  2. 北欧神話には神様が美味しそう~にメシを食べるシーンが多いんだ。
    そんな中でワインしか飲まないオーディンは結構つらいものがあったんじゃないかなー。

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