第25楽節『神器と花嫁・7』

ミョル
投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・1』
投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・2』
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投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・6』

神器ミョルニール奪還編・ようやく最終回(*’ヮ’)n


スリュム邸に潜入するトールとロキ
今は昔。
盗まれた神器ミョルニールを取り戻すべく、トールとロキは女装して巨人スリュムの館へ潜入しました。
演技力と緊張感の足りないトールが花嫁にあるまじき食欲を発揮したため危うい場面がありましたが、ロキの奸智によりスリュムを欺くことができたのです。

スリュムの妹
披露宴もたけなわとなった頃、スリュムの嫁ぎ遅れの妹が花嫁の側に歩み寄ってきました。
この妹さんは可哀想なことに兄似のブッサイクな娘でした。

スリュム妹『アンタ、美の女神の割りに腕太くなーい?これだから軍神はーwww』
トール『……』
スリュム妹『いびられたくなかったら、アンタのしてる純金の腕輪を持参金に寄こしなさいよww』
トール『……(イライラッ』
スリュム妹『アタシのスリムな腕の方が似合うと思うしーww』
ロキ『そ、そうでございますね、お嬢様(;’ヮ’)オホホ』

スリュムの妹は早くも小姑全開。
容姿だけでなく性格まで醜悪な巨人娘に金品をせびられ、トールの脳血管がプチプチと切れてゆきます…。

トール(イライライライライライライライライライライライライライライライライライライライラ)
ロキ(まだだぞっ、まだキレるなよ??(゚Д゚;))

単細胞のトールは最早限界か!?
…とその時です。

スリュム
スリュム『よーし、そろそろ花嫁お清めの儀を始めるぞ』

古代北欧の結婚式には、日本の神前結婚式の三々九度みたいなお約束イベントがありました。
それは『花嫁の膝の間にハンマーを置いて清める』というものです。
ハンマーはその形状から男性器の象徴とされ、それを花嫁の膝に触れさせるのは『花嫁が花婿の物になる』というセクシュアルな意味を持っていた様です(・ω・)

ロキ『お金持ちのスリュム様のハンマーって、きっと値打ち物に違いないですわねっ><』
スリュム『ガハハwwwwおい、とっておきのハンマー持って来いww』
召使A『はいっ、ただいま!(´∀`)』
ロキ『男らしいスリュム様を象徴する逞しい逸品(性的な意味で)に違いないですわねっ><』
スリュム『ガハハwwww見ておれ、この世で最強のハンマーを使ってやるwwwww』

しばらくして巨人の召使がその手に携えてきたハンマーは…我々がよく知っている物でした。

トール『……!』

ミョルニール
そこには稲妻を孕んだ北欧神話最強のハンマー・ミョルニールがあったのです。

会議で意見するヘイムダル
ヘイムダル『巨人が祝言を挙げるというなら、そこにチャンスがあると思いませんか?』

もうお分かりでしょう。
神様会議でヘイムダルが『トールが花嫁の身代わりになる案』を出し、神々が全会一致で可決した理由。
ハンマーを用いる『花嫁お清めの儀』こそ、地下13,000mに封印されたミョルニールが再び日の目を見る、唯一無二にして絶好のチャンス!
ミョルニールを膝にかざされる花嫁が、神器の正統な所有者トールであったなら…即座に反撃が可能となるのです。
アースガルドでも屈指の真面目神ヘイムダルは、伊達や酔狂で女装を薦めた訳じゃないのだ(*’¬’)
(その他の神は…ゲフンゲフン…だけどね)
そんな神々の企みなど知らないスリュムは召使から神器を受け取ると、上機嫌で宣誓します。

スリュム『フレイヤたんを永遠に愛しますっ(//∇//)』

お清めの儀
ぽふっ!

トール『!!!』
ロキ(キタコレ!(;’ヮ’))

軽い音を立て、ミョルニールは花嫁の膝元に置かれたのでした。
巨人キラーの異名を取る、雷神トールの元に!
もはや彼は従順な花嫁の芝居を続ける必要はなくなりました。
ミョルニールをむんずと掴むと、分厚いヴェールをかなぐり捨て…

正体を現した雷神トール
闘気に逆立つ赤い髪、怒りに燃える赤い瞳、隆々とした筋肉…荒ぶる戦神の本性を現したのです!

スリュム『Σフレイヤたんじゃない!?お、お前は雷神トー…』

スリュムはトールの名前を最後まで呼ぶことができませんでした。
何故ならばミョルニールの強烈な一撃が振り下ろされ、頭蓋骨が叩き潰されてしまったからです。

スリュム妹『お、お兄様ー!』
トール『てめー、持参金を寄こせとかほざいてたよな…』
スリュム妹『ヒッΣ( ̄Д ̄;)』
トール『くれてやるぜ!メマーナイト!!!』
スリュム妹『ギャーーー!』

意地悪な小姑は金の腕輪ではなく、鋼鉄の槌を持参金として脳天にお見舞いされました。

巨人虐殺
巨人A『旦那様が…お嬢様が…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル』
巨人B『ヒー、逃げろーー!』
トール『ああ、逃げると良いぜ…。冥界ニブルヘイムにな…』
トール『皆殺しだ!!!』

ミョルニールを奪われた恨み、神々の前で叱責された恨み、そして何よりキモイ女装をするハメになった恨みで、トールのストレスゲージは満タンでした。
彼は溜まりに溜まった鬱憤を晴らすべく、ミョルニールを力いっぱい振り回します。
逃げ惑う巨人達は次から次へと、巨人キラーの餌食となっていきました。

ここは巨人国、しかも”武人”スリュムの本宅な上に、結婚式には多くの同族が集まっていました。
地の利・数の利は圧倒的に巨人側が優勢であるにも関わらず、彼らはたった一人の神に全く太刀打ちできず、一方的に虐殺されるのみ。
それほどまでにミョルニールを手にした雷神トールは強かったのです。
スリュムが卑怯な作戦でミョルニールを奪おうとしたのも合点がいきますね。
…だからこそよー、『フレイヤたんを嫁にくれたらミョル返してもいいよ♪』なんて持ちかけるなよ…。
スケベ心を出した結果がこれだよ!

愛と美の女神フレイヤ
フレイヤ『トール&ミョルへの恐怖より、美しくて愛らしい私の魅力の方が強かったって事よね♪』

……。
フレイヤ様の魅力については、次回の長編シリーズで特集しようと思います(;’ヮ’)

さて。
トールが奮闘する間、侍女に扮した叔父貴殿は何をしていたのでしょう?


ロキ『ばくばくむしゃむしゃぱくぱくもりもりがつがつもぐもぐばりばりぼりぼりぐびぐびごっくん!!』
トール『死ねええええ!!お前らみんな死ねえええええええ!!!』←ストレスゲージ消費中
巨人A『ギャーース!』
ロキ『スリュム牧場の黒毛牛ステーキまじうめぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwww』
トール『殺すうううう!!お前ら全員ぶっ殺おおおおおおす!!!』←ストレスゲージ消費中
巨人B『ギャヒーー!』
ロキ『これタッパーに詰めて持って帰ろーっと(*’ヮ’)ノ◎』

ロキが戦闘に参加した記述はないので、多分巨人成敗そっちのけで御馳走を食べてたと思います(*’ヮ’)

【ロキが結婚式潜入作戦に協力した理由・2】
旨い飯にありつけそうだったから(推定)

いやー、ロキの出演回は美味しそうな食べ物が高確率で登場するので…。
戦闘パートにおいてロキは何ら活躍してなさそーですが、トールの手によってスリュムの一族郎党は一人の例外もなく征伐されました。
結婚式を祝うどころか、葬式を挙げる遺族すら残さずに全滅…。

トールは1on1の決闘(第15話)でも、今回の様な多対一の殲滅戦でもアホみたいに強い!
ズル賢い作戦抜きの真っ向勝負なら、彼が北欧神話最強の軍神です(・ω・)
今回は情けない場面が多かったけど、ラストでトールの面目躍如ですね。
やっぱりトールはこうでなくちゃ(ノ∀`)
かくして神器ミョルニール奪還作戦は無事、任務完了となったのでした。
それから…。

神様パワーを無駄遣いする神様達
ブラギ『父上、本件を”スリュムの詩”という劇詩にまとめてみました♪ララ~♪』←詩の神
オーディン『うむ。良い出来ではないか。これは人間に未来永劫、歌い継がせよう。ププッ』←詩の神
トール『才能の無駄遣いしてんじゃねぇえええええええ!!』
ヘイムダル『貴公の花嫁ぶりはビフレストの袂より、残さず拝見しましたよ!』←千里眼+地獄耳の神
トール『うるせえええええちくしょおおおおおお!!神パワーをまともなことに使ええええええ!!』

アースガルド神話は詩人による口承の伝説で、古代人は書物など文字の形で残しませんでした。
北欧諸国がキリスト教化されると共にエピソードの大半が消失したと言われています。
しかし『神器奪還☆トールを花嫁にしちゃうぞ大作戦』が現代まで形を留めていられたのは、詩人の守護神であるブラギやオーディンの頑張りがあったに違いありません。
トールは良い父と弟を持ったね(*’ヮ’)

めでたしめでたし。

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