第25楽節『神器と花嫁・5』

投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・1』
投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・2』
投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・3』
投槍北欧神話・第25楽節『神器と花嫁・4』
の続きでござる(*’ヮ’)


神様会議の様子
今は昔。
巨人スリュムは雷神トールからミョルニールを奪い、『返して欲しくば美の女神フレイヤを花嫁に寄こせ!』と神々に要求しました。
フレイヤ本人と最高神オーディンがそれを全力で拒んだため、神様は会議を開いて別の方策を模索します。
その結果、賢く真面目な神ヘイムダルが発案した『トールがフレイヤに変装して巨人国に潜入』という珍作戦がまさかの可決。
漢らしさの権化の様なガチムチ神トールは無事、美の女神になりきることができるのでしょうか…?

※今回の会話部分は、ほとんど脚色なので注意してね!※

結婚承諾書『神々が巨人スリュムに宛てた女神フレイヤとの結婚を承諾するという内容の手紙』
緊急アースガルド国会で『神器奪還☆トールを花嫁にしちゃうぞ大作戦』が満場一致(当事者トール除く)で可決されると、神々はすぐ巨人スリュムの元へ『フレイヤを嫁に出します;x;』という知らせを送りました。

ここで豆知識(・ω・)
古代北欧の結婚では『婚約成立後、九夜後に式を挙げる』とゆー風習があったそーです。
フレイとゲルドもしきたりに従って、婚約から九夜後に結ばれました(*’ヮ’)(第12話
それとは少し違いますが、ニヨルド&スカジ夫妻は九夜ごとにお互いの住居で暮らした(第3話)とあるので、結婚において『九夜』という日数はとっても縁起が良かったみたい(・ω・)
つー訳で、トールの準備期間は九夜です。

原典では『神々と女神達は花嫁のヴェールとドレスを用意しました』とサラッと片付けているので、俺の鮮やかな推理に基づいて『雷神トールが如何にして美神フレイヤとなったのか!?』を捏造神話します(*’ヮ’)n
まず、この花嫁仕度の音頭を取ったのは誰なのでしょうか?
『結婚』といえば、きっとこの女神様の出番でしょう…!

フリッグ
フリッグ『ワタクシ、結婚神の任に就いて幾星霜。これほどの難題に直面したことはございません…』

最高神オーディンの正妻で、結婚を司る女神フリッグです(*’ヮ’)
他にも結婚・恋愛神はいるんですけど、総元締めは彼女だと思いますんで。
フリッグ様もガチムチ兄貴を花嫁に送り出すなんて珍婚は後にも先にもこれっきりだったでしょう。

フリッグのスパルタ花嫁修行開始
フリッグ『でも!やり遂げて見せますわ!必ずや貴方をどこに出しても恥ずかしくない花嫁にします!』
トール『いや、あの…結婚する”フリ”だし、テキトーに衣装だけ貸して貰えれば。。。』
フリッグ『貴方、結婚をナメているの!?そんなことでは巨人に見破られましてよ!』
トール『す、すいません。。。』
フリッグ『まず貴方は体格が良すぎるのでドレスが似合いません。式当日まで絶食ダイエットを命じます』
トール『えぇぇえええぇえぇ!?そこからやんのかー!?』
フリッグ『従順な花嫁は口答えをしないっ!!』
トール『は、はい。。。』

神話中『トールがダイエットした』とは明言されていないのですが、物語後半部によると彼は大変お腹が空いていた様なので↑こう解釈しておきました(*’ヮ’)

フリッグ『それでは花嫁Lesson1!ふつつかな娘ですが宜しくお願い致します。さぁ、リピートアフターミー!』
トール『ふ、ふしだらなむすめですがよろしくおながいします』
フリッグ『違う!もう一回!』
トール『ふ、ふくよかなむすめですが…』
フリッグ『違ーーう!!』

一方その頃…。
フリッグのスパルタ花嫁修業を受けているトールを余所に、他の神々はこっそりダベっていました(※推定)

神々のダベリ
ロキ『トールって、マジに脳筋だよな』
オーディン『うむ』
ニヨルド『確かにフレイヤは嫌がってましたけど、何もトール君が花嫁姿にならなくても…』
ロキ『フレイヤそっくりの双子の兄貴フレイがいるのになwwwwwww』
フレイ『ですよねー(・ω・)oO○(トールが脳筋で助かった!』
スカジ『ヘイムダルさんも真面目だけど、天然っていうか…』
ロキ『アイツのトール花嫁案がマジキチ過ぎてクソ吹いたwwwwwwww』
オーディン『いやいや、あれは歴史に残る名案ではないか!ププッ』
ブラギ『トールの嫁入り(笑)は数千年経っても詩人達に謳われるでしょう♪ラララー』
イドゥン『貴方ったら、また詩神の能力を変なことに使って;;』←ブラギの嫁
神々『トールの花嫁姿wwwww実に楽しみだwwwwwwwwwwww』

この説話で俺の最大の疑問は↑でロキが語る通り、双子のフレイがいるのに、なんでフレイヤの代役がトールなんだよ!ということです。
美形男満載の北欧神話で、トールは『怒りで逆立った赤毛、赤ヒゲ、ガチムチ筋肉ダルマの最強おっさん』って書かれる様な神ですよ。
愛と美の女神とは対極の見た目だよ…。
バレずに済むと想定する方がおかしいって。
脳筋トール&真面目過ぎて馬鹿の領域に達するヘイムダル…以外の神様全員、任務失敗の危険を承知であえて女装潜入案に賛成したのだと思います。
トールの醜態を面白おかしく笑いものにするためだけに!

【神々の優先順位(推定】
 トールの花嫁姿を見たい欲求>>(越えられない壁)>>ミョルニールを安全に奪還したい欲求

一時の笑いのために平和維持を後回しにする…、それが北欧神話クォリティ。多分。
そしてドッキドッキの九夜後。
いよいよ花嫁(笑)お披露目の日がやってきました。

フリッグ『さぁ、いらっしゃいトール…いえ、花嫁フレイヤ!』


トール『…ふ、ふつつかな娘ですが宜しくお願い致します(棒読み』
神々『こwwwwwwれwwwwwwはwwwwwwひwwwwwwどwwwwwwいwwwwww』
オーディン『我が息子ながらキモいにも程がある』
ヘイムダル『透過率の低いヴェールで顔を隠せば何とかなりますよ』

九日間、無駄な努力をしてみたところで、やっぱり駄目なもんは駄目でした。
どこからどう見てもミスターマッスルです。
『馬子にも衣装』とは言うけれど、『トールにもウエディングドレス』は流石にハードル高かった。
ひとたびヴェールをめくられたら10000%フレイヤ本人ではないとバレる程度の変装でしたから、神々は期待通りに抱腹絶倒できましたが、ミッション的には非常にやばい状態です。

オーディン『巨人国で死ぬ確率が高まったことだし、最後に記念撮影でもしておくか』
トール『あのなぁ、親父。。。』
オーディン『もしもの時は遺影に採用してやる…ププッ』
神々『Σハッ…(゚Д゚;(゚Д゚;(゚Д゚;)』

笑い合っていた神々は広間に遅れて参上した神を見て、一斉に口をつぐみました。


そこに立っていたのは本物の女神フレイヤ。
彼女は押し黙ったまま、ドレスを纏ったトールに近づいてゆきます。

トール(フレイヤ!俺のピンチを見かねて花嫁役として来てくれたんだな!!やっぱり俺達は仲間だ…ン?)

そして美の女神は、一本のネックレスをトールの首にかけてやったのです。

ブリーシンガメン
それは前々回、怒りの爆裂波動でちぎれたブリーシンガメン。
フレイヤ役を演じきる小道具として、神々が急ピッチで修復していたのです(*’ヮ’)

トール『あ、あの。。。』
フレイヤ『貸すだけよ、あげないからね!』

フレイヤはそれだけ言うと広間から立ち去ってしまいました。
トールのアテは外れ、彼女は単に自分のトレードマークである装備を貸し出すために参内したのでした。

~扉の外~

フレイヤ『ッププーーーーーー!お兄様、見た?wwwアレで私のコスプレのつもりなの?wwwないわwwwwww』
フレイ『シー!声が大きい。聞こえちゃうよ(-ω-`;)』
ニヨルド『トール君は任務なんだから笑ってはいけないよ、フレイヤ』
フレイヤ『でもwwwお父様wwwww』
ニヨルド『任務でなければボクだって「ウチの娘はこんな筋肉ダルマじゃない!」とオーディン様に抗議するところだ』
フレイヤ『あーwwwもうwwwお腹よじれちゃうしwwwwきんもーwwwwwwww』

トール(…全部聞こえてんだよ、チクショーー!)

重ね重ね申し上げますが、神々の世界では女装や同性愛は固く禁止されています。
トール本人だって嫌々ドレスを着ているのですから、自分で自分がどれほどキモイかよーーーく分かっていたはずです。
こんな屈辱、いつもだったら怒って大暴れするところ。
しかし、そもそもの非は居眠りで神器をパクられた自分にあるのでググッと我慢した訳でございます。

さて。
ブリーシンガメンを拝借し、美神フレイヤとなりきったトール(※当社比)に、とうとう興入れの時刻が迫ってきました。
その段になって、トールに力添えする神が現れたのです。

ロキ『準備万端の様だな。安心しろ、巨人国には俺もついて行くぜ!(`・ω・´)+』
トール『おお、叔父貴!やっぱり最後に頼れるのは叔父…!!?』

振り返ったトールが見たものは!

女に化けたロキ
女体化した叔父貴でした。

ロキ『花嫁フレイヤの侍女役としてエスコートするぜ!ヾ(*’ヮ’)ノシ』
トール『なんで!!!叔父貴まで女装してんだよ!!!』
ロキ『お前の滑稽なコスプレと一緒にするな!俺は妊娠出産が可能なLvでメス化している(`・ω・´)+』
トール『…………』
神A(ププーッ!ロキの奴、絶対やると思った(`∀´)ニヤニヤ)
神B(セットできめぇwwwwwwww)
神C(でもトールと比べたら、まだロキの方が見られる姿だな)

ロキが女の格好で登場したのも本当(・ω・)
彼は性別・容姿を自在に変える能力を持っていて、神話で5回以上は♀となっています…が。
城壁工事を妨害するために雄馬スヴァルディルファリを誘惑した件(第6話)以外は、全く必要性の無い♀変身です。
断定しよう、『女になるのはロキの趣味』だと!

女体化のおかげでロキは、神々から『キモイ(‘A`)』『神らしくない!』などと相当の反感を買っています。
『女装可』と神々が公認した今回の任務では、堂々と性転換できたので、きっと楽しかったはず…(*’ヮ’)
彼がトール女装案の賛成派に回ったのは『嫌がるトールを女装させて爆笑したい』という理由の他に、『女体化するチャンス\(^o^)/ヮーィ』って気持ちがあった説を提唱します。
ともかく巨人国には、フレイヤのコスプレをしたトール&女体化したロキという男の娘コンビで潜入することとなったのでした。

トールの山羊馬車
花嫁のお輿は、トールの山羊タングリスニ&タングニョーストに牽かせた戦車(第15話登場)です。

ロキ『さぁ、フレイヤ様(笑)出発しましょう(*’ヮ’)ウフッ』
タングリスニ『メ、メェェェー;;(いつものトール様じゃないメェ!』
タングニョースト『メェーメェー;;(ぶっちゃけキショいメェ!』
トール『……』

いつも勇ましく戦うトールを乗せていた山羊さん達も、これにはさぞかし戸惑ったろうね。
ちなみに軍神であるフレイヤも専用戦車を所持していますが、このミッションでは貸していません。
顔を隠してフレイヤの身代わりとなっても、トール自身の戦車に乗って行ったらバレる危険性が高まりそうですよね。
フレイヤは大事な宝物ブリーシンガメンを渡すことはできても、戦車だけは絶対に貸せない理由があったと俺は考察しています。
その秘密は別シリーズを待て!(*’ヮ’)

巨人国へと出発!
こうして山羊の戦車に揺られ、二人は巨人国へと旅立ったのでした。

完成度の低いトールの女装、遊びのノリなロキ…。
果たして彼らは神器ミョルニールを無事取り戻すことができるのでしょうか?
次回、トール扮する花嫁フレイヤと巨人スリュムの結婚式!

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