第30楽節『悪戯の代償・2』

ほくそえむロキ
投槍北欧神話・第30楽節『悪戯の代償・1』の続き。

ロキは悪戯の落とし前をどーやって都合するつもりなのでしょうか(・ω・)


あらぶるトール
今は昔。
悪戯神ロキは雷神トールの妻シフの寝室に忍び込み、彼女の髪を丸刈りにしてしまいました。
帰宅したトールは無残なシフの姿を見て、怒り心頭。
ぶち殺す勢いでロキに詰め寄ります。
荒ぶるトールの怒りを鎮めるため『髪の毛を元に戻す』と約束し、ロキは小人国に旅立ったのでした。

地下洞窟
神の国アースガルドから下界ミッドガルドへ降り、長い長い地下洞窟を抜けた先に、小人国ニダヴェリールは在ります。

小人国は陽の差し込まない地下の世界なので、暗くて寒くて湿気ジメジメです。
神様はココに来るのを大層嫌がったらしい(第14話参照)
地中に住んでいるためか、小人は鉱物の精製に優れ、黄金などの財宝をいっぱい蓄えています。
そんな小人国のとある家にロキは入ってゆきました。

イーヴァルディの息子達とロキ
ロキ『ちわーっす(*’ヮ’)ノ』
小人達『おや、ロキしゃん。こんにつはー(‘◇'(‘◇’*)』

小人の鍛冶屋・イーヴァルディ
ロキが訪れたのは小人イーヴァルディの館です。

イーヴァルディは一家で鍛冶業を営んでいて、彼らが精錬した武器防具は高性能で大変評判が良かったそうな。
『小人に何とかして貰うから~><』というのはクチから出まかせって訳じゃなかったんですね(・ω・)
この日は、イーヴァルディ氏の息子二人が出迎えました。
(※なお神話中に息子達の名前が見当たらなかったので、便宜上『Jr.兄』『Jr.弟』と呼ばせて頂きます)

驚くイーヴァルディの息子達
Jr.兄『今日はどげんしたか?(‘◇’*)?』
ロキ『実は…雷神トールの美嫁シフが…可哀想なことに、頭つるっパゲになっちまったんだ…(`;ω;´)』
Jr.弟『Σ(‘◇’;)そ…そいは可哀想やね…』
Jr.兄『ばってん、なしてそーなりよったんやけ??』
ロキ『ばっ、バカ!そんなこと聞くな!女の子には色々あるんだよ(`・ω・´;)』
Jr.弟『兄しゃん、そげなこつば聞いたら失礼たい。神様ば、うち達になんか頼みごとあるけん?』
ロキ『よくぞ聞いてくれた!世界一の鍛冶屋である君達にしか、できない頼みごとさ』
Jr.兄弟『世界一の鍛冶屋だなんて、照れるたい~(‘◇'(‘◇’*)ゞ』
ロキ『君達の腕を見込んで、シフのウィッグを創って貰いたいんだ!(ドーン』

ロキは自分の悪事は隠しながらシフの窮状を語り、人工毛の製造を依頼したのです。
鍛冶屋と言っても武器だけでなく、首飾り(第8話)や捕縛用ロープ(第14話)など小人が手がけるアイテムは多種多様。
北欧神話界の御都合アイテムは大体、彼らが製作しています。

Jr.兄『カツラなら製造Lvも低いアイテムやし、お安い御用たい(‘◇’*)』
Jr.弟『金銀加工品やけん、御代は120Mになるけん』
ロキ『高ぇよwwwwお安い御用じゃねぇのかよwwwww/(^o^)\』

ロキは最高神オーディンの舎弟として悠々自適に暮らしてはいるものの、義兄とは違い金銀財宝に囲まれた成金ライフではなかった様です|ω・)
無い袖を振るため、彼はお得意の口八丁スキルを発動しました。

ロキ『お前ら、田舎者だから分かってないな。これは世紀のビッグチャンスなんだぞ?( ・`ω・´)+ キラッ』
Jr.兄弟『チャンスっちは、どげんゆう意味やか…?(‘◇'(‘◇’*)』
ロキ『アースガルド最強戦士トールの嫁のピンチを救ったら、神々に恩を売れるだろ?』
Jr.兄『そーやねぇσ(‘◇’*)』
ロキ『しかも、そのアイテムを無償で創ったとしたらどうだ…?売れる恩は倍増だぞ!』
Jr.弟『恩ば売って、どげんすっとたい?』
ロキ『トールの親父は世界一エライ神のオーディンだぜ?覚えめでたくなりゃぁ、無敵の最高神がお前らのケツ持ちになるって寸法さ!これ以上に美味しい話はねーだろww』
Jr.兄弟『う~~ん(*’◇’)(‘◇’*)』

神・巨人・小人の力関係
神・巨人・小人の力関係

Jr.兄弟は考えました。
巨人を駆逐し、ヴァナヘイムと神族同盟を交わしたアースガルドの神々は常勝無敗の勢力。
それを後ろ盾に据えるのも、武力の無い小人族にはまんざら悪くない話です。
元々、彼らは鍛冶・錬金術で財宝をうんと創り出せるので、ウィッグの代価は子供のお小遣い同然。
ロキの弁舌通り、美味しい取引に思えてきました。
何より世界一の鍛冶屋とおだてられ、気を良くしていたので…

Jr.兄弟『そしたらシフしゃんのカツラば、うち達が無料で作りましょーたい!キラーン +(‘◇'(‘◇’*)』
ロキ『うむ!是非そうしてくれ!君達と神々の友情のために!!(`・ω・´)』

お人好しなイーヴァルディJr.兄弟は、ウィッグの無償製造を快く引き受けてしまいました。

ほくそえむロキ
内なるロキ(ヤッター!!料金タダになったー!!馬ッ鹿じゃねーのwwwwwwm9(^Д^)プギャー!)

ロキは他人の心を翻弄するのが大変得意な神なのです。
怒らせる方向にも、喜ばせる方向にもね。
後々になって、彼のその性質が世界の運命すら揺るがすのですが…まー、それは別のお話。
ロキの小汚い思惑なぞ露知らず、Jr.兄弟は鍛冶用の溶鉱炉に火を入れました。

ウィッグ精錬
Jr.兄弟『ウィッグ精錬 !!(‘◇'(‘◇’*)カンカン!』

兄弟の手際の鮮やかさときたら、それはそれは見事なものでした。
熱した金塊と銀塊を鎚で叩き、あっという間に薄く延ばしたかと思えば、次は細く縒り合わせ、糸に紡いでゆきます。
そして束ねた糸の根元を編み込んでカツラの形に整えたのです。
お仕舞いに小人だけが知る魔法の呪文をかけると、シフのウィッグは完成しました。

シフのウィッグ
風にたゆたいながらキラキラ輝くウィッグは、まさに女神シフの美髪を再現した逸品に違いありません。

世界一の鍛冶屋というロキの誉め言葉も、ただのヨイショじゃないんですね。
しかし、もっとスゴイのはここからです。

Jr.兄『うーん、創作意欲がムンムン湧いて来よった!!ヾ(‘◇’*)ノシ』
Jr.弟『兄しゃん!まだ材料は余ってるけん、他ん物も作ろーう!!ヾ(‘◇’*)ノシ』

彼らは根っからの職人気質だったので、ウィッグ精錬でイマジネーションに火がついたのです。
残っていた黄金と銀をカンカンして、ウィッグとは別のアイテムまで製造し始めました。
ただでさえタダ働きなのに…。
売れる恩が倍になる面もありますが、Jr.兄弟の場合はクリエイティヴな仕事が大好きだったんでしょう。

Jr.兄『せっかくやけん、最高神にも献上する物ば創ろう~。こうゆうデザインはどげんやろ(‘◇’*)』
Jr.弟『ヴァン神族のフレイしゃん(エリート神)にも贈った方がよかたいd(‘◇’*)』

こうして余り物の材料を使い、溶鉱炉が冷めてしまうより前に、二つの製造品が出来上がりました。
一つは…

美しい槍
凛とした佇まいの美しい槍。

デザイン重視の装飾用とも見えますが、ただならぬオーラを纏っていて、隠された力がありそうです。

二つ目は…
小さな帆船
掌に乗るサイズの小さな船の模型。

びっくりする程、精密にできていて、子供のオモチャの様ではなさそうです。
…SSがショボイとか言うな(‘A`)
必死で探したけど船っぽいアイテムや画像がROで見つからなかったんだよ!!
脳内パッチを当てて下さい。

貢物完成
Jr.兄弟『ロキしゃーん、できましたけーん(*’◇’)ノ』
ロキ『早ぇーな!って、何か多くね??』
Jr.兄弟『オーディンしゃん&フレイしゃんにもプレゼントたい(‘◇'(‘◇’*)』
ロキ『Oh,,,お前ら、だいぶ世渡りが分かってきたじゃねーかww』
Jr.兄『これ、アイテムの取扱説明書たい(*’◇’)ノ□』
ロキ『ふむふむ…ほうほう…な、なんだってー!?』

Jr.兄弟からアイテムの仕様をレクチャーされ、ロキは驚きをあらわにしました。

ロキ『素晴らしい…素晴らしい仕事ぶりだ!さすがは世界一の鍛冶屋だけある!』
Jr.兄弟『いやいや、それほどでもなか~!エヘッ(*’◇’)(‘◇’*)ゞ』 

心底、驚くロキ
内なるロキ(うぅむ、馬鹿でチビでブサイクで田舎者のキモオタだが、鍛冶の腕はマジに恐れ入るぜ…)

ロキ『それじゃ俺は早速この名品をオーディン様に献上して来るぜ!』
Jr.兄弟『よろしゅうお伝えくれんね~!ヾ(‘◇'(‘◇’*)』
ロキ『おう、任せとけ!(`・ω・´)』

シフのウィッグ、美しい槍、小さな帆船。
三つの宝物を携えて、ロキはイーヴァルディの館を後にしたのでした。

次回、ロキの明後日な企みが発動する!?

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