第33楽節『愛の女神の恋・1』

フレイヤ
今回からは愛と美を司る戦女神・フレイヤがメインのお話です(*’ヮ’)

女神の中で最もモテるフレイヤ様は一体どんなロマンスを繰り広げるのでしょうか?
ちょっと今回は過去神話からの引用が多め( ´,_ゝ`)


フレイとフレイヤ
今は昔。
軍神オーディン率いるアース神族と双璧を成す一派・ヴァン神族。
彼らが暮らす緑豊かな国ヴァナヘイムに、それはそれは可愛い双子のチビッ子がいました。
お兄ちゃんはフレイ、妹はフレイヤです。
二人はとっても仲が良く、いつも同じお布団で寝ているほどでした(※公式設定です)

フレイヤ『お兄様だいすきー(*・ω・)』
フレイ『ボクもフレイヤがだいすきー(・ω・*)』
フレイ&フレイヤ『大人になったら、お父様とお母様みたいに結婚しようね(*・ω・)(・ω・*)ネー』

兄妹の父は海神ニヨルド、そして母はニヨルドの実妹(名前不明)です。
ヴァン神族では近親婚が当たり前だったので、↑の様な会話も子供のオママゴトではなく現実味のあるお話だった訳っす。
フレイは最初の歯が生えたお祝いに妖精国アールヴヘイムを貰う等、双子は高貴な神様として何不自由なく育てられました。

フレイは『王』を、フレイヤは『女王』を意味する名前。
北欧神話、特に豊穣を司るヴァン神は『二人で1セット』という概念が重要視されていました。
繁殖にはオスとメスが必要ですからね。
リアル世界の歴史において元々「オーディン教とは別宗教の最高神」だった王&女王の双子は、二人で一つの王権を司る神様だったのです。

そして信仰の統合前は双子の兄妹であり、夫婦でもありました。
オーディン教では近親相姦禁止なので、夫婦設定は消滅したそうな。
夫婦ではなくなったけど『フレイとフレイヤは同衾していた』という設定は健在なので、男女関係が存在したと見るべきです…が、投槍解釈では『異常に仲の良い双子だけどセクロスはしてないよ説』をゴリ押ししようと思います。
根拠?俺の趣味だ。

まぁ、本編の続き。

成長したフレイ&フレイヤ
月日は流れ、双子は軍神としての強さ、農耕神としての豊穣パワー、そして輝くばかりの美しさを併せ持つ素晴らしい神に成長しました。
王の名に恥じぬ、申し分の無い存在に…。

フレイヤ『お兄様が世界で一番カッコイイ!(・ω・*)』
フレイ『フレイヤが誰より可愛いよ!(*・ω・)』

あとは二人がゴールインするのを待つのみ(*’¬’)
最強の豊穣神兄妹が結婚すれば、ヴァナヘイムには更なる繁栄が約束されるでしょう。
しかし…

オーディンと魔女グルヴェイグ
ヴァナヘイムの魔女グルヴェイグが、アースガルドを訪問した時のことです。(第5話
黄金マニアで下品なグルヴェイグがウザかったので、オーディンは槍でメッタ刺しにするわ、生きたまま火に放り込むわの凄まじい拷問にかけました。

しかし謎の妖力で魔女は甦り、アースガルド内で不気味なサバトを開催して、更にアース神族の怒りを買います。
そして身内の魔女に対する理不尽な虐待を知ったヴァン神族も激昂。
神話世界の二大勢力であるアース・ヴァン神族の大戦争が勃発したのです。

アース・ヴァン戦争
フレイ&フレイヤ『ババ様の仇!!(・ω・´#(・ω・´#)』
トール『っしゃああぁ!!かかって来いやぁあぁ!!』
ヘーニル(婆さん死んでないけど…まぁ、何でもいいか…)

ヴァナヘイムのエース軍神である双子の兄妹も轡を並べて勇敢に戦いました。
アースガルド側もトールやヘーニルといった軍神が参戦してるハズなんだけど、個人個人がどの様に戦ったかはワカリマセン。
当時、打撃系戦士が多かったアースガルドに対し、ヴァナヘイムは魔法力を駆使して応戦した…とだけ神話には記されています。
前述したグルヴェイグの不死身パワー(?)も、ヴァン族固有の魔力だったとかなんとか。

一歩も譲らぬ互角の勝負が続き、アースガルド外周を取り囲む城門・城壁はボロボロに破壊されました(第6話
以降のアースガルドVS巨人の戦闘では、ラグナロクが訪れるまで国土に大きなダメージを受けていないので、この戦争は神話中で二番目に大きな衝突と言えます。

両国は泥沼戦争を続けても無駄な犠牲が増えるだけと判断し、和平会談を設けました。

ここでちょー投槍解釈( ^ω^)
神話世界の武闘派勢力はアース神族・ヴァン神族だけではありません。
これまでに解説した通り、アースガルドにとっての宿敵は巨人族。
巨人王ユミルを暗殺&巨人族を絶滅寸前まで虐殺したオーディン程ではないにしろ、ヴァン神族もまた巨人を忌み嫌い敵対関係にあります。

なお、神話に登場するその他の種族は人間・妖精・小人・黒妖精ですが、人間はアース神族の、妖精はヴァン神族の眷属。
小人や黒妖精は時として神と険悪なムードに陥ったりはしますが、基本的に鍛冶製品の取引相手って感じでWin-Winの関係を保っています(・ω・)
優れた武器を創ることはできても、あいつらは所詮キモオタなんで戦闘力はゴミです。

つまるところ、アース・ヴァン神族が正面衝突で国力を消耗すると、一番得するのはノーダメージの第三勢力である巨人。
きっとこの結果だけは神々的に我慢ならなかったと思いますね。
争いあった二つの神族が同盟を結ぶに至った裏事情には

神々『ヴァン(アース)神族はムカつくけど、ブサイク巨人はもっともっとムカつくんじゃあああ!!』

…という本音があったんじゃないでしょうか(*’ヮ’)
巨人という共通の敵による漁夫の利ヒャッホイ!…を避ける狙いも兼ねての休戦だと俺は思います。

賢者クヴァシル
和平の条件は『友好の証として両神族の唾を集めて賢者クヴァシルを誕生させる』(第1話

もう一つが『幹部クラスの神を交換する』

後者は親善大使の派遣でもあり、協定に背いて攻め入られないための『人質交換』でもあります。
アースガルド代表のミーミルは後々になって処刑される等、ヘタしたら殺されちゃう立場です。
そして、その交換要員としてヴァナヘイムでは海神ニヨルド・息子フレイの二人が選ばれました。

ニヨルド家にて
フレイヤ『エーッ!?お父様とお兄様が野蛮なアースガルドに永住!?Σ(・ω・;)』
フレイ『ウン。これはとても名誉ある大役なんだよ(`・ω・´)シャキーン』
フレイヤ『お兄様と離れ離れになるなんてイヤーーーー!。・゚・(ノДヽ)・゚・。』
ニヨルド『よしよし。それじゃあ、フレイヤも同行して良いか先方に伺ってみるね^^』

参考文献によると、ニヨルド&フレイの二人が派遣されるところにフレイヤも加わりましたと書いてあったんで、当初フレイヤは交換要員では無かった模様。
彼女が追加された理由は不明ですが、きっと↑こんな感じでしょう。

まぁ、フレイは兄でもあり、仕事上の相方でもあり、恋人に限りなく近い男な訳でそりゃあ別れたくないよね。
色々な説話を総合すると、ニヨルドは子供に激甘なパパだった様なんで、ホイホイOKしたと思う…(*’ヮ’)
近親相姦を禁じているアースガルドは当初ニヨ一家をキモがったものの、何だかんだでOKすることに。

ニヨルド一家赴任
こうしてニヨルド・フレイ・フレイヤの親子三人は、オーディンが治めるアースガルドに移り住んだのです。

オーディンの「近親相姦ダメ!ゼッタイ!」政策により、ママだけ置いてけぼり…。
直接的に引き裂かれたのはニヨルド&妹(妻)だけですが、オーディンの意図により、仲の良かったフレイ&フレイヤも恋人として結ばれる芽を摘まれてしまいました(第5話
これは俺の捏造解釈です( ^ω^)
「古代の信仰においてフレイ&フレイヤは元々夫婦だったけど、その設定は破棄された」というリアル世界事情における神話の変遷を、↑の投槍解釈で回収しております。

俺の妄想は置いといて。
優秀な神様だったニヨルド一家は、聖なる儀式の神官に任ぜられました。

ニヨ一家による血祭り
その名も血祭り

なんだこの和訳は…(;´Д`)
その他の訳には「犠牲祭」なんて無難な物もありましたが、この血祭りという語感が素晴らし過ぎです。

肝心の祭り詳細はよく知らんのだけど、大まかに言うとフレイ&フレイヤの眷属である馬や豚、人間を生贄としてブッ殺し、繁栄をもたらす儀式みたいっす。
これに限らず北欧神話ではイケニエを神に捧げる信仰スタイルが散見されるのですが、それはまた別のお話。

ちなみに今のスウェーデンはキリスト教国ですが、クリスマスには七面鳥ではなく豚の丸焼きや豚型ケーキを食べたり、ツリーに豚のオーナメントを飾る習慣があります。
これはニヨルド一家による血祭りに由来するそうな。
キリスト教に駆逐されながらも現代まで信仰の名残を留めるってのは、大昔の北欧でニヨ一家がいかに影響力が高い神であったか伺い知れますね。

こんな感じで、元・敵軍でありながらも、ニヨ一家はアースガルドの一員として馴染んでゆきました。
兄はアダ名が『アースガルドの貴公子』と自国の代名詞的に讃えられるエリート軍神。
妹は戦乙女ヴァルキリーのリーダー&全女神で一番モテるアイドル的存在に。
アース神・代表のミーミルが斬首、ヘーニルは強制送還と散々な結果なのに、アース・ヴァン同盟が保たれたのはニヨ一家がだいぶ頑張ったからじゃないかな…。
オーディンは巨人族のロキやエーギルを積極採用している様に、元が巨人だろうが『実力があればオッケー!』という現実主義(・ω・)
神話が編み出された当時、異民族をバンバン吸収して国力を増強していたことの表れです。

さて。
故郷ヴァナヘイムで暮らしていたなら、フレイと&フレイヤは両親と同じ様に兄妹で結婚していたでしょう。
しかし骨を埋めるアースガルドでは近親者と結婚できない掟です。
二人はそれぞれの恋路を歩みだし…

フレイとゲルドの結婚
兄フレイは巨人ゲルドに一目惚れしてヒッキーになったり、従者スキールニルによる脅迫同然のプロポーズを経て、結婚(第12話
誕生した息子フェルニル君はスウェーデン王室の開祖になりました。
二人の結婚生活は神話に全然ない…っていうか、ゲルド自体が登場してません。

フレイ『プライベートは内緒ですヨ(*・ω・*)』
ゲルド『……』

不倫が横行する北欧神話において、超絶イケメン&美女なのに浮気したって話が残ってないってことは、円満な夫婦生活だったんでしょーかね。
ちゃんと子供もいるし。
まぁ、恋→ヒッキーというド草食系のフレイには不倫なんて10000%無理だし、仮に夫婦喧嘩があったとしても…

フレイとスキールニル
フレイ『ゲルドタンが怒った…もう死のう…ブツブツ…(‘A`)』
スキールニル『おい、夫婦喧嘩のたんびに引き篭もるの止めろし!!』
フレイ『スキール㌧、僕のことは放っといて…(‘A`)』
スキールニル『分かった!何とかするから!何とかするから仕事に戻れ!!』
フレイ『まじでー!?(・ω・ )』

夫婦喧嘩→フレイ、再びヒッキーになる→愛の伝書鳩・スキールニルがゲルドに仲介…という名の呪いの魔法→仕方ないのでゲルドが折れる
という映像が目に浮かぶ。

フレイヤ
フレイヤ『お兄様が私以外のヒトと結婚するなんて…(´・ω・`)』

一方、妹フレイヤがどんな男性と結ばれたかと言うと…。
長いからここで一旦切ります(*’ヮ’)キリッ

フレイヤ様のロマンスは投槍北欧神話・第33楽節『愛の女神の恋・2』に続く!

  1. 話の進みが大変遅いですが、一応更新しました・・・

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