第35楽節 『空を旅する者と雷神・6』

旅するロキとトール
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投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・2』
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・3』
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・4』
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・5』

ロキとトールの大冒険に、悲劇が訪れる…!


オーディン※ご注意※
今回のお話は、食前・食事中に読まない事を強く推奨します。
いいか、私は注意したからな。
苦情のコメントとか書くんじゃないぞ。
絶対だからな!…って、またか!
眠るロキ、密談するグリッドとトール
今は昔。
巨人ゲイルロドに脅され、ロキは丸腰のトールを差し出す約束をします。
ロキは舌先三寸でトールを誘い、巨人国に旅立ちました。
しかし、立ち寄ったグリッドの家で、陰謀を察知した彼女により、トールは知恵と武具を与えられたのでした。

川の前
グリッドの家を後にしてから、しばらく歩いた後のこと。

神々の目前には大きな川が横たわっていました。

ロキ『おっ、この川を越えればゲイルロド領だぜ♪』
トール『橋も舟渡しも見当たらねーし、歩いて渡るか』
ロキ『この馬鹿でかい川を!?ヤダーッ!(゚Д゚;)』
トール『大丈夫、叔父貴は俺におぶさってろ』
ロキ『わぁ~い!ヽ(*’ヮ’)ノ』

トールは既にロキの裏切りを疑っているのに、おんぶしてやるなんて良い奴だなぁ。
…神話中、明言されていませんが、ゲイルロドに引き渡す事を見越し、トールの体力を消耗させるため、ロキはあえて自力で渡らなかったんじゃないかと俺は疑っております。
以前、フレスエイ島への渡航の話でも疑問として挙げましたが、彼は魚や羽虫に変身できるし、空飛ぶ靴という飛行アイテムだって所有しているんですよ。
自助努力せんかい!(`Д´)

川を渡る二人
雷神様は片手には悪戯神をしっかりと背負い、もう片手ではグリッドの棍棒を杖にして、水に入ります。

逞しいなぁ。
しかし川の勢いは非常に厳しく、優れた身体能力を誇る彼ですら水に足を取られて、なかなか進めませんでした。

トール『くそっ、いやに流れがキツいな…』
ロキ『しかも何か臭いし、すげーベトベトしてる!』

激し過ぎる水の流れを不審に思ったトール。
彼が川上に目を遣ると、遥か彼方にとんでもねーモノを見つけました。

トールの視界に飛び込んできた、それは……

それは……!!

ギャルプの放尿
ゲイルロドの娘ギャルプが、岩場にしゃがんで勢いよく放尿する姿でした。

その量たるや半端なく、猛烈な勢いで下流の川に注ぎ込んでいます。
これが原因で川が氾濫していたのですね。
つまり神様二人はただの水ではなく、巨人のオシッコに浸かっていた訳です。
オッエェ~(‘A`)
このシリーズ、下ネタが充実しまくりっすね。。。

ロキ『ギャアアアア、ぺっぺっぺっ!Σ(TДT;)』
トール『ふざけやがって…これでも喰らえ!!!』

トールの石投げ!!
トールは川底から石を掴むと、怒りに任せ、女巨人に向かってブン投げました。

ギャルプ『ぎゃふん!!』

彼の放った剛速球はギャルプさんの頭に直撃。
そして彼女は頭に大ケガを負って、泣きながら館に帰ったのでした。
トールの一撃を喰らっても生きてるってスゲー(゚Д゚;)
まぁ、川の中&ロキおんぶ…という不利な姿勢からの攻撃だし、威力は半減していたのでしょう。
装備も借り物ですし。
雷神の攻撃でギャルプが逃げ去ったため、水量は収まるかと思われました。
しかし何ということでしょう。
石がヒットした瞬間、女巨人は最後っ屁ならぬ、最後っ尿を放出していました。
これまでとは比較にならない濁流が、鉄砲水となって下流に押し寄せてくるではありませんか!

オシッコウェーブ
ドドドドドドドド!!

トール『マジかよーー!!!?』
ロキ『イヤーーーーーーッ!ブクブクブク!』

オシッコウェーブが容赦無く二人を飲み込みました。
このままでは尿流によって河口まで運ばれ、一巻の終わりです。
トールは一生懸命に足を踏ん張り、杖を川底に突き刺そうとしますが、徐々に徐々に押されていくばかり。
アースガルド最強軍神は尿で溺死してしまうのか!?
トールが必死の形相で辺りを見回すと…

ナナカマド発見
川の中州に生えたナナカマドの木が目に留まりました。

ナナカマドはヨーロッパ・アジアに広く分布するバラ科の樹木で、日本でも庭木としてメジャーですね(・ω・)
えっ、挿絵が全然ナナカマドに見えないですって?
尿の描画に死力を尽くし切ったので、これで許して下さい…(-ω-;)
イチか、バチか。
トールはナナカマドの枝を掴みます。
雷神の超腕力で握りしめたにも関わらず、強くがっしりとした枝は折れる事なく、神々を支えてくれました。
やがて尿勢が衰えたのを見計らうと、トールはナナカマドから離れ、無事に対岸へ渡り切る事ができたのでした。

ロキ『ハァッ、ハァッ…、死ぬかと思った…orz』

今シリーズのロキはやたらとピンチになりますね。。。
冒頭で「わざとおんぶして貰った説」を披露しましたが、おそらくこの尿激流は彼も予想外だったのじゃないかと思います。
時系列でコレよりもっと後の別な神話で…


ロキ『川なんて、巨人女の尿じゃねーか!』

…と悪口の一環で喋っているので…、きっとこの一件が尾を引いてるんじゃないかと。
さすがのロキもブサイクな巨人女の聖水プレイはトラウマ物だったんスね。
悪戯神の考察はさておき。
トールは岸辺から中州に向かって叫びました。

トール『ナナカマド~、お前のおかげで助かったぜ!お礼に豊穣パワーやっとく!』 ←農業の神
ナナカマド『~♪』

こうして雷神の危難を救ったナナカマドは、彼に祝福された聖木となりました。
今でもヨーロッパでは、この木で魔除けグッズを作る地域があるそうな。
北欧神話のエリート樹木ですね。

さーて。
とんでもない危難を辛くも生き延びた二人の神。
次回 『空を旅する者と雷神・7』では、いよいよゲイルロド邸に到着します…。

【良い子の北欧神話★豆知識】
ここでギャルプが放っていたのは経血だったという説があります。
しかし、それは…いくらなんでも絵的にキツ過ぎるので、『川は巨人女の尿だったよ説』を採用しました。
他の説話でも川の水は『巨人女の尿』と言われる場面があります。
以前、拘束されたフェンリル狼のヨダレで川ができたという伝承もご紹介しましたね。
北欧神話において、巨人は岩山や雪・嵐など厳しい大自然の化身なのです。

…にしても、もーちょっと他に表現方法なかったのかよ(´Д`)
尿って…経血って…。

  1. スラジル様
    どうもありがとうございます。
    次回、ロキに大事件が起こる!!(かも知れない)

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