第35楽節 『空を旅する者と雷神・2』

ハヤブサになったロキ
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・1』

空を旅する者・ロキの大冒険が今、始まる…!


フリッグを訪ねたロキ
今は昔。
平和な生活に飽々していたロキは冒険旅行を思いつきます。
女神フリッグからファルコンローブを借りハヤブサとなった彼は、アースガルドから文字通り飛び出したのでした。

ハヤブサになって高速飛行するロキ
ロキ『あっちの方はまだ行ったことねぇな!GO!GO!(*’ヮ’)』

ロキは全く疲れもせず、好奇心に任せて知らない土地を進んでいきます。
しばらくすると彼は巨人国の上空に突入しました。
ギョロギョロしたハヤブサの眼で見下ろせば、辺り一面には岩地が広がっています。
そして一軒の立派な館が建っているのを見つけました。

ロキ『おっ、これは巨人の大物が住んでるくせーな。どれどれ…(・∀・)』

神々と巨人は不倶戴天の敵同士。
敵陣である巨人国での活動は危険そのものです。
にも関わらず、ロキは興味津々で巨人の館に向かって羽ばたいていきます。
彼は窓辺に止まって、中の様子を伺ってみました。

巨人の豪邸
(※この挿絵は窓から屋敷を覗き込んでるんだよ。そうは見えないけど…)

そのお屋敷ではゴージャスな食事会が催されているところでした。
…もしかしてロキは飯のニオイに惹かれたんでしょうか??
沢山の召使達に囲まれ、宴席の中央には館の主ゲイルロドがふんぞり返っていました。
その隣にいる二人の女巨人は、彼の娘ギャルプ&グレイプです。
このゲイルロドは第10話で登場したゴート国ゲイルロド王とは同名の別人です。
北欧神話って、同名の人が本っ当にたくさん出てきますよね。メンドクセー!

ロキ『奴がここいらの領主か。つーか、あの女ども超ブッサイクwwwウケるwww m9(^Д^)ギャヒー!』

ギャルプ&グレイプが不細工というのは俺の推定ですけど。。。
「美人」と断り書きの無い女巨人は、みんな不細工認定してオッケーだと思います。
彼が不用心に巨人観察を続けていると、ゲイルロドもハヤブサの存在に気付きました。

召使に命令するゲイルロド
ゲイルロド『ほぉ、見事な翼のハヤブサじゃな。ワシのペットにするから捕まえて来い!』
召使A『ははっ、承知しました!』

ハヤブサの正体を知らないゲイルロドは、部下の一人に捕獲を命じたのです。
昔の北欧でも鷹匠とか存在したんでしょーか。

ロキ『俺を捕まえるだって?こいつぁ楽しくなってきたぜwwよ~し(*’¬’)』

巨人の召使はハヤブサ(ロキ)の止まっている窓辺に、抜き足差し足忍び足で近づきます。

召使A『そーっとそーーーっと…』
ロキ『チュンチュン!羽づくろいするチュン!(゚∈゚*)ピーチクパーチク!』
召使A『今だ!ハヤブサゲトズサー!⊂(゚Д゚⊂⌒ ̄`つ≡≡≡3』
ロキ『サササッ!ε≡≡≡(゚∈゚*)』
召使A『ギャー!』

捕えようとした瞬間、ロキが飛び立ったものですから、召使君は勢い余って壁にぶつかってしまいました。

ゲイルロド『何をやっとる!もっと腰を入れんか!!』
ギャルプ&グレイプ『そーよ、そーよ!』
召使A『も、申し訳ございませんTT』
ロキ(ぷぷーっ、怒られてやんのwwwダッセェwwww(>m<*)プププ)

コントの様な下男の失態に悪戯神は大喜び。
ふわりと舞い上がったかと思えば、屋根のてっぺんに降り立ちました。
獲物を逃がす訳にいかない召使は慌てて屋根によじ登ります。

召使A『待てー!』
ロキ(よっしゃ!華麗なオチを付けてやんぜwwwww(`∀´))

ロキはまたしても紙一重で召使をかわし、今度は屋根から転げ落ちる無様な巨人を嘲笑するつもりです。
馬鹿野郎ですね。

召使A『そーっとそーーーっと…』
ロキ『チュンチュン!一休みするチュン!(゚∈゚*)ピーチクパーチク!』
召使A『今だ!スパイダーウェブ !!(ドーン!』
ロキ『何ィッ!?Σ(゚Д゚;)』

巨人が魔法を唱えると、ハヤブサの両足は屋根にピッタリ固定されたのです。
そりゃー、初見ならともかく二度も同じ手に引っかからんわ…。

召使A『ふっふっふ…( ̄ー ̄)』
ロキ『や、やべェ!!』

お馬鹿な鳥が必死に羽ばたいてみても、足は屋根から生えてるかの如く微動だにしません。
無情なハンターの手が彼の体に伸びてきます。

ハヤブサGETだぜ!!
召使A『ハヤブサ、GETだぜ!!!⊂(゚Д゚⊂⌒ ̄`つ≡≡≡3』
ロキ『い、イヤァァ~~~~ッ!/(^o^)\』

こうして抵抗むなしくロキは巨人に捕獲されたのでした。
ちなみにロキさん、投槍北欧神話では通算4回目の逮捕(拉致)です。

【過去の逮捕歴】イドゥンの林檎神々と賠償金悪戯の代償

いつも調子こいたり、油断しまくったりで、痛い目に遭ってるというのに全く反省しませんね。
なお、神話最終回まで反省しない模様。

まー、未来の事はともかく。
巨人の下男は得意満面で獲物を主人に差し出します。

召使A『お館様、御所望のハヤブサでございます』
ゲイルロド『うむ。よーやった!誉めてつかわす。どれどれ、餌付けしてやるかのぅ^^』
ロキ『ぐえっ!Σ(‘A`;)』

ゲイルロドが巨大な手で鷲掴みしたものですから、ロキの体は潰れそうになりました。

ロキ(チッ、仕方ねぇ。隙を見て逃げるっきゃねー…)
ロキ『チュ…チュンチュン!(゚∈゚;)』
ゲイルロド『そーりゃ、餌だぞ~…ムムっ!?

ロキの前に餌をぶらつかせていたゲイルロドが、急に大声を上げました。

ゲイルロドビジョン
ギャルプ&グレイプ『どーしたの、お父様?』
ゲイルロド『このハヤブサの纏う凄まじいオーラ…!これはただの鳥ではない!!』
ロキ(ギクッ!!!)

なんつーことでしょう。
巨人がロキの正体に勘付いたのです。
北欧神話では神・巨人の両サイドが様々な変身で相手を騙そうとします。
その変身譚で、相手の正体を見抜いたエピソードは結構レアです。
ゲイルロドは高い知能を持った巨人だと言えるでしょう。
低クォリティな花嫁コスプレのトールすら見破れなかったスリュム(第21話)とは大違い。

ゲイルロド『貴様は一体、何者だ!!言え!!!』
ロキ(や、やばい…)

巨人はロキをギュウギュウに握りしめ、地の底から響く様な怒号を上げて、ハヤブサを問い詰めます。
やっぱり巨人国はキケンでいっぱいでしたね。
特にロキの場合は、巨人族を裏切ってアースガルドに寝返った上に、数々の巨人成敗でキーマンの役割を果たしてるので…。
正体がバレたら殺されるだけじゃ済まないね!

ゲイルロド『貴様は何者だと聞いておるのだ!!!』
ロキ『チュ…チュンチュン!(゚∈゚;)』

尋問は続きますが、逃れる事も、正体を明かす事もできないロキはしらばっくれるしかありません。

ゲイルロド『ふん、あくまでもシラを切り通すつもりか。ならば、こうしてやるわい!!』
ロキ『!?Σ(゚∈゚;)』

ゲイルロドはドスドスと足音を立てながら、大きな箱の前に歩んで行きました。

箱に放り込まれるロキ
ゲイルロド『ぽいっ!彡●』
ロキ『ギャフン!!Σ(゚∈゚;)』

荒っぽくハヤブサを箱の中に放り込みました。
そして全身を強く打ち付けたロキが悶えている間に、素早く蓋を閉じて、頑丈な錠をかけてしまったのです。

はこのなかにいる
真っ暗な闇の中、錠の降りる音を聞き、ロキは絶望でいっぱいになりました。

羽ばたいても、足の爪で引っ掻いても、体当たりしても、箱はびくともしません。
今回、そんなんばっかりだなロキ。

ロキ『ま……じ……で………?(゚Д゚;)』

ゲイルロド一派は捕縛スキルに長けた軍勢なんすかね。
まーそれはともかく。

ロキの大冒険 ~完~

長い間、御愛読ありがとうございました!
あるまん(ぐえん)先生の次回作に御期待ください!!

投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・3』に続く!

  1. さっそくのコメントありがとうございます。
    次回はきっと颯爽と活躍してくれます。きっと。

  2. これはひどい\(^o^)/
    更新お疲れ様です、次回も楽しみにしてます!!

  3. 応援(?)ありがとうございます。
    ロキの大冒険に御期待ください。

  4. 最近たどり着いて一気読みしてしまいました!
    後先考えないアホ、そんなロキさんが大好きです。続きを楽しみにしています!!

  5. >千日紅さん
    一気読み、ありがとうございます。
    ロキのアホっぷりの続きは11月中に公開予定です(たぶん)
    すげー余談ですが、
    「千日紅…知ってるぜ、サルスベリって読むんだろ!!」
    と自信満々で変換したら、サルスベリは”百日紅”でした。
    センニチコウって読むんですね。。。。。

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