投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・1』
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・2』
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・3』
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・4』
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・5』
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・6』
投槍北欧神話・第35楽節 『空を旅する者と雷神・7』
ロキとトールの大冒険、遂に感動のフィナーレ…!
今は昔。
巨人ゲイルロド宅にて粗末な山羊小屋に通された雷神トール&悪戯神ロキ。
ロキがそれとな~く席を外した直後、トールはギャルプ&グレイプに襲撃されます。
しかし、お馴染みの怪力で巨人姉妹を退けたのでした。
~ゲイルロドの居室~
召使A『お館様ッ、急ぎ申し上げます!ら、雷神トールがお嬢様方を…!』
ゲイルロド『我が娘らは敗れたか』
召使A『はい…』
ゲイルロド『して、奴は確かにミョルニールもメギンギョルドも携えておらんのだな?』
召使A『相違ございません』
ゲイルロド『ならば、この機を逃す手はない。ワシ自ら屠ってくれる。奴を広間に呼べい!』
召使A『ハハーッ!』
ゲイルロド『おのれ…雷神め…!』
愛娘達の訃報を聞き、更なる殺意を燃やしたゲイルロド。
直接対決するべく、トールを懐へ招き入れる事にしたのです。
ここは彼の根城…。地の利は完全に巨人サイドにあります。
巨人本拠地でのバトルとしては、花嫁事件のスリュム戦が挙げられますね。
その際はトールがフレイヤに扮するという不意打ち作戦で勝利を収めました。
しかし今回は勝手が違います。
ゲイルロドは周到な計画で神をおびき寄せる狡猾な巨人。
しかも娘を失った怒りの爆裂波動でパワーアップ中。
…何より以前は優秀な策士として補佐してくれたロキが味方ではありません。
既に悪戯神はコッソリ戦線離脱…。
不利な条件だらけで、トールに勝機はあるのでしょうか。
召使A『ささ、トール様。こちらで当主ゲイルロドがお待ちしております』
トール『うっ…!』
召使に促され広間に入った途端、トールの全身から大量の汗が吹き出します。
トール(暑い…ものすげぇ暑さだ)
巨人国は基本的に超寒い所。
にも関わらず、謁見の間は異様な熱気が充満していました。
雷神が見回すと、部屋の奥には巨大な竃(かまど)が不穏に赤光りしているのが分かります。
大きな体躯を持つ巨人の館とはいえ、不自然な程の馬鹿でかさ。
トール(アレのせいか!…ぜってー何かある!)
トールは神話で脳筋キャラと称されるものの、オーディンの息子達の中で最も武勇に秀でた神様。
”戦いの勘”だけは超一流だったんじゃないでしょうか。
……。
椅子にょきーんの罠に気づいてなかったじゃん!とか言わないであげて…(・∀・)
ともかく尋常ではない室内の様子に、トールは警戒を強めました。
すると不気味な静けさの中、高座から…いかめしい声が響いたのです。
ゲイルロド『いやはや、遠路はるばる我が館へ、ようこそおいで下さった』
トール『てめぇがゲイルロドか』
笑みを浮かべ巨人の首領は立ち上がり、例の竃を火箸で突っつき始めました。
汗を垂らす客人を思いやり、灰をならして室温調整するためでしょうか。
いいえ!そんなおもてなしの仕草なハズがありません。
彼はゆっくり返事をします…。
ゲイルロド『いかにもワシがゲイルロドじゃ…。我が同胞達の仇…我が娘達の仇…、巨人キラー・トールよ!!』
トール『!!』
振り返りざま大竃から取り出した火箸の先には、真っ赤に灼けた鉄球を掴んでいるではありませんか!
ゲイルロド『ファイアーボール !!(物理』
ゲイルロドは高温の鉄球を、憎きトールに向けて投げ放ったのです!!
プチ解説。
鉄を加熱して赤色が発現するのは、大雑把にいうと約700~900度付近らしーです。
また鉄の融点は約1,500度なので、赤い鉄球=十分な硬度を保っている…と考えて良さそう。
こんな物が直接、体に当たったら鈍器損傷+大火傷で悪けりゃ即死です。
しかし攻撃を予期していたトールは動じません。
トール『マジで恩に着るぜ、グリッド…!』
彼はグリッドの棍棒を床に投げました。
そして鉄の手袋を嵌めた両掌を体の中心でしっかり構え、脚を踏ん張り、全身の筋肉に力を込めたのです。
グリッドの力帯によって、雷神の神通力は更に高まってゆきます。
そこへ猛然と迫り来る灼熱の豪速球!
トールは衝突のタイミングを見逃さず、左右の手で重たい鉄球をがっちり受け止めました。
鉄と鉄のぶつかり合う激しい衝撃音が広間に木霊します。
シューシューと蒸煙を上げながら回転の勢いが徐々に弱まっていき…、鉄球は雷神の掌に収まったのでした。
…って、避けないのかよーー!!(゚Д゚;)
ゲームでも漫画でも、初見の必殺技って回避行動が定石だと思うんですが…。
しかもボスキャラ相手だぞ。
何という度胸。何という動体視力。何という怪力。
まさかの捕球に、奇襲を仕掛けたゲイルロドも肝を潰しました。
ゲイルロド『な、何じゃと~~っ!?』
トール『おもてなしありがとうよ、ゲイルロド…』
勇猛な神は、握りしめた鉄塊より熱く闘志を燃え上がらせ、大きく振りかぶります。
トール『お返しさせて貰うぜ!!!』
ゲイルロド『くっ…!』
一転攻勢の構えを知るや、悪の巨人は慌てて、広間を支える大柱の陰に退避しました。
うん、これが普通の戦闘パターンですよね。
そう…如何に大物を気取ってても、ゲイルロドは”普通の戦士”に過ぎなかったのですよ。
一方、敵が姿を隠そうが、トールの知った事ではありません。
巨人の潜む柱に狙いを定め、みなぎる力を込めて鉄球を投じます!
それは目にも留まらぬ速さでした。
ゲイルロドなど比較にならぬ凄まじい球速で、柱めがけて一直線。
怒りの鉄球は柱を砕き、ゲイルロドの身体をぶち抜きました!
それでも球威は衰えず、分厚い壁を突き破り、館の裏にある小高い山に衝突して、ようやく止まったのだそうな。
ゲイルロド『ギャアアアアア!!』
トールを抹殺を目論んだ処刑道具によって、ゲイルロドは絶命したのです。
ギャルプ&グレイプ姉妹に続き、ゲイルロドも死因は「策士、策に溺れる」。
流石、アースガルド筆頭軍神トール。
幾多の卑怯な策略にも負けず、堂々の正面撃破です!
トール『何だ、キャッチボールはもうお終いか?』
召使A『お、お館様ァァアーーー!!』
召使B『ヒー、逃げろーー!』
無論、後はお決まり通り…
トール『死ねやごるああああああああ!!』
召使A『ギャーース!』
召使B『ギャヒーー!』
道中+巨人屋敷で散々な目に遭わされたトールは、今回もストレスゲージが満タン。
グリッドの棍棒を装備し、ゲイルロドの部下達を片っ端から撲殺していきます。
この戦いにおいてロキはサポート役から外れていますが、その代わりを十分に果たしたのがグリッドの機転です。
従者シアルビィ君もフルングニル戦で効果的な支援をしてるし(第15話参照)、トールにとって一番大切な武器は、ミョルニールでもメギンギョルドでもなく、頼もしい仲間達だったかも知れませんね。
それを見抜けなかったのがゲイルロド一派の敗因か。
きっとトールは彼女の助力に深く感謝したでしょう。足を向けて寝られないよなーw
グリッドは息子ヴィダルにも、フェンリル狼を倒すためのブーツを授けています。
戦場から遠く離れていても、軍神達を支える縁の下の力持ちだったんですね。
マジでいい女だ。
さて。
トールが巨人の残党を一心不乱に駆逐していた頃、「頼もしい仲間」であるべきだった彼は……
ロキ『うんまぁ、こうなる予感はしていた\(^o^)/』
水浴びから戻って、ゲイルロド邸の外からトールの大立ち回りをのんびり眺めていました。
そして雷神の勝利を見届けると、悪戯神は館に背を向け、闇に消えて行ったのです…。
その後…。
※以降は俺の想像による産物です。
フリッグの居城フェンサリル。
妃神の許に人目を忍んで参内した神様が一人ありました。
はい、奴です。
ロキ『お義姉様~、ファルコンローブ返しに来ました~(;’ヮ’)』 ←3ヶ月間、借りっぱ
フリッグ『まぁ、それはありがt ……ウッ!?』
フッラ『く、臭い…!!|ωT)』
ロキ『てへっ><;』
フリッグ『貴方。。。一体、どういう扱いを…』
フリッグ様が激レア装備に染み付いたウン臭について苦言を呈そうとなさった所…
ズシーン…!ズシーン…!
大地を揺るがす轟音が鳴り響きました。
フリッグ『Σ何事ですの!?』
フッラ『じ、地震!?|ω・;)』
ロキ『やばっ…。じゃあ、俺しばらくリフレッシュ休暇取得するから!バイチャ!(;’ヮ’)ノシ』
フリッグ『貴方、どれだけ休めば気が済むのですか!?;;』
狼狽える女神達に、震源地が近づいて来ました。
ええ、そうですとも。
トール『叔~父~貴~は~ど~こ~だ~!?』
それは荒れ狂う雷神トールの姿でした。
(トールが本気を出すと、地震や地割れが発生する)
ロキに裏切られ、暗殺されかかった怒りは半端じゃありません。
フッラ『ロキなら、あっちの方に行きましたヨ~!|ω・)б』
トール『よっしゃぁあ!待ってろ、叔父貴~~~~~~!!!(ドスーン!ドスーン!』
フリッグ『う~ん、これなら…当分、アースガルドの平和は保たれますわね^^』
フッラ『確かに!!!|ω・)+』
原典では、事件後どーなったのか書かれていませんが、個人的な想像で「ロキはトールにしばかれた」と思います…。
もしかしたら、またしても瀕死状態に陥ったかも知れませんね。
ほんと、殺意満点の罠にハメたのに、一体どんな方法で取り繕ったんでしょう。
やっぱり口八丁スキルかな~?
…神話末期のガチ裏切り展開を考えると、ここでトールはロキを始末しておくべきだったんじゃないですかね…?
まぁ、いっか。
こうして紆余曲折を経たとは言え、結果として雷神トールは悪の巨人一家を無事掃討。
ロキの悪戯も一時的に鳴りを潜め(※推定)、フリッグ妃の呟き通り、アースガルドに平和な日々が続きましたとさ。
めでたし、めでたし。
今回の教訓:親友の騙し討ちは、ダメ!ゼッタイ!
待ってました!!きたー
よくよく考えると巨人ってbigですよね。
それと戦えるのも凄いけれど、結婚するのってヤバくないですかねw
小人というsmallなヤツと援交した女神さんもいたし!
サイズ感フリーダム過ぎませんかwwまぁそこが良いんですけどね☆
>ああ様
お待たせいたしました(^ω^)
>スラジル様
巨人は…bigじゃない巨人もいますしね…。
その辺はこう…ファジーな感じで…。