第36楽節『オーディンと葡萄酒・1』

私の身体にはワインの血が流れている。byオーディン
オーディン『私の身体にはワインの血が流れている(キリッ』
ロキ『じゃあ、俺ら義兄弟の”血の絆”って、”ワインの絆”なんすか』

※オーディンとロキは、お互いの血を混ぜ合わせる儀式で義兄弟になりました。

普段、ワインだけをお召し上がりになり、御自身に供された料理は狼のゲレ&フレキに与えているというオーディン様。
今回は、その設定に関するプチコラム。
まだまだゲスクナーイ。


『オーディンは葡萄酒だけ飲んで暮らしている』という厨二設定には、2つの疑問があります。
まず浮かぶのが『なんでフツーの飯を喰わないんだよ?』とゆー疑問。
これは以前、無理やり投槍解釈しました。
他にもう1つ…俺は疑問に思っていた事があるんです。

大昔の北欧に葡萄酒があったのか…?

北欧ら辺の伝統的な酒造って、蜂蜜・麦を材料にした物なんですよね。
オーディン以外の神々や巨人が普段飲んでるのも蜜酒(ミード)だし。
超寒い北欧では、気候条件的にワインの製造が厳しいのです。
ワイン用ブドウの栽培に適した緯度帯は北緯・南緯ともに30~50度。
そこそこ暖かくないと育たない作物です。
北緯50度って言ったら、フランス(アミアン)とかドイツ(フランクフルト)の辺り。
対するデンマーク本土南端54度~ノルウェー北端71度。
かすってもねぇ!
北欧諸国の最南に位置するデンマークにおいて、ワイン用ブドウ栽培&ワイン醸造が始まったのは21世紀に入ってから。
つまり、ごくごく最近の事。

神話では酒を醸造するシーンが複数あるものの、それ全部蜜酒。。。
ワインはどこで誰が造ってんだよ!アースガルドにブドウは生えるのか?
オーディンが飲んでたのは本当に葡萄酒なのかぁ??
もしや日本語訳が意訳なのでは?という疑問を感じ、念のためWikipedia ノルウェー語版で『Gere og Freke』(ゲレとフレキ)を参照してみました。

—————————–
Gere og Freke
metter den kampvante,
stolte Seiersfader
Av vin alene
den våpensmykkede
Odin alltid lever

—————————–

『https://no.wikipedia.org/wiki/Gere_og_Freke』より引用

投槍翻訳:オーディンはワインだけで生きてるから、自分のメシはゲレとフレキにあげてるよ。

ワインなのは間違いないようだ…。
そもそも『vin/ワイン』って単語自体がゲルマン語じゃなくてラテン語由来だから、やはり南方から持って来たのかな。
俺は調べました。
8~9世紀頃、スウェーデン・ノルウェー系ヴァイキングの交易品にワインがあったよーです。
という事は、当時の北欧にも存在自体はしてたんだな。
残念ながら流通量は分からなかったけど、当時の船で運べる量なんてたかが知れてるから、それなりにレアリティの高い舶来酒だったんじゃないでしょーか。


オーディン『私は神の中で最も高貴な主神であるから、クチにする酒も最上級だ!(キリッ』

ううーむ。こういう事か?
いちいち偉ぶりたがる彼にピッタリとも言えるけど。

あれっ。
そういえばオーディンの二つ名に『船荷の神』ってのがあったな。
商船に良い風を送って港に運ぶとか何とか…。
こ、これは…もしや自分に献上されるワインを載せた船を私利私欲で支援していたのではないでしょうか。

しかし神話的に考えるとワイン産出地はどこなんだ。
イグドラシル宇宙の中に、フランスやスペイン並に温暖な場所はあるのか??
うーん、ヴァナヘイムとか…?豊穣の国だから暖かそうだし。
記述が見つからない以上、その辺は謎ですが。。。

とりあえず今日の所は、オーディンがワイン生活を送るのは単に趣味嗜好の問題ではなく、最高神としての特権の一つだった…という解釈で結論づけたいと思います。

↓このどーでもいい話にまさかのパート2ができました。
第36楽節『オーディンと葡萄酒・2』

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