第30楽節『悪戯の代償・7』

元に戻ったシフ
投槍北欧神話・第30楽節『悪戯の代償・1』
投槍北欧神話・第30楽節『悪戯の代償・2』
投槍北欧神話・第30楽節『悪戯の代償・3』
投槍北欧神話・第30楽節『悪戯の代償・4』
投槍北欧神話・第30楽節『悪戯の代償・5』
投槍北欧神話・第30楽節『悪戯の代償・6』

いよいよ、北欧神話界・最高のブラックスミスが決定される!


グングニール・スキーズブラズニル・シフのウィッグ、ドラウプニル・グリンブルスティ・ミョルニール
今は昔。
悪戯神ロキによって、名声ブラックスミス世界王者決定戦なる催しが開かれました。
イーヴァルディJr.チームの作品は魔槍グングニール、戦艦スキーズブラズニル、シフのウィッグ。
対するエイトリ&ブロックチームの作品は金の腕輪ドラウプニル、戦猪グリンブルスティ、雷槌ミョルニール。
いずれも神話に名を残す不思議な財宝ばかり。
神々は一体どちらに勝利の判定を下すのでしょうか。

フレイ『これから審査に入りまーす(・ω・)b』
トール『おうよ!』
オーディン『皆の者、しばし待つが良い』

審議中
三人の審査員は高座から離れて、判定会議を始めます。

ブロック『し、心配あらへん…ワテと兄貴こそ世界No.1のBSや…(`ω´;)ドキドキソワソワ』
ロキ(バァーカ!俺が紹介したイーヴァルディJr.チームの勝利に決まってんだろ( ´,_ゝ`))

ロキはイーヴァルディJr.兄弟の腕前に、心から惚れ込んでいたのでしょうか?
いいえ、奴の計画はこうでした。

いやらしい笑みを浮かべるロキ
ロキ(オーディンは俺と兄弟盃の仲。空気を読んでJr.チームに投票する。
シフに悪戯したせいでトールはブチ切れてっから、エイトリ&ブロックに入れるだろうな。
んで、お坊ちゃん育ちのフレイは、俺のおかげで貢物を棚ボタGETできて感動中。
コイツの票も貰い…、2対1でJr.チームの優勝っと。
ダメ押しに、ミョルニールには細工してやったしなw
ククク…デキレースとはこのことよ(`∀´))

ずる賢い彼は勝算がなければ動きません。
ましてや今回は自分の命をチップとして賭けているのです。
自前の人間関係+製造妨害工作で、磐石の勝利を収める算段でした。

審査完了!
ほどなくして、審査員三名は高座まで戻って来ました。
どうやら優勝チームが決まった様です。

フレイ『お待たせしましたー。審査委員長のオーディン様から結果発表です(・ω・)』
オーディン『あー、グラストヘイムに結集したる、誇り高きアース神の諸君。本日は晴天に恵まれ、名声ブラックスミスの雌雄を決するにあたり絶好の…』←雄弁の神
トール『親父、時間が押してっから結果だけで良いって…』
フレイ『巻きでお願いします(-ω-)』
オーディン『チッ…。それでは得票総数を発表する』

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ(ドラムロール)

ブロック『ドキドキ…(`ω´;)』
ロキ(ククク…、イーヴァルディJr.兄弟の優勝ですよっと(`∀´)ニヤニヤ)

得票総数
オーディン『イーヴァルディJr.チーム・0票。対するエイトリ&ブロックチーム・3票。よって名声ブラックスミス世界王者はエイトリ&ブロックチームである。以上!』
フレイ『優勝チーム代表ブロックさん、おめでとうございまーす!(・ω・)ノ』
トール『お前らのアイテムは最高にイカしてたぜ!』
ブロック『兄貴、やったでーー!!ワテらがテッペンやーー!!\(*`ω´*)/』
ロキ『っしゃあーー!ほら見ろ、優勝はエイトリ&ブロックチーム…って、え…?(*’ヮ’)』

何ということでしょうか。
ロキの読みは大ハズレ。
審査員の三人は全会一致でエイトリ&ブロックチームに勝利を与えたのです。
この番狂わせには、策士のロキも慌てふためきました。

ロキ『あのっお義兄様…カツラを創ったのがJrチームで、ミョルを創ったのがエイトリチームですよ…?(*’ヮ’)』
オーディン『分かっとる』
ロキ『エイトリ&ブロックチームが優勝すると、俺の頭がもがれちゃうんですけど!?』
オーディン『だから何だ?』
ロキ『お前wwwみすみす義弟の命をくれてやるつもりかwwwww』
オーディン『私は勝利の神だぞ?勝負事に私情や不正など持ち込まん(キリッ』
ロキ『毎回、卑怯全開のクセして、なんで今日に限って職業意識に燃えてんだよ!!!!/(^o^)\』
フレイ『選者の講評は次の通りです(・ω・)ノ』

※以下の講評は投槍推理です。

【講評】
オーディン:

大会初開催にも関わらず応募作品はいずれも甲乙つけ難い高品質であり、小人国の驚異的な技術力には舌を巻くより他あるまい(中略)
しかし唯一、抜きん出た性能を誇るのは雷槌ミョルニールであろう。
ミョルニールは高精錬の特殊素材により、トールの腕力を無駄なく活かすことが可能である。
また”槌”という形状は、脳筋トールのシンプルな戦闘スタイルと合致するため(中略)
以上の理由に基づき、エイトリ&ブロックチームに軍配を上げるものとする。

トール:
俺がフルパワー出してブッ壊れなかった武器は、ミョルニールが初めてだ。かんどうした。まじすげー。
エイトリ&ブロックチームのがすげーと思う。

フレイ:
どのアイテムも素晴らしかったです~~(*・ω・*)ビックリ!
軍艦と戦猪、大事に使わせて頂きますよ♪
戦神的に申し上げると、ミョルニールがアースガルド軍を最もパワーアップさせてくれると感じました。
トールの本気モード解禁で、いよいよ巨人退治も磐石ですね~!
これからもみんなで力を合わせて頑張りましょうΣd(・ω・´)
…という訳で僕はエイトリ&ブロックチームに一票です!(・ω・)ノ◇

雷槌ミョルニール
エイトリ&ブロックチームの勝因として、審査員全員が『雷鎚ミョルニールの超性能』を挙げました。
それを知ったロキが声を荒げて、物言いを付けます。

ロキ『いやいやいや、おかしいだろ!柄が妙に短くて使いにくいだろ!?ぶっちゃけ不良品じゃね!?』
ブロック『ムカッ!?(`ω´#)』

そうです。
ミョルニールと言えば、ロキが「勝利の保険」のため行った妨害工作が見事にハマッたアイテム。
それが最高評価を受けたとなれば、得心がゆかなかったはずです。
しかし…

トール『あー、確かに短くて持ちにくいかも?とは思ったんだがよ』
ロキ『だろ!?だろ!!?だろ!!!?優勝取り消しだよね(;’ヮ’)』
トール『メギン鉄のグローブを装備したら、全然持ちにくくなかった』
ロキ『意味わからん/(^o^)\』

神話には、柄の短いミョルニールを振り回すにはメギンギョルド+鉄のグローブが必携!と書かれています。
ここで俺の投槍解釈タイム(^ω^)
なぜミョルニールは不良品扱いされなかったのか?

メギンギョルド
ROでSTR+40のメギンギョルドは、原典によると『トールの腕力を二倍にするベルト』
超腕力があれば、柄が短くても扱いは容易かったのかも知れません。

トールのグローブ
しかし俺が注目したいのはグローブの方です。

トールのグローブは『ヤルングレイプル』という名称で、直訳すると『鉄の手袋』…鉄製と素材が明言されているんですね。
そこで投槍推理。
ミョルニールの柄部は磁性を帯びた金属だったのではないでしょーか?
例え寸足らずでも柄が磁石なら、鉄の手袋と磁力でピッタリくっついて、持ちにくさは解消されます。
漫画『ベルセルク』でガッツの義手と竜殺し(大剣)の柄を、磁力で固定してるのと同じ理屈。
フツーの布や革の手袋では固定力を得られないので、鉄の手袋が必須装備だった…と。

磁石と人類の歴史は紀元前まで遡り、古代ギリシャではプラトンが『磁石ふしぎ!』って書いてるし、中国では春秋戦国時代に磁石を用いた羅盤を開発しています。
古代北欧人が磁石の性質を利用していても何ら不思議はありません。
この説を推す有力な根拠は、トールが雷神…つまり「電気」を司ってることにも由来します。
磁界は電流によって発生するものなので(・ω・)
通常、天然の磁鉄鉱は磁力を帯びていませんが、落雷によって磁石化することがあります。
雷神のハンマー・ミョルニール=磁石説には自信があるんだ…!

ま、ミョルニールの考察はさておき、お話本編に戻りましょう。
ロキの敗因はミョルニールの性能を甘く見たこと。
次いで、彼が選んだ審判員オーディン・トール・フレイがいずれも『軍神』であったことです。
武芸のエキスパートである三人なら当然、商売道具である武器の鑑定眼は確かなもの。
しかも自軍の戦力を左右する超性能装備を目の当たりにして不正な審判を下すなど、軍神としてのプライドが許さなかったでしょう。

エイトリ&ブロックおめでとう!!
フレイ『そーゆーことなので(・ω・)』
オーディン『審査の差し戻しは却下である!(キリッ』
トール『軍神なめんなよ、叔父貴^^#
ロキ『ちょwwwwまっwwwwっうぇwwっうぇwwwwwww』
神々『エイトリ&ブロックチーム、優勝おめでとうございまーす!』
ブロック『ニヤニヤ(`ω´)ニヤニヤ』

そして何より、アース神軍で先陣切って戦う一番手・トールに武器を奉じたエイトリ&ブロックの見極め、トールの怪力にも砕けない武器を精錬した腕前が勝利を呼んだのです。
確かな実力の持ち主は、目先・小手先の裏工作に負けないってこった。

名声ブラックスミス世界王者決定戦は、めでたくエイトリ&ブロックチームの完全優勝!
ということは次回、優勝賞品(ロキの頭)が授与され…る…!?

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