第31楽節『フギンとムニン』

フギン&ムニン
今回はプチ知識編。
オーディン様のペット…ゴホン、眷属である『フギンとムニン』を紹介します(・ω・)


フギン&ムニンは最高神が飼っている2羽のワタリガラスです。
日本の一般的なカラスはハシブトガラスかハシボソガラスなので、コイツらとは別種。
と言っても日本のカラスよりちょっとデカい程度で、黒羽・黒嘴の見た目に大差はありません。

『フギン』は思考、『ムニン』は記憶という意味の名前。
オーディンの知性を象徴する鳥ってコトです。
(他の説話の同名キャラを勘案すると『素早さ』を連想する単語でもありそーですが、確証はありません)

日本の研究者による「自動車に轢かせてクルミの殻を割る個体がいる!」との有名な報告がある様に、カラスはとっても頭の良い鳥。
学研の図鑑には「カラスは7までの数を判別できる」って書いてありました。
ギリシャ神話でも、アポロンが飼っていたカラスが賢い(ズルい)存在として描かれています。
昔の人も、カラスは知能が高いって認識してたんですね。

ゲレとフレキ
以前、紹介した『ゲレとフレキ』はオーディンの武力を象徴する狼。

奴らは玉座の足元で、最高神用のゴハンを貪るセレブ座敷犬ってイメージなんですが、フギン&ムニンには明確なお仕事が与えられています。
それは全世界の偵察!
毎朝、窓から放たれ世界中を飛び回り、その日のホットニュースや軍事情報を収集。
そして夜、城に戻り、オーディンの肩に止まって偵察内容を報告するそうな。
オーディンはカラス語が理解できるっと…(*’ヮ’)φメモメモ

ワタリガラスはハヤブサ(第2話)程のトップスピードは出ませんが、越冬のために海を渡れる飛行持続力、空中でアクロバット旋回できる機動力を備えているし、スパイ適性に優れています。
(また、群れの場合は『格上の鷲をカラスが集団リンチする』という戦闘性能もそこそこある)
これまでの神話に『全世界を一望できる千里眼機能付きの玉座フリズスキャルヴ』が何回か登場しました。
千里眼があるのに、加えてフギン&ムニンを諜報に使うってのは、よっぽど『情報力』を重視してますね。
大昔はTV・新聞・ネット等の情報媒体が全然無かったから、遠国の地形や敵将の人相を確認するだけでも苦労したでしょう。
情報を制する者は世界を制するってコトか。
軍神としてのオーディンは、やはりパワーより知略に軸足を置いていると感じます。

オーディンは愛鳥について、こんな言葉を残していました。

フギン&ムニンを待ちわびるオーディン
オーディン『私はフギンが真っ直ぐ家に帰って来れるのか、毎日心配している…』
オーディン『ムニンに至っては輪をかけて心配している…』

……(;´Д`)
この言葉の意味するところは…


1.フギン&ムニンを可愛がる気持ちから、事故に遭ったりしないか心配。
2.フギン&ムニンがアホで迷子になる。
3.フギン&ムニンが寄り道ばっかしてて帰りが遅い。

うーん、名前からするとアホでは無さそうだから1か3かな…。
スパイしてたら敵方に撃墜される恐れもあるし、知能が高いなら遊びで道草って可能性もありそう。
どっちにしろ、そんな不安なら放鳥すんな!
千里眼で満足しとけ!
とりあえずフギンよりムニンのが駄目な子だった、というのは分かりました。
まー、最高神の動物型スパイという面白い設定ではあるものの、神話ではごくたまに名前が出てくるだけで、密偵役としての影は薄めです。

ロキ
主神の斥候は主にロキの役目。

ロキは機転が利き、ミッション遂行能力も高いので、ただのカラスであるフギン&ムニンより守備範囲は広いですね。
ただし真っ直ぐ家に帰らない度や、好き勝手に事態を掻き回す度が飛びぬけて高いので、ドッチが密偵として優れてんだかはワカリマセン!
そしてフギン&ムニンには『知性』の他に、もう一つ象徴するものがあります。

戦場
それは『戦場』です。
具体的に言うと、屍肉食を行うカラスは、古代北欧人にとって戦死者をついばむ『死の鳥』のイメージでした。
ゲレ&フレキのゴハンは最高神用の高級ステーキ肉でしたが、フギン&ムニンは人間の死肉!(;´Д`)オエー
オーディン、ちゃんとしたエサをやれ…。
もう、家の中で飼えよマジで…。

さて。

ヴァルキリー
皆様、御存知の戦乙女ヴァルキリー(※個人名ではなくチーム名)

戦乙女は人間界の戦場で優秀な戦死者の魂を集め、アースガルドまで導く女神達です。
ROでは転生システムや、敵モンスターとして馴染みの深い存在。
古い時代に語られていた神話には戦乙女が存在せず、このお仕事は戦場を象徴するフギン&ムニンが担当してた…とか何とか読みました。
神話が洗練されてゆくに従って、戦没者のスカウト役はカラスから女神にバトンタッチされたそうな。
フギン&ムニンは元祖ヴァルキリーと言うか、ヴァルキリーの御先祖的存在だったのです。

カラスから戦乙女に進化
その進化の名残として、ヴァルキリーの中にはカラスの翼を生やす者や、カラスっぽい甲冑の者がいます。

ちなみにケルト神話の戦女神モリガン(※個人名ではなくチーム名)も、『死の鳥』のイメージからカラスがモチーフらしい。
RO装備・モリガンセットのモリガンね。
ケルト系の物語は全く知らんので、詳しくは本を読んで下さい…。
カラス→戦乙女の変遷については、改めて別項でテキトーに解説しようと思います。

人間型の神であるロキやヴァルキリーに役割を取られちゃってるフギン&ムニン。
しかし要人のお葬式シーンで彼らはオーディンの双肩に止まり、故人を見送っています。
このエピソードを考慮すると、出番は少なくても最高神の権威を示すオフィシャルな存在だったんでしょう。
(個人的には『出番少ないのに葬儀には登場→やっぱ死のイメージ?』と思ったんだけど、そこは確証がない)
オーディン直属の人間兵士なんかより、遥かに身分が高そう。

以上、北欧神話のセレブバード紹介でした(*’ヮ’)

  1. 思考が速さの象徴っていうのは、シアルビィ君が巨人の国で短距離走やった時の話ですか?

  2. それです(*’ヮ’)
    ネーミング元が同じなので、フギン&ムニンも高速で飛べたのかなぁと…。

  3. 思考の速さで世界を見渡すスーパー知識神ですか。。。
    オーディンがフギンとムニンの名を与える事によって、自分の思考と記憶の一端を預けて常時人工衛星カラスと脳みそ直リンク状態だった可能性が微レ存。。。?

  4. うーん、脳ミソ直リンク状態だったら、家には真っ直ぐ帰って来たんじゃないかな…。
    (いや、放浪癖がオーディン本体からクローンされたのか)
    カラス達がオーディンの思考&記憶の一部を授かっていた、というのはなかなか格好良いアイディアですね(*’ヮ’)+

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